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自己陶酔人のうた
窓辺から遥か見下ろす街は零時を跨ごうと明るいまま。グラスのウィスキーと咥える煙草。何も酔うのは酒のためだけでない。
私は高い所が好きだ。このふかす紫煙と同じように、昇って昇って、儚く消える——。それを夢見て日々を生きる。
窓から返る私の姿が美しい。それでいい。片手のグラスを無意味に回してから傾ける。口一杯に広がるのは別に好きでもないウィスキーの味。続けて煙草を吸えば、煙が肺にまで来て咳込んだ。そのまま、目端の涙を指先で拭いつつまっさらな灰皿へ煙草を押し付けた。
無駄に広いリビングに、ちゃぶ台一つ。深いため息は乾いた響きをして、大の字に寝そべる床が冷たい。
起き上がり、グラスに残る琥珀の液体を睨むと視界が揺れた。次第に気も遠くなり、突如吐き気に襲われた。
五年前に偶々拾った五百円が、今や歯を溶かす胃液に様変わりとは。他にもトイレからベッドまでも遠いこの家と金の延べ棒も。
慣れない買い物にも疲れた。
——私はやはりバカらしい。
食道を焼かれながら最後にもう一度胃液を吐き出し、そう思った。
「ああ、酸っぱくさ」




