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第九十五話 記録水晶

時代劇風を意識しました。

最初に子供のハルナ嬢と話すとする。

小さい子なので、しゃがんで話す。


根田 「初めまして。私は、聖地の責任者で、根田太郎と言います。あなたは、スズランさんのご息女のハルナさんですね。大福帳にいた時に何があったかは、見たと思いますが、話せますか?」


神様スマイルで、慈愛の演出効果で話してみた。


ハルナ 「初めまして。ハルナ・ユキザサです!美味い物伝道師のネタ様に、お会いでき光栄です!お話しできます!」


スカートをつまんで、可愛らしい礼をした。はきはきしてるな。それは良いのだが、冒険者たちよ、子供にまで二つ名広まってるじゃねーか!勘弁してくれ。


根田 「ハルナさんは、留守番していたら、魔導士ギルドから来た者から、スズランさんが倒れたので、ついてくるよう言われたんですよね?」


ハルナ 「はい。お母様とギルドに一緒に行った時、お会いした魔法使いの方です!お父様は、仕事で家にいなかったので、私が行かないといけないと思いました!ギルドに向かっている途中の路地で、冒険者風の者達に襲われて攫われました。魔法使いの方は、襲われた時に逃げました。その後のことは、良く分かりません。」


頷いて、安心させる。


根田 「もう大丈夫ですよ。安心してください。あなたを襲った者も嘘をついて、連れ出した魔法使いも捕らえましたから。お腹が空いたでしょう?用意しますね。」


そう言って、コーンポタージュスープとフォカッチャで作ったサンドイッチを出してあげる。フォカッチャは全粒粉タイプで、ダンジョン産のオリーブの実を使っている。飲み物はミルクと蜂蜜レモンドリンクを用意した。


ハルナ 「とっても美味しいです!」


さて、嘘つき魔法使いと間者だけど、人攫いするような奴は、盗賊・野盗で良いだろう。

盗賊どもを取り出して、確認しよう。まあ、精霊が全部記録してるから、確認する必要は無いんだけどね。


根田 「ハルナさん、食べながらで構いませんから、確認させてください。嘘つき魔法使いと人攫いの屑野郎は、こいつらですね?」


そう言って、屑どもを取り出す。隷属状態なので、縛り上げたりしていないが、ビクビクと怯えている。


ハルナ 「そうです!この者達です!」


さて、次は、スズランさんだな。


根田 「スズランさんを脅して、指図してきたのは、この嘘つき魔法使いですよね?」


魔法使いを指差して確認する。


スズラン 「そうですが、何故知っておられるのですか?密室で話していましたのに…。」


説明したはずだが、この人頭悪いのか?先にそれを確認しよう。


根田 「説明したはずですが、聞いていなかったのですか?私は精霊と話せると言いましたよ。下位精霊が顕現しているでしょう。安全対策で記録を取ってますからね。こんな事を言うのは、どうかと思いますが、魔導士ギルドの者やコンサーイ帝国の者は、思慮が足りないのでは?神殿の者や王族が毒対策をしていないはずないのに、毒を盛ろうとしたり、意味が分かりません。騒ぎは起きますが、無駄なのは分かるでしょう?回復魔法の高位の使い手がそろってますし、解毒剤もありますからね。私もいますし、毒や怪我、病気対策は万全ですよ。」


そう言うと、スズランさんは、情けない顔をして下を向いてしまった。


魔王 「根田様、スズラン殿が騒いだ原因は分かりましたが、コンサーイ帝国は、何故このようなことを?」


精霊が持ってきた記録を見せる方が早いな。屑どもは仕舞っておく。

精霊達に不可視モードに戻って貰って、話すとしよう。聖獣にも人化してもらう。


根田 「精霊達が集めてくれた記録を見た方が早いでしょう。」


そう言って、小指ほどの水晶を取り出す。これは、ビデオのようなもので、”記録水晶”と言う、精霊が記録を取る魔道具のようなものだ。立体映像で音声付きだ。各種情報も記録されている。まあ、精霊に頼まなくても見識さんに頼めば、管理システムから記録は取れるけどね。今回は、精霊に監視を頼んだからさ。


根田 「これに、記録されていますので確認しましょう。」


記録を再生して、確認させる。



◇◆◇◆◇◆



ここは、ヤソー公国のある子爵家だ。


商人 「子爵様、お聞きになられましたか?神殿の者が、魔王城で新年のお祝いをするそうですよ。」


子爵 「ほう。それは初耳だな。サンサーイ公国が窓口で、商取引が多少ある程度だと思っていたが。」


商人 「ご存知かと思いますが、聖光国の聖都にネタと言う、聖地から来た者がいまして、この者が、各国との仲を取り持ったようです。」


子爵 「ふむ。天ぷらなどの料理を教えたという者か?美味い物伝道師とか言う料理人に、そのようなことができるとはな。」


商人 「子爵様、料理人では無いですぞ。聞くところによれば、聖地の大神官だそうです。全属性の大精霊の紋章を持つ大魔導士のようですぞ。」


子爵 「精霊の紋章か。そんなもの役に立たんだろう。コクモツ皇国にもあるが、戦に使えるわけでもあるまい?詐欺師では無いのか?」


商人 「実力はあるようですぞ。冒険者ギルドが特級冒険者と認定しておりますからな。」


子爵 「ふむ。しかし、孤児のような下賤の者と親しいとも聞く。卑しい冒険者の身分を持つなど、大神官が聞いてあきれる。」


商人 「下賤の者と親しくすることで、慈愛ある者だと思わせているのかもしれませんな。そのような行為は、隙を作って、つけ込まれるでしょうに。」


子爵 「ふっ。それなら、利用してやればよい。神殿には、我がヤソー公国も恨みを持っているからな。」


商人 「必要なものがあれば、ご用意しましょう。」


子爵 「コンサーイ帝国と協力して、恥をかかせるか。」


商人 「それは良いですな。魔族と揉めれば、商売のチャンスですから。」


子爵 「お主も悪よのう。まあ、そうなれば、混乱に乗じて、コンサーイ帝国の賠償金もうやむやにでき、領土拡張のチャンスもあるな。」


商人 「その時は、我が商会をごひいきに。」


子爵 「ふっ。分かっておる。さて、手配するとしよう。」


この後、コンサーイ帝国の皇帝に話が通り、スズランさん達を襲ったわけだ。

元々ヤソー公国はコクモツ皇国の一部だった関係で、貴族間に血縁関係がある。コクモツ皇国とコンサーイ帝国両方にね。コクモツ皇国の派閥争いもあり、コクモツ皇国の伯爵家の四男が魔導士ギルドにいて、工作活動をしたわけ。嘘つき魔法使いが伯爵家の四男だ。全体の流れとしては、こんな感じだが、神殿の者が激怒した部分を話そう。



◇◆◇◆◇◆



場所は変わって、コンサーイ帝国の皇帝の居城。


使者 「皇帝陛下におかれましては、ご機嫌麗しく恐悦至極に存じます。」


皇帝 「挨拶はよい。用件はなんだ?手短に話せ。」


使者 「本日は、良き話を持ってまいりました。」


皇帝 「もったいぶるな。さっさと話すがよい。」


使者 「それでは。陛下は、神殿の者が魔王城で新年の祝いを行うのは、ご存知でありますか?」


皇帝 「商人が話しておったな。」


使者 「各大神殿と世界樹の森の他、各国が招かれたようですぞ。」


皇帝 「それで?我が帝国は、魔族と付き合いが無いからな。招待されなくとも仕方がなかろう。」


使者 「各国が魔族と付き合いだしたのは、最近です。聖光国の聖都にネタと言う、聖地から来た者がおりまして、この者が、各国との仲を取り持ったようです。」


皇帝 「ほう。随分顔が広いのだな。」


使者 「陛下もご存知かと思いますが、二つ名を『美味い物伝道師』と呼ばれる者でございます。」


皇帝 「おお。知っておるぞ。芋を油で揚げる調理法を伝えたのだったか。水あめもそうだな。あの料理人が仲を取り持ったのか。」


使者 「さようでございますが、陛下の認識には、間違いがございます。」


皇帝 「ん?間違いとな。」


使者 「はい。料理人ではなく、聖地の責任者で、大神官です。全属性の大精霊の紋章を持つ、特級冒険者でもあります。」


皇帝 「神官で冒険者か。しかも聖地の責任者?詐欺師では無いのか?精霊の紋章を持つなどありえんだろう。」


使者 「神託で人族の活動域の見聞に来たようです。実力はあるようですぞ。巨大な舞台をアイテムボックスに、出し入れするのを大勢見ていますから。」


皇帝 「そうなのか?しかし、神託か。邪神の類だな。世界の覇者になるべき、我が帝国に加護を与えぬのが証拠だ。神殿の祀っている神々も悪神だ。良き神々は、優しすぎて悪神に倒されたに違いない。」


使者 「ごもっともです。ネタは、孤児など下賤の者と親しくすることで、慈愛ある者だと思わせているようです。このような行いは、隙が多いですから、そこをついて、恥をかかせましょう。騒ぎを起こして魔族と揉めれば、我らを不当に苦しめる神殿を糾弾できるでしょう。正義は我らにありますから。」


皇帝 「うむ。良きに計らえ。吉報を待つ。」


これで、考えた策が、毒を盛るだった。

もうね、あきれるしかない。相対的価値観の正義を持ち出すとか、為政者にあるまじき考えだな。

記録を見て、皆激怒している。


根田 「精霊達が集めてくれた記録の通りです。滅茶苦茶言われ放題です。私は詐欺では無いですけど。」


魔王 「人族の皇帝風情が、神を冒涜するとは、何事ですか!」


ノイバラ 「許せません!神殿の者を侮辱するならまだしも、神々を邪神や悪神などと冒涜するとは!!」


筆頭巫女 「根田様、コンサーイ帝国の者は、殲滅しましょう!神々や根田様を侮辱するのは、許せません。」


ベラ 「皇帝風情が、神々の何を知っているというのです!神殿の怒りを買って、神々の加護を失ったことを忘れるとは。」


各国の者達 「ネタ様、我らはコンサーイ帝国を亡ぼす為に協力は惜しみません。」


コクモツ皇国からは、第二王子が来ているんだけど、土の聖女さんの婚約者だよ。自分の国の貴族が関係していて、激怒している。

第二王子は、モチキビ14世・コクモツって名前だ。

そうそう、俺が聖地の責任者って名乗ってから、ネタ殿と呼んでいた者もネタ様って呼んでる。まあ、聖獣と精霊を従えているからね。呼び方も変わるか。


モチキビ14世 「我が国の貴族が、とんでもないことを。各国の方々申し訳ない。特に魔王様とネタ様には、何とお詫びしてよいのか。我が国にできることなら、協力は惜しみません。我が誇りにかけて、神に誓います。」


そう言って、跪いたよ。そんなに気張らなくても大丈夫だから。


根田 「皆さん、落ち着いてください。怒るのは分かりますが、既にコンサーイ帝国無いですから。ヤソー公国も含めて。問題はすべて、大福帳に閉じ込めたって、説明しましたよね。」


そう言って、大福帳をポンッと軽くたたく。


魔王 「根田様、全て閉じ込めたとはいったい?」


根田 「言葉の通りです。コンサーイ帝国が計画を実行した時点で、国全体を閉じ込めました。現在は、土地があるだけです。鉱山やダンジョンも大福帳に閉じ込めています。問題を起こした魔導士ギルドの関係者や問題に関わったコクモツ皇国の貴族もね。」


全員が、”ええっ!”って顔してるな。


根田 「最初に説明したじゃないですか。あ、今はヤソー公国もコンサーイ帝国も立入禁止の効果を付与してるので、入れませんよ。外から見るだけです。問題を処理するまで、入れないように、精霊達に頼みましたから。問題に関わった貴族の屋敷などもね。」


そう説明すると皆納得した。聖獣と精霊を従えているから、嘘じゃないって納得したようだ。

各国とも自国の新年の行事があるので、一度戻ることになった。

後日、各国と調整して、コンサーイ帝国の処理を話し合うことになったよ。

連絡用の魔道具を追加で渡したよ。

俺も聖都に戻って、泥酔牛の素材を売却しないといけないしね。

地上の問題に巻き込むなよな。

色々調整しないといけないかもしれない。

参ったね。



作者は、シリアスは嫌いなんですけどね。

精霊は見た!的にすればよかったかなぁ。


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