第8話 消えた美女
ドヒョンは消えた沙絵里を探しに向かう。
「ちょっと!ドヒョン!」
納屋で寝転がっていた俺のところに、母が駆け込んできた。
今回は、藁の上にいても、叱られなかった。
「あの子が逃げ出したのよ!」
「…は?」
逃げ出した?
完全に想定外だった。
きっと、これから二人の甘々生活が始まるんだろうな、と勝手に想像して浮かれていた。
いや、そもそも、まだ彼女の人柄を全く知らない。
逃げ出し癖のある子だったのかもしれない。
…いや、それより、あの格好でどこへ行ったんだ。
「とりあえず、何があったんだ」
俺がそう聞くと、母は語り始めた。
「庭で洗濯をしていたら、突然戸が開いて、走っていったのよ。『寝ていなさい』って叫んだのに、振り向きもしないで」
「どっちの方向に行ったんだ?」
「商店街の方よ」
「ちょっと、行ってくる!」
そう言って俺は、納屋を飛び出した。
まったく、困ったやつだな。
あの子は俺のものだ。
誰にも取らせやしない。
…いや、まだ名前も知らないのに、何を言ってるんだ俺は。
俺は闇雲に走り続けていたが、ふと冷静になって立ち止まった。
漢陽は広い。
この中のどこにいるのか、走り続けても分かりやしない。
目の前には、酒屋があった。
そうだ、さっき俺が担いでいた彼女を、おじさんは見ている。
顔を覚えているはずだ。行方を知っているかもしれない!
「おじさん!」
「おいドヒョン!俺はおじさんじゃねぇ!イケメンと呼べって言ってるだろ!」
「そんな場合じゃない!白い服のあの子、見てないか?」
「あぁ、お前さんの彼女ね。あの子、俺に手を振ってくれたんだぜ」
「彼女じゃねぇ。…それより、どこに行った」
「はいはい。大男にぶつかって、揉めかけたところを、オク・ギョングが銀を払って収めてな。そのまま、あの子を連れて行ったぞ」
「オ、オク・ギョングだって!?」
オク・ギョングといえば、宮廷で大臣と裏取引しているとかしていないとか、評判の良くない商人だ。
彼に近づくのは、金目当ての連中ばかりだと聞く。
…まさか、あの子まで。
いや、あの子がそんな人なわけがない。
「ありがとうおじさん!」
そう言って俺は、ギョングの店に向かって駆け出した。
場所なら知っている。
「おい!だからイケメンと呼べ!」
そう言うおじさんの声が、後ろから聞こえてきた。
あれは放っておこう。
俺は人の波をかき分けて、走った。
待っていろ、無事でいてくれ。
こんにちは、ヤサイローリングです。
次回はギョングVSドヒョンの対決!
お楽しみに!
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それではまた次回。




