↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
12/18

第11話 賭け場

ドヒョンとギョングは賭けで決着をつける。

薄暗い賭け場には張り詰めた空気が流れていた。

窓は閉め切られ、空気をいっそう重くしていた。

彼女も、固唾を呑んで見守っている。

唯一その空気に馴染めていないのは、立会人として連行してきた酒屋のおじさんだけだ。


準備を終えたギョングが、ルールの説明を始めた。


「今回の勝負は『二枚勝負』で決着をつけます」


「賭けの内容は、勝者は、彼女を引き取り、敗者は、戸の弁償を負担する、で良いですね」


俺は頷いた。


すると、ギョングはたくさんの細長い札を机に出した。


「1〜10の数字札がそれぞれ4枚、計40枚あります。10は0として数えます」


俺は頷いた。


「お互い2枚ずつ引きます。1枚は表にして相手に見せ、もう1枚は自分だけが見ます」


「札を見たら、同時に『勝負』か『降り』を宣言します。両者が勝負なら札を開き、2枚の合計の一の位が大きいほうの勝ちです」


「各自、銀6枚を持ちます。毎回、場に1枚ずつ出し、『勝負』ならさらに1枚追加します。降りれば銀1枚、勝負して負ければ銀2枚を失います」


「これを3回行い、最後に銀が多いほうの勝ちです。同数なら延長1回戦です」


「降りた側の札も、立会人が確認し、公開します。不正防止のためです。不正したらその場で失格です」


彼女以外の一同が頷いた。


「それでは場に1枚出しましょう」


そう言ってギョングは銀1枚を場に出した。


俺はギョングをしっかり見据えながら、銀1枚を場に置いた。


「それでは、札を引きましょう」


ギョングは2枚、札を引いた。

俺も2枚引いた。


お互い、1枚を表に出した。


表にした札は、俺が3、ギョングが2。


俺の伏せ札は4。合計は7だ。悪くない。


これは勝てる。


「「勝負」」


お互いに銀1枚を場に出した。


ギョングも勝負と来たか。


ギョングは2なので、足し算してもあまり高くならないだろう。


なのに、自信があるのか。


「それでは、開札」


ギョングの言葉と同時に、伏せ札を表に返した。


俺は4、ギョングは7。


つまり、合計は俺が7、ギョングが9なので…


「私の勝ちですね」


ギョングは俺が場に出した2枚の銀を取った。


4対8。


すでに2倍の差ができてしまった。


「それでは2回戦へ行きましょう」


ギョングは言った。


お互い札を酒屋のおじさんに渡し、場からまた2枚引いた。


俺の札は5と8だった。


俺は牽制として、5を場に出した。


するとギョングも5を出した。


同じ…


これで5は3枚出た。


勝負は伏せ札次第だ。


◇


私は二人のゲームの様子を見ていた。

ルールは全く理解できないので、ただ見ていることしかできない。

自分の無力感をひしひしと感じながらゲームを見ていた。


ギョングは扇子を持って優雅に扇いでいた。

どうしたらあんなに余裕ぶっていられるのだろうか。

すると急に扇子をパチン!と閉めた。

ん?

おかしいな。

ギョングの顔や前後の仕草から、どこか良からぬことをしているように感じられた。

これが人事部の勘というやつだろうか。


ギョングが何か不正を働いていたらドヒョンにとって不利だ。

私は必死にジェスチャーでドヒョンに伝えた。


◇


勝負か降りかを決めていると、彼女が急に俺の方を向いてジタバタし始めた。

か、か、かわいい。

だめだ、顔が緩む。

真顔、真顔。


応援してくれているのか。

ならば、弱い手でも、ここは押すしかない。


「降り」


「勝負」


二人の声が同時に響いた。

「降り」はギョング、「勝負」は俺の声だ。


「それでは開札」


酒屋のおじさんの号令で伏せ札を表に返した。


俺は8、ギョングは5。


つまり、合計は13と10。

一の位は3と0なので…


「よっしゃ勝った!」


俺はギョングから1枚、銀を取った。


5対7。


逆転の余地は十分ある。


「それでは3回戦へ行きましょう」


ギョングが言った。


2枚の札を取る。


俺は5と2。合計は7だ。


「それでは、開札」


酒屋のおじさんが号令し、伏せ札を表に返した。


◇


どうやら3回戦(?)へいったようだ。

どちらにも緊張が走っている。


ギョングが2枚の札を取ると、彼は顔を激しくしかめた。

つまり、ひどい札が出たんだろう。


すると、ギョングの袖が不自然に動いた。

さっきは不正ではなかったが、これは確信した。

また私はドヒョンにジェスチャーした。


◇


俺は5を、ギョングも5を出した。


すると、彼女がまた激しくジタバタしている。

また応援してくれているのか。


そう思いながら、場に向き直った。

すると、ある違和感に気づいた。


「おいおじさん、お前の持ってる5の札の数、何枚だ」


「俺はおじさんじゃなくてイケメンだって言ってるだろ!で、5の札の枚数だって?1、2、3。3枚だぞ。それがどうした?」


「同じ数の札は4枚なんだろ?なのに場には2枚の5の札があるぞ。合計5枚ということになる」


全員の視線がギョングに向いた。


「5枚目の5の札はどこから出てきた」


そうギョングに問う。


ギョングはしばらく俺を睨み、はぁ、とため息をついたあと、袖に手を突っ込んだ。

すると、その手にたくさんの札が握られていた。

皆が驚嘆した。


「お前は、袖に予備の札を入れて不正していたんだな。お前は失格だ」

酒屋のおじさんが冷静にそう言った。


「なので、この賭けはドヒョンの勝利だ」


「うぉおおおおお!やっったぁぁぁ!!」

俺は思わずそう叫んだ。


そうして激動の一日が終わった…はずだった。


◇


「…で、どうして俺の納屋にお前がいるんだよ、ギョング」

「ドヒョンさんはお気づきかもしれませんが、沙絵里は倭語しか話せないのです。私が頼りなのですよ」

「あの子の名前、サエリっていうのか!?」

「とりあえず、朝鮮語を教えようにもあなたは倭語が話せないので無理なのです。だから一日中私がいる必要があります」

「本気かよ、俺の納屋に住むっていうのか!?」

「そうです。戸の弁償は払います。その代わり、沙絵里さんの授業料をいただきます。商人の鉄則その2、損は最小限に、です」

「うわ、賭けに勝ったのに負けた気がする」

「でもさ、お前店持ってるだろ。そっちをしなくて大丈夫なのかよ」

「問題ありません。私にもしものことが起きたときのために、店員にはきちんと教育しています。店員だけでも十分やっていけますよ」

「そこまでする必要あるか?」

「商人の鉄則その1、最悪の事態を考えて行動すること、です」

「また鉄則に負けた」

こんにちは、ヤサイローリングです。

なんとか1日2話連続投稿を乗り切りました。

次回からは3日以内投稿に戻ります。

よろしくお願いします。


続きが気になると思ってくれた方はブックマークと☆☆☆☆☆をお願いします。

また、この作品にご意見がありましたら、気軽に感想欄に。

リアクションでも、ぜひ感情を表現してください。

それではまた次回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。