第九十七話 商人ギルドと補償
商人ギルドと交渉です。
神殿に戻ってきたが、商人ギルドをどうするか相談しないとね。
根田 「今回、ヤソー公国の貴族をそそのかしたのは、商人ギルド加盟の商会長でしたね。」
光華 「ええ。聖都にも支店がありますね。」
黒乃 「商人ギルドは、各国で独自性が強いとは言っても、聖都の商人ギルド本部が統括しているのは変わらない。」
玉樹 「商人ギルドは、加盟している商人を管理する義務があります。神殿は、コンサーイ帝国と獣国からの賠償金を受け取るのに、商人ギルドに手数料を支払う代わり、情報提供と加盟商人ギルドメンバーの管理を義務付けています。これは、きちんとした契約になっており、罰則規定もあったはずです。」
なるほどね。
根田 「貴族と取引があるということは、あの商会は、高級店ですよね?」
光華 「高級店ではありますが、どちらかと言うと商社のようなものです。」
何でも屋か。
根田 「なるほど。確かリスク分散で、商会長の身内が、各国に個別に商会を作ってましたね。しかも各国の商人ギルドに、個別加入する念の入れようで。」
黒乃 「そう。貴族と付き合う商人は、政治に巻き込まれる場合が多いから、逃げる手段は持ってる。」
それはあるよな。
根田 「まあ、大福帳に全員封印してるので、問題はありませんが、経済的に影響はありますね。」
玉樹 「商会と取引していたとは言え、真面目に物品を卸していただけの者には、罪は無いですから。」
そうなんだよね。
根田 「商人ギルドと神殿の契約もありますから、商人ギルドの責任者を神殿に呼び出しましょう。こちらが出向く必要は無いでしょう。」
そう言って、大神官長に話を通して、商人ギルド本部のギルドマスターを呼び出すことにした。今回は、元老院の議長さんも立ち合う。
魔王城に来てたからね。神殿との契約とは言え、聖光国の場合は、国との契約になるからね。
◇◆◇◆◇◆
根田 「初めまして。私は、根田と言います。商人の方は、早耳ですので、ご存知かと思いますが。」
商人ギルド本部ギルマス 「お目にかかれて光栄です。私は、商人ギルド本部ギルドマスターのイチイと申します。勿論、ネタ様のことは、存じております。」
キダチ 「根田様、挨拶はそのくらいで。イチイよ、今日呼んだのは、コンサーイ帝国の賠償金に関してだ。」
議長 「支払いが滞っているようだが、報告が無いのは何故だ?」
イチイ 「報告に伺う予定でしたが、情報が錯綜しており、確認してからと思いまして。」
キダチ 「契約では、問題があった場合、商人ギルドが立て替えるはずだが。」
イチイ 「年末年始でバタバタしておりまして、処理が遅れております。暫くのご猶予を。」
議長 「遅れた分の補償はしてもらうぞ。」
イチイ 「それは、勿論でございます。」
流石は商人だな。内部で処理してから、報告するつもりか。
根田 「イチイさんでしたか。嘘はいけませんね。商人ギルド本部が情報を掴んでいないわけないでしょう。我々も暇では無いのですよ。」
神力でプレッシャーだ。
イチイ 「申し訳ありません。ご報告して、神殿にお手間を取らせるわけには、いかないと思いまして。」
根田 「腹の探り合いは結構です。商人ギルドには、契約違反で罰を与えます。」
イチイ 「そ、それは、お待ちを。」
キダチ 「イチイよ、商人ギルドは、商人の管理も出来ないのか?」
議長 「商人ギルドは、聖光国との契約を軽く考えているのか?」
根田 「私のことを侮っていませんか?聖地の田舎者と思って、誤魔化せると思わないように。」
下位精霊に顕現してもらう。ついでだ、全属性の大精霊の紋章も出してやれ。
根田 「話で聞くよりも実際に見る方が早いでしょう。紋章と精霊、本物であるのは分かりますね。私が見せた意味も。」
イチイギルドマスターは、震えている。
根田 「神殿に対して、おかしなことをしないよう、商人を管理する義務がギルドには、ありますね?」
イチイ 「は、はい。あります。」
根田 「ギルド加盟の商会が、私に牙を剥きましたが、ギルドは、どうするつもりです?」
イチイ 「そ、それは…。」
根田 「私も聖都に滞在して、多少経っていますから、忘れている者もいるようですので、はっきり言います。私は、聖光国の国賓です。光の大神殿の者ではありません。この意味が分かりますね?」
キダチ 「契約にある罰則以外に、根田様と聖光国に、どう償う?各国の商人ギルドから情報は入手済みだろう?」
議長 「分かっているだろうが、魔族とネタ様に牙を剥いた者は、ギルドの商人だぞ!」
神殿の者は、魔王城でのことを話さないが、各国の王族が連れてきた従者から、何があったかは、漏れるからな。口止めしてもさ。行動制限と情報統制を掛ければいいが、そこまでする義理は、俺には無い。大福帳に関しては、情報統制と行動制限を掛けているので、封印しているのは、話せないけど、俺が見せた証拠に関しては、話せるようにしている。これは情報が漏れる方が、良い場合もあるからだ。ネズミのしっぽを捕まえるとかね。
真っ青な顔で震えながら、イチイギルドマスターが答える。
イチイ 「分かっております。問題の商会は、全員行方不明となっております。商会があった場所は、更地になっており、外から見ることは出来ますが、立ち入ることは出来ません。商人ギルドもこれでは、対処の仕様がありません。」
根田 「商人ギルドの都合は、聞いていません。私は、刺客を向けられましたよ。私は不死身ですから、死にませんが、他の者なら死にますよ。これでも立場がありますから、他の者の命と私の命の価値は違います。商人ギルドが報告しなかったことは、牙を剥いた行為を是認していると判断します。商人ギルドは、私や魔族、聖光国や神殿に宣戦布告したということですね。」
淡々と答え、冷酷なイメージの演出だ。
イチイ 「そ、そのようなつもりはありません。ネタ様がおっしゃることは、そう取られても仕方ありません。で、ですが…。」
根田 「私は、神託で人族の活動域に来たと言うのは、皆に知られているはずです。意味が分かりますね?」
キダチ 「商人ギルドは、神に反逆したということだ!」
議長 「ネタ様が精霊様を顕現させて、紋章も見せて下さったのです。まさか神託が、嘘や偽物と考えているのか?」
イチイ 「ま、まさか、そのような大それたことは、考えておりません。神託を疑うなど、ありえません。」
今にも倒れそうな顔で、ブルブル震えているな。
根田 「言い訳は要りません。事実に基づき償って貰います。賠償金に関しては、契約通り商人ギルドに、肩代わりしてもらいます。今までの手数料も利子付きで返してもらいます。私に牙を剥いたことに対しては、無条件で要求をのんでもらいます。」
イチイ 「そ、そんな。それは、余りに横暴では…。」
根田 「あなたは、死者復活の奇跡が起こせるのですか?勘違いしないで下さい。これは、要求では無く、拒否権の無い命令です。」
キダチ 「商人ギルドは、無責任なことはしないだろう?信用問題だからな。」
議長 「命があるだけ、感謝することだ。『絶対に、敵対してはならない相手』という情報を、周知徹底しなかった商人ギルドの落ち度だ。我々は被害者であって、恨むのは筋違いだぞ。それを良く考えることだ。」
イチイ 「…はい。申し訳ありませんでした。」
イチイギルドマスターが、うなだれて、交渉が無駄だと悟ったようだ。
その後、商人ギルドと正式な契約違反による補償とコンサーイ帝国の賠償金の肩代わりの契約書が作られた。
俺との契約も行った。俺の要求を無条件でのむと言う契約だ、期間も要求も無制限にしてある。渋ったが、これは譲らないよ。命を狙われたんだから、これでも譲歩している。
商人と言うのは、死ぬのが恐ろしいと思う連中だ。人の命を奪うのは、平気だがね。地球よりも命の価値が軽い、この世界では、それが顕著だ。渋った時に、『責任者を何人か処刑した上で、もっと酷い条件をのませても良いのですよ。』と言ったら、すぐ折れたよ。
『おかしなことをしないように、呪いを掛けさせてもらう。』と言ったら、商人ギルドの者が、全員真っ青になったけどね。呪いはきっちりかけたよ。俺や神殿、魔族などに、おかしなことをしようとしただけで、苦しんで、のた打ち回りながら死ぬのをね。契約違反でも発動する。あ、この世界には、魔法以外に呪いもあるから。付与魔法の専門特化した感じだけどね。
他には、今回の損失を物価に転嫁しないように、申し付けた。これをやられると、商人に対する罰にならないから。
それと、貴族をそそのかした商会と取引していた、真面目に物品を卸していただけの者の債権を肩代わりさせた。
きっちり、契約書を作って書面にしたぞ。死にたくなければ、言われたことをするんだな。
後は、コンサーイ帝国などと問題の商人を処理してから対応だな。
全く、地上の問題に巻き込むなよ!
うーん。ギャグが無い。




