第九十一話 ポップコーンと南部煎餅
新年のお祝い料理準備です。
魔王城へ戻ってきたが、黒宮さん達は、餅つきやりながら、大福食ってるそうだ。
黒豆持ってるんだから、豆餅も教えてくれればいいのに。
まあ、その辺は、俺の担当だから、仕方が無いけどさ。
各大神殿の者とヨウサイ王国の代表は、新年の2日前に来る予定だ。
転移の魔道具である参加名簿とは別に、連絡用魔道具の通信用紙を30枚ほど渡してあるので、特に問題は無い。通信用紙は宛名を書いて、『送信』と言えば、相手に転送される使い捨て魔道具だ。
出迎えるのに、いきなり食事にするのは、不味いので、軽食を教えることにする。
料理人達に、今回食材を提供することは、伝えてあるので、何を出しても大丈夫だろう。
根田 「一応確認ですが、種族によって食べると不味い物とかありますか?他の種族には問題無くて、特定の種族だけ毒になるような物は?」
料理長 「そう言った食材は、特にありません。人族が食べる物なら大丈夫です。魔族の種族で特定の物しか食べられない種族もいますが、そう言った種族の者は、自分達の食糧は用意してますから、気にしなくて大丈夫です。その者たちは、住む環境も限定されるので、魔王城にいません。」
話を聞いたら、魔石を食べる種族とか水棲の種族で、プランクトンをろ過して食べる魚みたいな食性の種族などがいるんだって。
今回の新年のお祝いでは、気にしなくて大丈夫らしいので、料理を教えるとしよう。
根田 「最初に教える料理ですが、人族の活動域は、星の反対側ですので、昼夜が逆です。転移で来ると言っても疲れるでしょうから、先ずは、回復してもらう飲み物と軽食を出すことにします。いきなり酒は、何ですので、蜂蜜レモンドリンクを出しましょう。今回はお湯で割ったものを出します。」
そう言って、貪食蜂の蜂蜜とレモンを用意して、作り方を教える。
食材は、ダンジョンボスの宝箱の収納箱に入れておくので、必要に応じて持って行くように伝える。
飲み物は、給仕が作ることになった。試飲してもらい、味を確認させる。
料理長 「貴重な貪食蜂の蜂蜜をよろしいのですか?」
根田 「構いません。魔族の沽券にかかわりますから、出し惜しみしません。貪食蜂のロイヤルゼリーも提供するので、朝食に出しましょう。皆さんも試食してください。ほんの少量舐めるだけで、特級回復薬同様の効果があります。」
ロイヤルゼリーを試食させたら、皆やる気が漲っている。
料理長 「このような、一生に一度でも、味わえるかわからない品を試食できたのです。我らは、全力でお客様をもてなしましょう!根田様、よろしくお願いいたします。」
根田 「やる気があるのは良い事ですが、気張らずにやりましょう。我々が力み過ぎたら、お客様が委縮してしまいます。」
そう言って、神様スマイルだ。
根田 「飲み物は、甘い物ばかりでは、何ですから、紫蘇茶も出しましょう。ハーブティーの一種です。香りにはリラックス効果があり、食欲促進作用もあって、栄養もあります。紫蘇茶は、すっきりした味わいで、飲みやすいと思います。温かくても冷やしても美味しいですよ。」
赤紫蘇を取り出して、説明する。
根田 「これは、紫蘇と言う植物の葉です。赤と青の色違いがあります。梅干しを作る時に赤紫蘇を入れると赤く色が付くので、見た目が良いです。」
そう言って、赤紫蘇入り梅干しを与える。これは、ダンジョン産の梅の実で作っておいたものだ。
料理人たちが味を確認して、納得したようだ。
先に味を確認してもらうか。
根田 「味を確認してもらいましょう。紫蘇は体に良い物ですが、独特の香りがありますからね。今回は生の物を使用しますが、乾燥させたものでも大丈夫です。赤紫蘇の方が栄養がありますが、青紫蘇でも出来ます。作り方は、紫蘇の葉を洗って刻みます。刻んだものをポットなどに入れ、熱湯を注ぎます。2,3分蒸らして出来上がりです。大量に作る場合は、煮出してください。」
試飲してもらう。紫蘇を乾燥する方法は、水洗いした後、水分を取り天日干しした後、粉にして容器に保存することも教える。
料理長 「すっきりしていて飲みやすいです。」
根田 「飲みにくいようなら、蜂蜜を加えるなどしても良いです。普通の蜂蜜も提供しますので。まあ、蜂蜜レモンドリンクを出すので、さっぱりと飲んでもらいたいですが。寒い時には、すりおろした生姜を入れて温まるのも良いと思います。夏場には梅酢を入れるのも良いですよ。」
蜂蜜は、加えなくても大丈夫だろうとのことだった。他のハーブティーもあるので、対応できると言うので、任せることにした。
根田 「飲み物と一緒に出すものとして、トウモロコシでポップコーンを作ります。ポップコーン用のトウモロコシは専用品種ですので、注意してください。」
そう言って、トウモロコシを見せる。普通の奴もね。
根田 「普通のトウモロコシは、焼いたり茹でるだけでも美味しいですよ。勿論、料理にも使えます。試食してもらいましょう。」
そう言って、普通のトウモロコシを茹でた物と焼いたものを試食してもらう。
料理長 「甘みがあって、みずみずしく、美味しいです。世界樹の森の植物ですか?」
根田 「あるダンジョンで出た物です。栽培用の種を神殿に授けたので、入手できるようになるはずです。ポップコーンをやってみますね。」
そう言って、フライパンに軽く油を引き、ポップコーン用トウモロコシの粒を入れ、蓋をして火にかける。
ポンポンポンっと弾ける音がする。
出来たようなので、ボウルに入れて塩を振り試食してもらう。魔族が弾けた時にビクッとしていたのが、申し訳なかった。説明足りなかったね。
根田 「このトウモロコシは、加熱すると弾けるのですよ。これは、ポップコーンと言います。トウモロコシは食べる部分が、種です。芯は食べれません。」
さっきも芯は食べていないけど、一応説明増やした。
料理長 「サクサクして軽く食べれますね。塩味で美味いです。軽くつまむのに良いですね。酒にも合いそうです。」
まあね。エールやビールなどの軽めの酒に合うだろう。
根田 「酒に関しても提供しますから。聖地の酒で特別な物を私が提供したと説明して下さい。皆さんの分も用意しますので。新年のお祝いが終わるまでは忙しいですが、終わった時にでも飲んでください。」
そう言うと、料理人達も嬉しそうだ。
根田 「ポップコーンだけでは、寂しいですので、南部煎餅を出しましょう。この型を使います。」
型は神殿にも授けるつもりだ。
型には、それぞれの神殿に、家紋のようなシンボルがあるので、その模様をつけてある。
今回使う型は、闇の大神殿のシンボルが付いている。
根田 「先に胡麻と落花生を炒っておきます。胡麻と落花生は、油分が多いので、油も搾れますよ。南部煎餅は、携帯食としても使えると思います。」
胡麻と落花生を見せて、ダンジョン産であることを説明する。魔族も知らない植物だった。
落花生はアレルギーが怖いが、とっくり草で治せるから。この世界では、アレルギーは病気じゃなくて、状態異常の一種だから。怪我の功名だな。
胡麻と落花生を炒る。ついでに、ごま塩も作る。
あ、こちらの世界の携帯食は、ひよこ豆を炒った物や干し肉、カチカチに干したパンとかだ。そら豆を炒ったのは、あったな。しょうゆ豆みたいに味付けしていないけど。食べる時に塩を掛けるそうだ。干した野菜は見かけない。乾燥ハーブはあるけど。魔物の肉は少量で満腹になるのも理由かもね。話がそれたな。
料理長 「根田様、炒った胡麻と落花生を、試食してもよろしいですか?」
落花生は、殻を割って食べることを説明して、試食してもらう。
料理長 「香ばしいですね。落花生は、中の皮付きと皮をむいて食べるのでは、味わいが変わりますね。両方美味しいです。」
根田 「炒った落花生にバターを絡め、軽く炒って、塩を振っても美味しいですよ。」
そう言って、バターナッツを作り、試食してもらう。
料理長 「これも美味しいですね。落花生は、炒ったものとこれも出して良いと思います。」
そうするか。
根田 「そうですね。落花生は、そうしましょう。一緒に作った胡麻に塩を混ぜた物も食べて貰いましょう。」
そう言って、小さなごま塩のおむすびを試食してもらう。箸マスターは、配布済みで魔王城の者は、箸が使える。
料理長 「これは、良いですね。香ばしさがあり、塩で米の甘みが引き立ちます。」
米も提供して、試食してもらってるので、料理人たちは味を知っている。
根田 「胡麻は色々使えますからね。おむすびは、手で食べても良いんですよ。まあ、今回は止めておきましょう。手づかみは抵抗がある者もいるでしょうから。私が教えるもの以外は工夫してみてください。南部煎餅を作りましょう。」
そう言って、南部煎餅を作る。
根田 「材料は、基本の物が、小麦粉、塩、水です。材料を混ぜて生地を作り、型を両面あぶって温めてから生地を入れ、両面焼きます。胡麻や落花生を入れるときは、型に凹みがある側に入れて焼きます。固くする場合は、余熱でじっくり焼いてから冷まします。」
料理長 「材料も入手しやすいですね。胡麻や落花生は、神殿で栽培されてからになりますが。味も良いですし、根田様の言われるように携帯食に使えます。」
根田 「南部煎餅の天ぷらもあります。それに、焼き型からはみ出した部分を”耳”と言いますが、つまみとして酒に合いますよ。」
そう言って、天ぷらを作って、試食してもらう。勿論、耳もね。
料理長 「両方美味しいです。作り方も簡単ですので、これは良いですね。型も鍛冶屋が作れますし。そう言えば、型に闇の大神殿のシンボルが入っているのですね。」
根田 「魔王さんが会場を提供してくれましたから。型に入れる模様は、どこで作った物か分かるようにと思いましてね。」
料理長 「そうでしたか。お気遣いありがとうございます。」
根田 「せっかくですので、料理で出す汁物は、煎餅汁も出しましょう。」
そう言って、材料を用意する。豆腐とこんにゃくの作り方も教えた。油揚げとか厚揚げ、がんもどき、高野豆腐、湯葉、おからもね。ゴボウもあるし、海藻も採ってきたからね。
そっちは置いておくとして、煎餅汁の説明だな。
根田 「煎餅汁の材料は、南部煎餅の基本の物、煮崩れしにくいように固く焼いた物を使いましょうか。それと、野菜は白菜、人参、ゴボウ、長ネギ、鳥肉はハーピーを使いましょう。豚肉は、ゴールドボアで、豆腐とこんにゃく、キノコ類も入れましょう。ハーピーの骨で、ハーピーガラスープを作って使います。野菜は好きな物を使って構いません。今回の味付けは醤油味ですが、塩や味噌を使っても良いです。味付けに使うのは、醤油、酒、味醂です。」
ハーピーの骨で、ハーピーガラスープを作りながら、具材を切る。今回は具沢山だ。出汁として昆布も加えたぞ。分身して魔法も併用して調理だ。
切った具材(長ネギは後で加える)を煮込んで味付けし、ハーピーガラスープを加え、斜め切りした長ネギと割った煎餅を入れ、30秒程度火を通して出来上がりだ。七味は無いが、赤唐辛子はあるので、粉にして一味も用意してみた。
根田 「どうぞ、試食してください。これは、赤唐辛子を粉にした一味と言う辛みのある調味料です。お好みで試してください。いきなり大量に入れないように注意してください。」
料理長 「美味しいです。具沢山で良いですね。この赤唐辛子と言うのは、辛いですね。でも生姜と違った辛さで、アクセントになりますね。」
料理人達と話して、煎餅汁を出すことになった。一緒にハーピーの焼き鳥とタイニー・ハーピーのつくねを出すことになった。つくねで卵白を使うので、余った卵黄を使って、塩、お酢、油と混ぜマヨネーズにした。サラダに使って貰うことにした。料理人達に試食してもらったが、マヨネーズを絶賛していたよ。マヨネーズを作ったので、ポテトサラダも教えたぞ。ポテトサラダは、ジャガイモ、タイニー・ハーピーの茹で卵、キュウリ、人参、玉ねぎに塩、胡椒、お酢、マヨネーズを使う物だ。御飯と白パンも出すことにした。
他の料理もどうするか相談しながら、煮豚や煮卵などを作った。魚介類もあるから天ぷらも出そう。
試食して貰いながら調理なので、賄い作ろうとしたら、腹いっぱいとか言われたよ。
魔王城の者にも食事で出して試食してもらったが、美味しいって。
豆腐とか油揚げを気に入ったようで、世界樹の森から分けて貰った大豆を作付けする畑を開墾するとか言ってたよ。
それなら従魔も役に立ちそうだ。
他のメニューも考えるとしよう。
おからとカラーウサギあるんだよな。ゴボウもさ。
後で鑑定してみよう。
分かる人には、分かってしまうかな?
マタギ的な感じで。
そうそう、精霊達は、黒宮さん達に合流して、餅つきしてたよ。
黒宮さんにお約束やって、焦らせたそうだけど。直ぐ冗談だって、ネタバラシしたみたい。
エンゲーイの精霊って、神を敬わないのかね?俺だけじゃなく、黒宮さんからかうし。
まあ、頼み事はちゃんとしてくれるから、良いけどさ。
新年のお祝いで食べる餅も搗いて来てくれたし。
精霊は、本質的には優しいから。
魔族に恥をかかせないように、頑張るとしよう。
あ、そうだ。ハーピーの羽で作った羽根布団を魔族に提供している。タイニー・ハーピーの羽は、枕に使った。創ってみたら、高級品で機能性も高い物になった。
魔王さん達が感謝していたよ。
少しは、迷惑かけてる分のお詫びになったかなぁ?
そんな感じで料理を教えていった。
ギャグが無くてすいません。




