第七十六話 闇の大神殿
黒宮さんと再会です。
転移の魔道具を創って、闇の大神殿へ最初に行くことにした。
これは、地上(惑星ホジョウ)で闇の大神殿は、光の大神殿の反対側に位置するから、人族の活動域と昼夜が反対になるためだ。
転移の魔道具は、行き先を選択する石板と転移する者が身に着ける指輪だ。転移可能回数は、石板に魔石を加工したランプを付けてある。
ランプが光っている個数分転移可能だ。尚、指輪に出発地点が記録されるので、転移した大神殿から他の大神殿へ転移することは出来ない。
他の大神殿へ転移するには、一度戻る必要がある。使用方法は、”行き先の大神殿へ転移”と代表者が言えばいい。
例えば、闇の大神殿から光の大神殿へ転移する場合は、石板で行き先を設定した後、「光の大神殿へ転移。」と言う。
一応、各大神殿には、指輪は15個授ける。3組が違う大神殿へ行く場合もあるだろうから。使用制限もあるけど、魔石も必要としない神器だからね。
転移する場合には事前に連絡することになっている。行き先を選択する石板に通信機能も付けたから。まあ、手紙をやり取りするものだけどね。
これも制限で転移に関する連絡だけ可能だ。
各大神殿に石板を設置しないと転移は出来ない。石板を設置したら、行き先選択ができるようになる。
魔道具の仕様は、そんな感じだ。
遅くなると黒宮さんや闇の大神殿の者に悪いから、出発しよう。
根田 「じゃあ、不可視モードで行きましょう。」
黒乃 「別に闇から顕現しても良いけど。闇の聖女達には、神託したから。」
根田 「黒宮さんに挨拶してから、顕現しましょう。」
黒乃 「黒宮様は、気にしないと思うけど。」
根田 「礼儀はきちんとした方が良いですから。遅くなりますから、行きましょう。」
そう言って、闇の大神殿へ転移した。
◇◆◇◆◇◆
闇の大神殿の拝殿に転移して、黒宮さんと再会した。
根田 「黒宮さん、お久しぶりです。ご迷惑をおかけしてすみません。」
頭を下げた。
黒宮 「根田さん、頭を上げてください。根田さんが悪いわけではありません。事故ですから。それに謝るのは、我々ですよ。見聞中なのに地上の調整をさせてしまって、申し訳ないです。」
根田 「いえ、事故とは言え、原因は私ですから。もう少し上手い対応を考えればよかったのですが、不器用ですみません。」
黒宮 「大丈夫です。万年青でもダンジョンで入手できる植物は、その性質を地上の者がヒントにして、成長できる神の試練になるから、問題無しとなりました。むしろ公平性を与える根田さんの対応に感謝していましたよ。」
根田 「そう言っていただけると気が楽になります。遅くなるといけませんので、顕現します。」
黒宮 「私も一緒に行きますよ。たまには、魔族に姿を見せないと忘れられそうですし。」
そんなこと無いと思うけど。黒乃さんを見ると、本来の姿で渋い顔してる。
黒乃 「黒宮様、私が本来の姿で顕現するので、来なくて良いですよ。」
黒宮 「そんなこと言うな。俺だけ顕現しないとか、一緒に神殿にいるのに、のけ者にするとか酷いぞ!」
まあ、地上にいるんだから、顕現しても良いと思う。
黒乃 「黒宮様、皆と一緒だからって、はしゃがないで下さいね。一緒に行くのは良いですけど、威厳は保ってくださいよ。」
黒宮 「大丈夫だ。わかってる。」
黒乃 「まあ、素面だから大丈夫でしょう。」
後で聞いたが、黒宮さん、酔っぱらって、やらかしてた。
酔った状態で顕現して、空に浮いて信徒の魔族に神託しようとしたら、ゲロしたらしい。
結構上空にいたから、問題にならなかったけど、魔族領の僻地にゲロが落下して、毒の沼地になったそうだ。僻地で地上の者は、いなかったので影響は少なくて済んだそう。
話を聞いて、黒宮さんに親近感がわいた。俺も日本でやらかした経験あるし。
話がそれたけど、顕現したら、闇の大神殿の者は、光の大神殿の者と反応同じだよ。
今回は渋い顔しなかったのに!神聖さをイメージした演出したんだけど。
魔族たちは、跪いて俺をじっと見つめている。何だろう、小さい子供の純真な目で見られている感じ。
いかがわしい物や怪しい物を好む、自分が苦手な眼差しだ!
(神にあるまじき発言であると作者は思う。)
ここは適当に話して、お茶を濁す作戦でいこう。(こういう思考をするのが根田らしい。)
根田 「初めまして、ネタの神担当の根田太郎と言います。人族の呼び方だとタロウ・ネタとなります。異世界日本から来た神です。根田は家名になりますが、担当する神の名でもありますので、根田と呼んでいただきたい。今回は、ご迷惑をおかけしますが、協力をお願いします。」
そう言って、頭を下げた。
闇の聖女 「頭を御上げ下さい、根田太郎様。畏れ多いです。神に拝謁でき、皆、大感激しております。申し遅れました、私は闇の聖女で、ノイバラと申します。」
黒乃 「闇の聖女よ、神託で話しましたが、光の大神殿の地で、神の試練となるダンジョンが発現しました。彼のダンジョンの試練では、貴重な食材や植物の種が授けられます。この試練を乗り越える為、根田太郎様が神器を授けます。打ち合わせをしたいので、部屋を用意できますか?」
ノイバラ 「すでに準備しております。情報統制もしておりますので、ご安心下さい。」
挨拶の後は、打ち合わせと転移の魔道具の設置などを行った。
打ち合わせには、魔王さんも出席したよ。王様だけど腰が凄い低いの。今まで会った地上の者の中では、別格の強さを持ってるのに。魔王さんは、闇の大神官長も兼務している。魔王さんと闇の聖女さんは、アークデーモン族で親子だ。なんか光の大神殿と似てるな。魔族でもデーモン族は、肌が白いだけで髪と目は黒いから、親近感がわく。角とか羽もないし。デーモン族は、飛行魔法が使えるから羽が無くても飛べる。飛行魔法は闇魔法だ。闇属性は重力管理も担当だから。
角があって羽があるのは、デビル族だ。神殿には、アークデビル族の神官もいた。人族と敵対しているのは、デビル族でもレッサーデビル族だ。昔、いきなり侵略された一族。話を通せば、交易するつもりだったのに、侵略されたので返り討ちにしたけど、昔のことだし、侵略してきた国の者は絶滅してるので、本人たちは敵対しているつもりは無いそうだ。今回の俺の介入で、人族や世界樹の森と交流を持ちたいそう。ダンジョンの探索に参加したいそうだけど、参加メンバーは、魔族で話し合いだ。レッサーデビル族にも神官がいるので、話は通っているそうだ。
そうそう、俺の噂は、魔族の耳にも入っていたよ。人狼族や人虎族が交易で人の国にいるから、知られたらしい。竜を僕にしてるから、神族であることに気付いている者も魔族には多いようだ。気付いても他の者に話したりはしない。正体を隠しているのは理由があると理解しているし、話すことで怒りを買うと判断するからだ。
認識調整も正体に気付く分は、制限していないから。
正体に気付くのは、愚か者では無いからね。
話がそれたけど、他の大神殿へ行く前に、黒宮さんに泥酔牛などの料理を振舞ったよ。凄い喜んでいた。
聖光国の対応によっては、ダンジョンを元に戻すつもりだったことを話したら、戻すのは絶対ダメだって言われたよ。地上の者が入れないようにするのは良いけど、泥酔牛のように美味い魔物は、消滅させたら勿体無いってさ。キノコの魔物は、爆笑してたよ。
魔族には、味噌と醤油を授けた。造り方もね。ダンジョン産のキノコと野菜を味噌と醤油を使って調理して、試食してもらった。魔王さんがダンジョン行く気満々になったよ。止められてたけど。
大豆・米・麹の入手に関しては、世界樹の森と交渉してもらうことにした。エルフは木材加工は得意だけど、鉱物加工は苦手だ。ドワーフから加工品は入手できるけど、魔族は、錬金術も得意なので、ドワーフにできない加工も可能だ。魔族領にしかいない魔物の素材などもあるので、交流は意味がある。世界樹の森にしかない植物もあるしね。
そうそう、ケンタウロス族は、神殿に立入禁止だそう。拝殿で脱糞したことがあるんだって。これは、流石にケンタウロス族でも問題になって、神殿に謝ったそうだ。
ケンタウロス族は体の作りの関係で、掃除とかは苦手なので、荷車を運んだりする仕事で今も神殿に詫びてるそう。
闇の聖女さんの就任式で、緊張して脱糞したらしい。ケンタウロス族は悪戯で脱糞するが、TPOはわきまえているんだって。
就任式で黒乃さんが顕現してたから、怒りを買っているそうだ。
まあ、怒るよね。黒乃さんが以前、殺しそうと言ってたこと理解した。
他の大神殿も同様に行ったよ。特に問題なく設置した。
転移の魔道具は、神殿の極秘事項だ。使い方によっては、悪用できるからね。
悪用しようとした場合は、魔道具が二度と使えなくなる。このことは説明してるので、問題はない。
ダンジョン探索用のアイテムは、光の大神殿で渡すことになってる。授けるアイテムに関して、考えていることがあるから。
◇◆◇◆◇◆
転移の魔道具の設置は、三日程かかったよ。時差があるから、三日で済んだとも言えるけど。
四属性の大神殿では、大精霊以外に女神様がいてさ、泥酔牛の料理を要求された。後、ケーキも。
バタバタしたけど、ダンジョンの魔物は、俺たちが探索した時以上には、増えないようだ。
各大神殿から連絡があって、光の大神殿へ代表が来るそう。色々手続きも必要だからね。
今回は魔道具の回数制限には、カウントしない。俺の都合もあるから。
そのことは伝えてある。ダンジョン探索メンバーは、代表が来た後、すぐ来ることになっている。
探索メンバーも来たので、打ち合わせだ。
根田 「皆さん、光の大神殿まで、お疲れさまでした。探索用のアイテムを授けます。マジックバッグの機能は、極秘にしてください。」
各大神殿から研究職が来ている。5名づつで、35名の大人数だ。神域空間で話すので問題はない。
授けるアイテムは、幻覚ナイフ10個、毒無効の指輪10個、風の障壁のスカーフ10枚、霧の障壁のバンダナ10枚、魔弓(4属性)2セット、結界の盾2個に各神殿がなるようにした。光の大神殿の分は、幻覚ナイフなら5個追加した形だ。時間停止機能付きマジックバッグを2個与えたが、これは特殊で、大きさ関係なく、二千個物が入るものだ。形状は、小型のウエストバッグで探索の邪魔にならない様にした。後はダンジョンのマップも授けた。
これだけ授けて攻略できなければ、地上の者にあのダンジョンは無理だ。
各大神殿は、俺が魔素を間引く探索に1度だけ同行できる。その時に得たドロップ品などは、与えることにした。
光の大神殿は、見習いが同行したのは、ノーカウントだ。ダンジョンは聖光国の物だし、見習いは俺が巻き込んだ形だから。
他の大神殿から特に異論はない。本来なら、光の大神殿が優遇されても問題無いからだ。光の大神殿へは、損失補填の代わりに俺の持っている泥酔牛の皮と魔石、残りの肉を与える。
授けた物が、特殊で貴重な物(大きさではなく、収納数が制限のマジックバッグは、この世界に存在していなかった。)なので、俺に祈る者までいる。
俺も神だから祈るのは良いけどさ。今回は特別だからね!
世界樹の森と魔族に関しては、聖光国と国交が無かったので、手続きが暫くかかる。
先に四属性の大神殿の者と探索だ。大人数だと探索しにくいので、5名づつ同行してもらう。
同行する者以外は、一度帰ってもらうことにした。俺に同行する時の転移は、ひと月3回の制限にはカウントしない。そうしないと不公平だからね。
各大神殿が、光の大神殿に次回来る時、お礼の品を持ってくるって言ってたよ。光の大神殿は遠慮していたけどね。
話がそれたけど、最初は土の大神殿の者と探索だ。
土の大神殿の者が、土の巫女さんと話していたけど、交代する時は、俺たちと旅しながら戻るってさ。転移だとのんびりできないって。確かにね。
それは置いておくとして、出発しよう。
根田 「では、20階層の隠し部屋の前に転移します。準備はよろしいですね?」
階層ボス部屋に魔物以外いないことを確認して、転移した。
前回同様、新種の魔物の攻撃パターンと罠の確認などをしてもらい、罠の破壊と泥酔牛を倒してきた。センブリ汁も教えたよ。酢とか他の物は、地上の者に試させようと思ってるから、俺は試さない。前回と同じだけ、食材と種などを入手したよ。
宝箱も出たけど、中身はミスリルのナイフと金貨200枚と前回出たの同じ普通の種だ。育て方は、教えてある。ドロップ品の種の奴もね。
泥酔牛のドロップ品は、角、皮、乳だった。ダンジョンボスの宝箱も出たよ。
土の大神殿の者も魔物を見ると俺を微妙な顔で見るから、この視線を各大神殿の者から向けられるかと思うと気が重い。
神の試練と思って、勘弁してよ!
根田 「宝箱は、冷凍冷蔵庫ですね。中身はカニ籠が入ってます。マジックアイテムですよ!」
泥酔牛の乳は、他の大神殿へも分けてくれるって。俺にも貰ってくれってさ。
乳は、金属製の牛乳輸送缶で密封可能な容器に入っている。40リットル入りが10本ほど。容器は浄化と冷却機能付き魔道具だ。蛇口が付いており、そこから乳をコップなどに注ぐことが可能で、無菌状態で運べる容器だ。
各大神殿に1本づつ分けてくれた。土の大神殿で2本確保して、俺に2本分けてくれた。後で試飲してみよう。
カニ籠は、俺が創ったのと同じ効果のある物だ。俺が創ったのより大型で5個ある。
俺のカニ籠に無い機能で、取り出すとき獲物を電気ショックで痺れさせて、仮死状態に2時間程度しておくことができる。魔法効果なので、獲物は、仮死状態が解けるまで死んで鮮度が落ちるとかは無い。まあ、調理するのに〆たら、効果は無くなるけどね。便利だから俺のカニ籠にもこの機能追加しよう。
土の大神殿の者に機能を教えたら、漁師ギルドと試してみるってさ。水棲人も興味を持つだろうって。
水棲人か。ファンタジーだよな。見たいけど、ダンジョン対応してからだな。
ダンジョンから戻って、土の大神殿から泥酔牛の乳を預かり、光の大神殿と手続き中で滞在中の闇の大神殿と世界樹の森に乳を渡した。
他の大神殿へは、俺が転移して渡してきたよ。土の大神殿の者は、帰った。
水の大神殿の者は、明日来る。持ってきて欲しい物を頼んである。
光の大神殿へのお礼は、それで大丈夫だって言ってね。
サンサーイ公国では、珍しいものでは無い。不思議そうにしていたけど。
光の大神殿にいる者達で、乳を試飲してみる。
根田 「そのまま飲んでも問題無いので、試飲してみましょう。この乳は、お腹は下ったりしません。」
泥酔牛の乳は、子供が飲んでも大丈夫だ。お腹を下さない特性もある。魔族領で発見したダンジョンで牛の魔物がドロップしたって、事情を知らない者には言ってある。
魔族が一緒だから、その方が自然だ。口裏合わせはしてるので、問題はない。
泥酔牛の乳、試飲です!
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、……。
根田 「美味い!コクがあって、まろやかで濃厚です!ほんのりと甘みがあり、生クリームのようです。」
光華 「とても美味しいです!」
黒乃 「濃厚でとても美味しい。」
玉樹 「すごく美味しいです!」
竜 「こんなに美味しい乳は、初めてです!」
地上の者も絶賛だ!
魔族と世界樹の森の手続きで、エルフ国、ドワーフ国、サンサーイ公国、コクモツ皇国、ヨウサイ王国の者もいるけど絶賛しているよ。
禿げ王子も来てるけど、感激して泣いている。
魔素を発生させたのは、事故だけど、ダンジョンの資源が地上の者に役立てばいいな。
夜になって、黒宮さんにおすそ分けに行ったら、大精霊達と女神様、エレー様がいたよ。
見識さんは食べ物にこだわらないそうで、いなかった。
泥酔牛の肉も食べたいって言うから、創生して食べて貰った。勿論、乳も飲んでもらったよ。
中華デザートの生姜牛乳プリンを作って食べてみたけど、無茶苦茶美味い。
皆も絶賛していたよ。見識さんの分も作って、持って行って貰った。食べて貰いたいからさ。
あ、生姜牛乳プリンは、広東で有名な奴だよ。
その内、地上の者にも作り方教えるか。
暫く忙しいけどね。
根田さんは、お人好しなので、色々授けます。
説明ばかりですみません。




