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無限の大地と黒いエイ  作者: きーち
無限の大地と変わらないもの変わるもの
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⑦ 意見は一致させるもの

 ディンスレイがブラックテイルⅡへと帰還したのは、ダァルフの遺跡を探索して丸一日が経過してからの事であった。

 遺跡……もはや仮定でなくてもそうだと言える様になったダァルフの遺跡であるが、当初の想定と比較すれば、やや帰還が遅れたと言えるだろう。

 遺跡の探索自体は、とある発見があった結果、早々に切り上げる選択をしたのであるが、その判断の後が大変だった。

「森の中に居た灰色の獣だよ。遺跡には近づけない……いや、近づかない様にしている風だったが、森から帰還する際には、そこは関係無くなるわけだ。持って来ていた魔法杖では、撃退するにもやや心許ない」

「ふんふん」

「どうしたものか。何かしら役に立つものでもありやしないかと、再び遺跡を探索するのに時間を費やす形になったのだが……ある種の名案が浮かんで来た。というより彼らの遺跡の中に、動物を飼っていた様な形跡があったんだ」

「へー」

「あの灰色の獣はある種、ダァルフの番犬みたいなものが野生化した姿では無いのか? とね? そうして未だに、遺跡の周囲をあの獣は見張っている。一方でかつての主が居た遺跡を恐れてもいた。そういう観察が出来た結果として、遺跡の中にあった……聞いてるかね? ミニセル君」

「んんー? あれでしょ? うちの艦長とうちの整備班長が、レクリエーションを楽しみ過ぎて、時間を忘れてたって、そういう話でしょ? 分かってる分かってる」

「分かってるなら、そのフォークを止めろ。だいたいなんで具が乗った平パンをフォークとナイフで食べてるんだ」

 と、ブラックテイルⅡ食堂で、同じ机を挟みつつ、面と向かうミニセル・マニアルへ話し掛ける。

 今の彼女はとても腹が空いているのか、そこそこの大皿に広がった平パンを食べている最中だった。

 いろいろと具を上に乗せて食べるタイプのパンであるが、パンには切れ込みがあるのだから、食器を使わなくても食べられるはずだ。

「ええー、普通、平パンってナイフとフォークじゃないの?」

「手で掴むんだ。どこだってそうだ。そのはずだ」

「以前、副長と話してて盛り上がった時、彼の地元では、二本の棒で掴んで食べてたそうよー?」

「何? なんだそれは。副長とそういう話で盛り上がれるのか? 是非その場に居たかった気もするが……いや、そういう話じゃあない」

「ディンったら、平パンの食べ方に多様性を受け入れないタイプ?」

 違う。そういう話もしていない。いや、その手の話を続けるのも有りは有りだが、今のところの本題は別にある。

「だから……探索の話だと言っているだろうに。今回はなかなか大変だったんだぞ?」

「今回も、でしょう? 何時も通り過ぎて笑っちゃう話題だったけども……あ、それとも、新しい整備班長さんとの付き合いの事を言ってる?」

「彼については、もう大変に思う事は無いよ。どういう言動を取って来るか、楽しみですらある。私にとってのストレス要因では無くなったわけだな」

「艦長の人間への評価は相変わらずっと」

 何がどう相変わらずなのか議論を深めたくはあったが、ミニセルの方ばかり食事が進んで居そうなので、自分の方も口を動かす事にした。いや、口はずっと動いているのだが。

「それで、今後の予定はどうなりそう? やっぱり一度、シルフェニアに帰還しとこうとかは……」

「しない。当たり前だろう」

 せっかく食事を進めようとしたのに、今度はミニセルの方が話題を上げてくる。それもなかなかの難題を。

「ここで退却なんて状況でも無いのは分かってるけどー……じゃあどうするってところじゃない?」

 ミニセルらしく無く、妙にシルフェニアへの帰還の話を続けて来る。まだ始まったばかりの旅路であるから、別に怖気づいているわけでも無いだろう。

 少なくとも今は、ディンスレイが食べている香辛料と熱をたらふくぶちこんだスープみたいな熱い思いを、彼女だって抱いている頃合いだ。

 帰還なんて選択肢、頭の中に毛頭も無いだろう。

 それでも話題に出して来たのは、撤退しない場合は前に進む必要があるという認識を強めるため。もっと言うのなら、どう前に進むかについてを話したいからなのだろう。

「この昼食が終わるタイミングで船内幹部会議を開くと言っておいたろう? そこで今後の方針や思いについては決める。順当に行けば、前回のブラックテイルⅡの旅路をなぞる事になるのだろうが……」

「そうはならなさそうって顔してるし、あたしは次の会議、特段発言しないつもりだから、今のうちに艦長の考えを聞いておこうってんじゃないの。軌道修正した方が良いなら今のうちってところ」

「私としては、現段階では船内幹部会議の方針次第だよ。強くこれをするべきというタイミングでは無いと思っているが……君、発言しないのか?」

「個人的に、その方が良いんじゃないかって思うの。整備班長を見直したのって、今のところ、艦長だけでしょ?」

「君らにとっては、次に船内幹部会議をその場にしたいと言ったところか。うーむ。辛いな」

「そんなに厳しめの発言だった?」

「このスープの事だ。今日のおすすめがこれだぞ? どうなってる」

 ディンスレイは余程の拘りが無い限り、食堂では勧められているものを食べている。その方が、何が出て来るか分からなくて楽しいからだ。

 今日のどろりとして辛いスープに関しては、やや外れ寄りであるが。

「世界を取れる料理を生み出したぞー! って意気込んてたけど、まだまだ先の話っぽいわねぇ……で、整備班長の方はそうじゃあないってところ?」

「君が発言を控えるというのなら、一つ、こうなるかもという予想はあるのだが……」

 一旦、スープを掬うスプーンを止めてから、ディンスレイはミニセルに向かって笑う。

「次の船内幹部会議、方針を決定するのはゴーツ整備班長かもしれんぞ」




 ゴーツ整備班長の以前までの様子から考えて、次の船内幹部会議では最初に会議室の席に座るのでは……と考えていたディンスレイの予想は、さっそく外れる事になった。

 予定時間まではまだもう少しだけあるが、他の面々が既に座っている中、ゴーツ整備班長がまだやってきていないのだ。

 代わりに……というわけでも無いのだが、ブラックテイルⅡの軽い空気代表、テリアン主任観測士の雑談が、会議室に響いていた。

「艦長達が遺跡の探索をしている間、僕の方は事前に言っていた観測による調査をしていたんですよ。と言っても、ハルエラヴ云々の話じゃないんですけどね。ほら、ブラック・ピラーについての方です」

 人が森の中で苦労している間に、この主任観測士はここでしたいと言っていた観測を済ましていたらしい。

 その成果について、会議中で言うと角が立つため、雑談で済ますつもりなのだろう。なんとも太々しい。さすがはブラックテイルⅡの船内幹部と言ったところか。

「ぶ、ブラック・ピラーが……ど、どうかしたのですかぁ……?」

 おずおずと、アンスィ船医が尋ねる。彼女も彼女で、確かブラックテイルⅡが存在しているこの離着陸場周辺の土壌調査を行っていたというのを、既に他の船員からの報告で知っている。

 皆して、ディンスレイが丸一日遺跡調査に費やしていた事への心配が薄いらしい。

「艦長がダァルフの遺跡で楽しんでるんだから、こっちも色々と進展のある事しとかないとなって思ってたんですよ。というのも、ブラック・ピラーって、あれ、かなり遠くからでも観測出来る自然現象でしょう?」

「別に私の方は楽しんでいたわけでも無いが……確かに、天から大地の底まで貫くブラック・ピラーは、地下からでも見えたぞ? ダァルフが作り上げた広大な地下空間からも、あれはやはり、まっすぐ地面を貫いていた」

「そうそれです。地下空間の話じゃないですよ? そっちは別口で驚きの話題ですけど、僕が話したいのは、ブラック・ピラーが遠方を観測する上での目印になりそうだなと」

 テリアン主任観測士のブラック・ピラーへの興味は、やはり世界の観測に関する事柄であるらしい。

「ブラック・ピラーは遠方観測の指針となり得るか。私もその様な論文を以前、読んだ事があります」

 テグロアン副長も雑談に乗って来た。彼もまた、暇している最中だったのだろうか。

「その論文、僕も勿論目を通しました。結論としては、他の障害物や世界の広大さの影響で、上手くは行かないだろうってものでしたが、あくまでそれは既存の観測機器を前提にしたものでしょう? ブラックテイルⅡでの水準ではどうかと、ずっと思うところがあって……どうしたんです? ミニセル操舵士?」

 盛り上がり始めたテリアン主任観測士の言葉が途中で止まる。彼の視線が向かうのは、ミニセルの方だ。

 目を向けられたミニセルは、何やら驚いた表情で会議室の出入口を見つめていた。

 ディンスレイも釣られてそちらを見てみれば、そこに居たのは最後の艦内幹部であるゴーツ・オットン整備班長の姿……いや、正確に表現してみよう。先日まで口元に蓄えていた髭を剃った、ゴーツ・オットン整備班長の姿だった。

「お、予定よりは早く来たつもりなんですが、もう全員揃ってるんですね。これって何時も通りだったり?」

 当人は気にした様子も無く、自身の席へと向かう。一回目よりは軽く、そうして固くも無い動きで。

「早めに来て、したい雑談があればしつつ、会議へとそのまま移る……そういう時もあるな」

 他の面々……副長はどうだか知らないが、ゴーツの髭が無くなった事に驚いている中、ディンスレイはいち早く整備班長に言葉を返した。

 言っただろう? 何をしてくるか、楽しみですらあると。

「じゃあ俺もこれからはそうしようかな……いや、しかし、そこまで気にする必要も無いか。機関室が忙しい時もあるしなぁ……ん? どうしたんです?」

「いや、だって、あなたね。その口元」

 と、会議では発言を控えると事前に言っていたミニセル自身が口を開いた。彼女にとっても予想外だったらしい。

「あ、これっすか? いやー、ちょっと個人的に考えてみたんですが、正直、口の髭って食事の時にかなり邪魔なんですよ、これがね。なんで……いっそ剃っちゃいました」

「ふ、ふーん?」

 じゃあどうしてそもそも髭を伸ばしていたの? そんな事までは尋ねない情緒がミニセルにもあったらしい。

 ディンスレイの予想としては……前任者の真似だって止める事にしたか、もしくは、今日食堂で出されたどろついたスープをゴーツ整備班長も食し、心底髭の存在が邪魔になったかだ。

「それで、どうです? 似合ってません?」

 他の船内幹部全員に尋ねて来るゴーツ整備班長に対して、ディンスレイがまた答えようとする前、この手の話題は得意中の得意とばかりに、主任観測士の方が口を開いて来た。

「いやいや整備班長さー、聞かれたら似合ってるーって答えるしか無いんじゃない? そこはさ」

「分かっちゃあ居るんだけどなぁ……それはそれとして、見た目の変化なんて、こっちから突っ込んで慣れて貰うのが一番だと何かの本で読んだ様な……違うか?」

「その本に関しては正しいかもしれないけどさぁ」

「じゃあ前日に言っとくか! 明日、俺は髭を剃るぞって」

「それはそれでどうなんだい?」

 と、喧嘩などには絶対にならなそうな口論を繰り広げ始める整備班長と観測主任。一回目ではやや意見が対立したものの、この二人、性格の方向性が似ていたりするのか?

「髭の剃り方について話を深めるより先に、やっておきたい事がある。とりあえず整備班長は座ってくれ。船内幹部会議の方を先に終わらせておこう」

「おっと、了解です。すみません」

 ディンスレイの言葉に反応し、ゴーツ整備班長が漸く座席へと座る。その動作も返事も、以前と比べればやはり気安い印象があった。

「では、時間は少し早いかもだが、船内幹部会議を始めよう。議題については……おいおい、さっそくか、整備班長」

 ここは前回と同じ……いや、前回よりもっと早く、ゴーツ整備班長が挙手してきた。まだ今回の議題すら言えていないところなのだが……。

「一応、これ、前もって言っておきたいところですんで。いや、何かの本に載ってたとかそんなんでも無く、俺なりに、皆さんに言っておかなきゃいけない事があります」

 と、今度は真剣な表情で前置きしてくる。

 ミニセルの視線が、これで良いのか? と尋ねて来ている風だったが、ゴーツ整備班長の固さは抜けたままなので、これはこれで良い兆候かもしれないと、流す事にした。

「前もって……というのは?」

「単純に、先に先に進みましょうって提案をしたでしょう、俺。あれ、撤回します。船内幹部なのに判断が軽くてすみません」

「あれ、良いのかい? 仕事は早く終わらせるタイプだと思っていたけど」

 意外そうに主任操舵士が尋ねる。

 彼はその件で、一旦整備班長と対立した側だ。今後の方針全体に関わる話でもあったため、結論をこの会議まで先延ばしにして、各々が考えておくという話で終わったはずだが……。

「無理矢理にでも事を前に進めようとすると、どんどん危険な事に遭遇するって経験を最近したってのが理由の一つですが……まあ、それはあくまで個人的な理由です」

「ちょ、直近で、ど、どんな冒険をされたのですかぁ? 整備班長はぁ……?」

 アンスィ船医がこちらを見て来る。どうして見て来る。発言をしているのはゴーツ整備班長の方だぞ。それに……どんな冒険をしたのかと問われても、あなたと何度かした事がある冒険とそう変わらないものだとしか返せない。

「そこはほら、やっぱり個人的な体験という事でその……皆さん分かってくれてそうですし」

 何故か、ディンスレイを抜いて船内幹部の間で共通認識が出来上がっているらしい。良いのか? そんな雰囲気を醸し出して。一艦長として物申す事になるぞ?

「艦長の様子を見るに、話の方は先に進めるのが得策です。それで、個人的で無い理由としてはどうなのですか」

 今回の副長は、ゴーツ整備班長の話が気になるものだったのか、率先して場を仕切り始めた。ディンスレイがそれをすると厄介な展開になりそうだとでも思ったのか?

「恐らく、今回の会議の議題についても関わって来るとは思ってるんですが……ダァルフの遺跡で見つけたあれです」

「光石か」

 場がざわついた。ゴーツ整備班長の言葉というより、ディンスレイが言ったその単語についてだ。

 既にそれをダァルフの遺跡で発見したという報告自体は、会議の前に上げていたはずだ。

 地下へと続くあの遺跡、地下を見張るための塔としての機能があったらしきその遺跡は……一方で灯台としての役割も果たしていたのである。

 遺跡全体の機能が停止していたあの場所でもまだ、それは薄っすらと輝きを放っていた。

 光石。シルフェニアで浮遊石と呼ばれるものの、さらに高純度のそれ。それは莫大な出力と特殊な現象を引き起こし、何よりもまず、ワープを実現できるものとなっている。

 実を言えばシルフェニアが得たワープ技術は、その距離や機能は限られたものなのだ。それでもシルフェニアにとっては遥か彼方まで行ける代物であるが、光石を動力として用いた場合のその距離は、まさに世界の果てまで届かんとするものになる。尚且つ、連続での使用も可能だ。どちらも現状のシルフェニアでは不可能な技術という事でもある。

 シルフェニアにおいては、理論的な部分だけがさらに研究が進み、ワープ以外の技術にも利用が可能であり、もし光石の生産手段を確立出来たとしたら、シルフェニアにはワープ技術以上の革新的な変化をもたらすだろうと期待されている……まだまだ夢物語な鉱物でもあった。

 現状、シルフェニアはそんな光石を一つだけ所有している。ブラックテイル号に積まれたものである。

 一方でブラックテイルⅡは直近の冒険で、その二つ目を手に入れる事になったわけだが。

「確かに、手に入った光石については議題の一つにするつもりだった。あれはそもそも本当に光石なのかどうかについても、詳しく聞くつもりだったが……」

 そのままディンスレイが光石について調査を進めてくれていたアンスィ船医へと視線を向けた。

 今の話題になった事で、自分に意見が求められる事は分かったのだろう。アンスィ船医は頷き、口を開く。

「あ、あれは間違いなく、光石に類するものです……た、ただ、以前に見つけたものより、ず、随分と小さく、そ、それと出力……というべきかは分かりませんが、ど、どうしてか、落ち込みがあります。ど、どういう作用なんでしょうねぇ……」

 アンスィ船医が分からない専門的知識を尋ねられても、他の皆も分からないだろう。

 前の光石と違って、碌に管理もされずに放置されていたから、その力を失ってしまった……浮遊石にそんな力の喪失があるかは分からないが、考えられる可能性は幾らでもある。何せ未知が多い代物なのだから。

 だが、それでもそれは光石である。それは分かるらしいし、分かった以上は一大事ではあるだろう。

「光石だったとして……整備班長はそれをどうしたいと?」

「ブラックテイルⅡ機関部との相性なんかを調べてみたいな……と」

 またしてもざわつく。未知の代物を、この艦の命運を左右する機関部に試しに入れてみるだと?

「ああいや、いえいえいえ! 別にいきなり機関部へ無茶な改修なり改造なりするつもりは有りませんよ? ただその……シルフェニア製の飛空船の機関部と光石って、相性は悪く無いはずなんで……幾らか調べておいたら、後々、何かの役に立つかなーと。駄目……ですかね?」

 もはやそれは、船内幹部会議の本題になるくらいの発言なのだぞ? 分かっているのか? 言外に伝えようとしてみるも、まだまだ新任の船内幹部であるから、気付いた様子は無い。

 ええい、ここは艦長としてはっきり言って見せねばならんか。

「ねーねー、それってつまりよ? ブラックテイルⅡの方もまた、光石で動く様になるかもって事?」

 ディンスレイが口を開くより先に、ミニセルが声を発した。今回の会議、黙ってつもりだと言っていた彼女がである。

「今の時点だとまだ何とも、けど、利用できるっていうのなら、しない手は無いかなと。何せ相手は、ハルエラヴなんてとんでもない種族でしょうし」

「じゃあじゃあ、あたしは賛成。要するに、光石をブラックテイルⅡのために利用したいから、整備班長としてはブラックテイルⅡの道程を早める必要は無いって判断になったって事でしょ? おもしろそうじゃなーい」

 けらけらと笑ってみせるミニセルの表情を見て、ディンスレイは彼女の考えが分かった。テレパスで無いのだから、分からないはずの考えが、表情だけで分かってしまった。

 分かりやす過ぎる。彼女はつまり、この新任の整備班長の存在を、船内幹部として認めたのだ。船内幹部として話を進めるに相応しい相手だと。

 そうして、さっそく意見を出して来た。彼女は整備班長に賛成だと。

「おい整備班長」

「な、なんでしょうか、艦長」

「一旦、全員から意見を聞くぞ。それが船内幹部会議だからな。そうして……決まればそれを実行する事になる。覚悟はあるか?」

「……他が無茶言い始めたら、意見の転向ってありですか?」

「勿論可能だ。君なりの見地で言ってみせろ」

「なら、覚悟はあります」

 良いだろう。ではさっそく船内幹部会議を始めよう。

 とりあえずの議題は、手に入った光石をどうするか。

 そうしてこれは何時も通りの議題ではあるが、ブラックテイルⅡが向かうべき道をどうするか。

 それをこの場にいる六人で決めるのである。

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