↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
2/17

第2話 沙絵里

こんにちは、ヤサイローリングです。

第2話から「私」の回想が始まります。

「私」の名前も明らかになりますのでお楽しみに(序盤ですが)。

「私」の夢にはどんな裏があったのか。

それでは、どうぞ。

「おはようございます、沙絵里(さえり)さん」

「あ、おはようございます。藤井(ふじい)さん」

私は藤井さんに挨拶し、自分のデスクに座った。


私の名前は中村(なかむら)沙絵里(さえり)。23歳。

大企業の人事部に所属している。

そこそこ稼いでいるし、何不自由ない生活を送っている。

ただ、奨学金の返済があるので、貯金はそれほど多くない。

だが、私にはそれ以上にずっと抱えている悩みがある。




◇



今日もパソコンと向かい、面接予定の学生さんの履歴書を確認している。

まだまだ新人で、最低限の仕事をこなすので精一杯だ。

「あの、沙絵里さん」

藤井さんが話しかけてきた。

「はい」


私が振り向くと、藤井さんは肩をビクッとさせた。


「その肩の動き、いつもしますよね」

「あぁ...その何ていうか、急に振り向くなぁ、と思って」


「私、そんなに急に振り向いてます?」

「いや、そういう意味じゃなくて...」

藤井さんは少し困ったような顔をした。


「まあ、いいですけど。それで、何か用ですか?」

「あ、そうでした。午後の面接のことで。14時から会議室Cでいいですよね?」

「はい、お願いします」


そう言うと藤井さんは去っていった。


(今日も面接か)


思わずため息が出た。



◇



「無事に面接、終わりましたね」

藤井さんが言った。

「そうね、でもなかなか特筆するような人材がいないのが残念だけど」

「そうですねぇ。東北作文コンクールで銅賞を取ったあの子、部長に推してみますか」

「そうですね、お願いします」



◇



「ただいま」

そう言って家のドアを開けた。

返ってくる返事はない。


荷物をソファーに下ろして、とりあえず座り込む。

テレビをつけると、賑やかなバラエティ番組が流れていた。


「はぁ」


とりあえずお風呂に入って部屋着に着替えないと。

スーツをハンガーにかけて、脱衣所へ向かった。



◇



湯船に浸かっていると、学生時代の思い出が蘇ってきた。





<来週、文化祭で合唱するから見に来てね>


<ごめん、来週は絶対に外せない会議があるんだ。ごめんね、沙絵里>


父の声。



学校で。


<沙絵里ちゃんのお父さんお母さんは合唱見に来るの?>


<仕事で見に来れないんだって>


<そうなんだ...うちはね!お母さんが来るの。お母さんが〜...>


沙絵里は、それからの会話を覚えていない。



<スケッチで校長賞取ったよ>


私は、両親がどんな反応をするか分かっていた。


だから、素直には喜べなかった。


<そう>


母はパソコンに文章を打ちながら、とりあえず反応した。


友達はみんな、すごいね!、と喜んでくれたのに。


私の両親は、私が何をしてもあまり興味がない。


少なくとも、当時の私はそう思っていた。


そんな両親との会話ができたのは日曜日の夜だけ。


それ以外のときは、家に両親の姿などなかった。





孤独なんて大嫌い。



◇



翌日。

「おはようございます。あれ、なんか暗い顔してますけど大丈夫ですか」

「心配しなくて大丈夫」

実をいうと、昨日思い出したことをずっと引きずっていた。


「そうですか?」

「うん」

「…ならいいんですけど」


私はデスクに座って、いつものようにパソコンに向かった。

はぁ。

私なんて、誰にも愛されちゃいないんだ。


私はスマホを取り出した。

SNSを開く。

この感情を投稿したところで、どうせ誰にも相手にされないだろう。


だけど――。


私という存在を、誰かに知ってもらいたい。


私は文字を打ち込んだ。



「愛されないなら、いっそ転生してやりたい」



叶うはずのない願いだった。

少なくとも、このときの私はそう思っていた。

こんにちは。

第2話はいかがだったでしょうか。

沙絵里のSNS投稿はどう事態を動かしていくのか。

第3話をお楽しみに。

(3日以内には次回を更新できればよいかな、と思っています。よろしくお願いします。)


続きが気になると思ってくれた方はブックマークと☆☆☆☆☆をお願いします。

また、この作品にご意見がありましたら、気軽に感想欄に。

リアクションでも、ぜひ感情を表現してくださいね。

それではまた次回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。