第九十六話 沽券と買取
聖獣に報酬です。
各国の者が自国に帰ったので、魔族に従魔などを授けた。
一応、従魔は大型がいるのは、大を与えたが、問題があるようなら、竜と麒麟にも畜産の指輪を与えたので、捕獲ロープで生け捕りにして交換するように頼んだよ。魔族には、その分調理をしてあげてくれるよう頼んだ。
各国には、黒蜜蟻の蟲蜜と貪食蜂の蜂蜜も土産に持たせたよ。貴重品なので両方1kgだけどね。酒は、かなりの量を渡したので、恐縮していたよ。ちゃんと『渡した酒を参考にして、各国で特色ある酒ができるのを期待してますよ。』と言って、渡したけどね。菓子は女性たちが喜んでいたな。バッタも押し付けたので、大分減ったぞ!
竜と麒麟には、約束していた泥酔牛の料理と乳やチーズなどを与えた。1万個で遠慮したから、10万個入れてやった。マジックバッグも1億個入る大容量にした。俺は、礼儀を知っているおっさんだからな。遠慮したら、余分に渡すぞ!神様なので、それが可能だから!
その時の様子は、こんな感じだ。
根田 「竜と麒麟には、約束していた泥酔牛の食材、養蜂の指輪と貪食蜂の巣箱、畜産の指輪、捕獲ロープ、甘露樽、黒蜜蟻の蟲蜜、貪食蜂の蜂蜜もろもろをあげるね。従魔はどうする?牛とハーピーとタイニー・ハーピーで良い?養蜂の指輪と貪食蜂の巣箱は設定調整して、魔石の代わりに魔力を与えれば大丈夫にしたから。料理とか食材は、10万個入れてあるから、巣の皆で食べてよ。マジックバッグも1億個入るように容量アップして、酒もいれたから。食器もいれといたよ。あ、甘露樽は元の設定の3日だからね。」
そう言うと、竜と麒麟が固まった。
アイテムに関しては、聖獣も鑑定できるから大丈夫だ。アイテムボックスを全員持ってるけど、巣で分けるのに、マジックバッグの方が良いだろう。
あ、養蜂の指輪と貪食蜂の巣箱の設定調整したのは、聖獣に授ける分だけだ。聖獣は獲物を解体して魔石を取り出すのは、面倒だろうし。畜産の指輪は従魔をやり取りできるように元々なってるから、問題はない。
竜 「た、太郎様。1万個でも多いと言ったのに…。」
麒麟 「ね、根田様。何故品数が増えてるのですか?」
根田 「ん?遠慮いらないから。二人とも真面目だからね。(聖獣の数え方良く分からんが、人化してるからいいや。)欲しくても言えないんでしょ?」
竜と麒麟 「違います!」
根田 「大丈夫だよ!寿命長いし、二人の種族もそれなりにいるでしょ?」
竜と麒麟 「食べきれません!」
根田 「平気だって!時間停止機能付きだから、傷まない!それに俺は、礼儀は知っているつもりだ。手伝って貰った報酬をケチるのは、福の神である縁起神の沽券にかかわる!」
そう言ったら、二人が何とも言えない顔をしていたが、あきらめたようだ。
竜 「分かりました。有難く頂戴します。従魔は牛だけで良いです。料理もたくさん入ってますし。」
麒麟 「根田様、感謝いたします。私も従魔は牛だけで良いです。巣で皆と食べさせて頂きます。」
多かったようだが、二人とも嬉しそうだ。良かった。ハーピーとタイニー・ハーピーいらないのか。まあ、必要なら、捕まえるから大丈夫だな。
やり取りを見ていた精霊達と黒宮さんが笑ってるよ。
黒宮 「根田さん、強引ですねぇ。まあ、神の調理したものを聖獣が食べるのは、根田さんの料理が初めてですよ。」
知ってる。万年青には、料理とか調理の神担当がいないんだよ。地上で調味料とかが、発展しないと担当作れない決まりなんだって。調理道具とかは、鍛冶屋神が担当してるそうだ。何か嫌な予感するけど…。
精霊達 「これは、太郎様が将来、調理の神も担当になりますね!」
駄目駄目!俺は、ネタの神だからね!不器用だから兼任しないよ。
根田 「それは、ありません。兼任無理だって、万年青に言ってありますから。」
そう言うと皆ニヤニヤしていたけど、やらないよ!
竜と麒麟は転移で巣に戻ったよ。あ、聖獣も転移は使えるからね。まあ、魔力が精霊や神みたいに無限じゃないから、制限はあるけどね。
竜は、巣で用事が済んだら、聖都に戻ってくることになってる。
それは、置いておこう。
話は変わって、魔王城での騒ぎに関してだが、今回参加した各国には補償する必要は無い。(スズランさんが騒いだだけで、被害も無いし。)
コンサーイ帝国の扱いをどうするかは、神殿の債権があるが、それは、ダンジョンのドロップ品と従魔、封印して差し押さえているコンサーイ帝国の財産と事件に関係したコクモツ皇国の貴族たちの財産、それと貴族をそそのかした商人などの関係者の資産で足りる。と言うよりも多いだろう。
本来は、神殿に俺が補償する義理は無い。それに、神である俺に調理と言う頼みごとをした対価は、地上の者に払えるものでは無い。これは、神殿の者達も理解しているので、コンサーイ帝国の扱いは、俺が自由にして構わないと明言したよ。恥をかかかされた魔族も俺が与えた物で十分すぎると恐縮していたよ。(本来は、安全対策も魔族が行う義務があったからね。魔王城での騒ぎだし。)
各国とも戦をしたわけでは無いから、領土や利権を要求できないし、俺に文句を言うのは、筋違いだし、自殺行為だって理解してる。
下位精霊が顕現して、聖獣も見せたし、土産を渡したので十分すぎるだろう。授けた知識は価値あるものだからな。
だけど、コクモツ皇国と魔導士ギルドには、それなりの責任を取って貰う。土の大神殿に無理を言って、魔導士ギルドの使者を同行させたのは、コクモツ皇国だからだ。身辺調査無しで同行させるとか、普通は国としてありえないが。あ、スズランさんは、隷属状態にして、コクモツ皇国預かりだ。被害は無いけど毒を持ち込んで、騒ぎを起こしたのは事実だし、罪は償ってもらう。ハルナさんは可哀相だが、それは別の話だ。スズランさんは、俺が罰するまで、家族と過ごさせている。コクモツ皇国も勝手はしないよ。ヤソー公国・コンサーイ帝国がどうなってるかは、国境で見ればわかるし。
話がそれたけど、黒宮さんと別れて、聖都に戻ってきた。
根田 「先に、神殿の債権分でアイテムと従魔を授けましょうか?」
光華 「冒険者ギルドを先に処理した方が良いと思います。」
そうだな。
根田 「そうですね。聖都のダンジョンの処理もありますから。そう言えば、各国の冒険者ギルドは支部の扱いでしたね。」
黒乃 「そう。商人ギルドも同じ。ただ、商人ギルドは繋がりが緩いけど。商人ギルドは、各国で独自性が強い。ギルドメンバーの活動をサポートする為に、連携している形だから。」
玉樹 「一応、聖都の商人ギルドにも話は通しましょう。今回、コンサーイ帝国に関係した取引をしていた者がいますので。」
それもそうだな。
神殿と話して、聖都のダンジョンのことを説明することにした。
神殿の者が攻略していないが、状況が変わったからね。
◇◆◇◆◇◆
冒険者ギルドの応接室で、説明だ。今回精霊達は不可視モードで、同行している。
神殿からは、ゴヨウさんが同行したよ。魔素を間引いたときの探索に同行したから、ダンジョンの状況を自分で確認してるから。
アカマツ 「ネタさん、魔王城に招待していただき、有難うございました。魔王様に拝謁の栄に浴すことが出来るとは、思いませんでした。」
根田 「いえいえ。ごたごたして申し訳ありませんでした。今日伺ったのは、魔王城で話しましたが、ダンジョンのことです。」
アカマツ 「特殊なものが出たと伺いましたので、指示通り鑑定監察官も呼んでおります。」
鑑定監察官 「ネタさん、魔族領のダンジョンの品でしょうか?早く見せてください!」
鑑定監察官が、そわそわしてるぞ。残念ながら、聖都のダンジョンの品だよ。
根田 「いえ、魔族領のダンジョンではありません。実は、聖都のダンジョンが上級になっています。」
アカマツ 「それは、本当ですか?」
ゴヨウ 「調査の結果、本当です。魔物が増えていましたが、上級になった影響でした。」
鑑定監察官 「では、鑑定する品は、聖都のダンジョンの物でしょうか?」
根田 「そうです。聖都のダンジョンの下層には、新種の魔物が出ます。かなり強力です。」
ゴヨウ 「ダンジョンは根田様が、攻略済みです。それと下層階へ行くには、それなりの装備が必要です。」
アカマツ 「新種の魔物ですか。ランクはどうでしょうか?」
根田 「1級が出ますが、その他も全て2級以上です。2級も1級に近い強さです。」
鑑定監察官 「ネタさん、もしや鑑定するのは、ダンジョンボスのドロップ品ですか?」
根田 「そうです。」
アカマツ 「ダンジョンの詳細をお聞きしても?」
ゴヨウ 「冒険者ギルドで調査を行ってください。ダンジョンの管理を任せているのに、神殿で調査した情報は渡せません。調査もダンジョンの管理に含まれていたはずです。安全対策で、今回は神殿が対応しただけです。勘違いしないように。」
アカマツ 「特級冒険者のネタさんに確認するのは、問題ありませんか?」
根田 「私が聖都のダンジョンへ行ったのは、見習い達の訓練に同行したからです。冒険者として探索したのではありません。情報提供を断ることで、ドロップ品の買取を拒否するなら、冒険者の身分はお返しします。移動の問題は無くなりましたし、神殿に出入りしている商人経由で、売却も可能ですから。」
そう言うと、アカマツさん達が慌てだした。
鑑定監察官 「買取拒否など致しません!ギルドマスターが何を言おうと、買取に関しては、私が権限を持っていますので、口出しさせません!」
アカマツ 「申し訳ありません。ダンジョンに関しては、ギルドの怠慢です。お許しください。」
俺が冒険者の身分を返上したら、ギルドにとってマイナスになるからな。
それに、俺と敵対するわけにはいかないだろう。アカマツさんは、正体知っているし、正体を知らなくても特級冒険者とは、そういうものだ。
◇◆◇◆◇◆
ダンジョンが上級になったことも、新種の魔物がいることも教えたので、泥酔牛の角と皮、ダンジョンボスの宝箱の収納箱を鑑定してもらうことにした。
ゴヨウさんは、神殿に戻ったよ。
アカマツ 「オウレン邪魔するぞ!入口の扉を閉めろ!」
アカマツさんがそう言うと、オウレンさんは、黙って扉を閉めた。
鑑定監察官 「今日見た物に関しては、他言無用です!」
解体や査定を行う者達が、黙って頷く。
根田 「では、出します。」
そう言って、収納箱、皮、角を取り出した。
鑑定監察官 「こ、これは、ダンジョンボスの宝箱!しかもマジックアイテム!な、何ですか?この機能は。」
根田 「この収納箱は、特殊な機能を持っています。監察官殿に、立ち会って欲しいといった、意味を理解しましたか?」
鑑定監察官 「はい。これは、私が鑑定しなければ問題です。他の品も同様です。時間停止機能付きで、大きさ関係なく1万個収納できる宝箱。新種の魔物の皮と角。ドラゴン並の価値がある品は、他の者に鑑定は出来ません。」
アカマツ 「ドラゴン並の素材とマジックアイテムの宝箱とは…。」
根田 「買い取って貰えますか?」
鑑定監察官 「勿論です!査定しますので、お待ちください。」
泥酔牛がダンジョンボスなのは、教える必要はない。ダンジョンボスに、たどり着けばわかることだ。
査定が済むまで、ギルドマスター室でアカマツさんと話し合いだ。
根田 「アカマツさん、コンサーイ帝国の帝都冒険者ギルドマスターと面識はありますか?」
アカマツ 「ええ。何度か会合で、あったことがあります。」
根田 「話をしたいので、出てきてもらいます。」
そう言って、帝都のギルマスを取り出す。
帝都ギルマス 「こ、ここは?はっ!本部ギルマスのアカマツさん。」
この人物も隷属状態だ。体調は問題無いが、精神的に疲労しているはずだ。
アカマツ 「久しぶりです。ここは、聖都のギルドマスター室だ。」
根田 「初めまして、私は根田と申します。あなたに話を聞きたくて、出てきてもらいました。」
プレッシャーを掛けながら、話す。
帝都ギルマス 「は、はい。何なりと。」
怯えているな。まあ、隷属してるしね。
根田 「コンサーイ帝国の状況は理解していますね。必要な情報は見せましたから。」
帝都ギルマス 「はい。帝国は既に存在せず、帝国のすべての者は、ネタ様に閉じ込められております。」
黙って頷く。
根田 「あなたに確認ですが、帝国にも私の情報は、入っていたはずですが、正確に皇帝に伝えましたか?」
帝都ギルマス 「はい。帝国から確認がありましたので、特級冒険者で全属性の大精霊の紋章を持つ大神官様であると伝えました。」
根田 「それだけですか?」
帝都ギルマス 「女性従者を四名連れていると。」
根田 「他には?」
帝都ギルマス 「二つ名を”美味い物伝道師”と孤児などと親しく、身分を気にしない御方であると。」
精霊達からの情報通りか。俺の情報は、どうでもいいが、問題は別にある。
根田 「分かりました。アカマツさん、冒険者ギルドは、犯罪者でもないギルドメンバーである冒険者の情報を、国から要請があればペラペラと伝えるのですね。冒険者の利益を守るのが、ギルドの仕事では無いのですか?私は、ギルドに不利益を与えた覚えはありませんよ。忘れているようですが、私は聖光国の国賓です。」
そう言うと、アカマツさんと帝都ギルマスは、真っ青になった。
アカマツ 「ネタ様、申し訳ありません。ギルドのミスです。」
帝都ギルマス 「申し訳ありませんでした。私は、ギルドマスターとして失格です。」
二人とも跪いている。
根田 「今回、冒険者ギルド、商人ギルドが伝えた情報で、帝国は私のことを侮り、魔族に恥をかかせる事態を招きました。相応の責任を取って貰いますよ。」
二人とも震えている。
根田 「どの様に責任を取って貰うかは、後で指示します。帝都ギルマスは、もう一度閉じ込めます。」
帝都ギルマスを大福帳に戻したところで、査定が終わったようだ。
鑑定監察官 「ネタさん、査定が終わりました。お支払いは、こちらでよろしいですか?」
根田 「構いません。」
鑑定監察官 「では、内訳を説明します。ダンジョンボスの宝箱、金貨1,200枚、泥酔牛の皮、金貨500枚、泥酔牛の角、金貨300枚、合計金貨2,000枚です。金額が大きいので、大金貨で用意しました。白金貨が良ければ、少しお持ちいただければ用意できますが。」
根田 「大金貨で大丈夫です。」
そう言って、代金を受け取った。
根田 「アカマツさん、仕事はきちんとしてくださいね。」
そう言って神殿に戻った。
アカマツさんは、冷や汗でびっしょりだったけどね。
さて、次は商人ギルドだな。
有害なモノを処理するのに、俺は逡巡しないぞ!
お人好しだと思って、舐めるなよ。
根田さんも冒険者の噂話なら、許容しましたが、ギルドとして報告したので、責任を取らせます。
情報を渡すなら、絶対に敵対してはいけないと報告すれば、違っていましたが、冒険者ギルドは、それを怠りました。




