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第七十三話 泥酔牛の肉

泥酔牛を試食します。

駐在所に戻ったので、昼飯だ。

皆、空腹だろうから、手早く炉ばた焼器の魔道具で野菜やキノコを焼くことにした。野良ターキーとコカトリスも串焼きにする。

砂糖も入手してるから、たれ焼にした。自分達用にタレは作ってあったから、それを使用。

南瓜やトウモロコシが美味しいってさ。聖都にもシイタケは売っているそうだけど、乾燥した奴で生シイタケは、一緒にいる神殿の者は、初めてだそう。美味しいってさ。

風の巫女さんとかは、エルフ国出身だから食べたことあるだろうって言ってた。

この世界には、キノコ栽培技術が無いので、天然物で数も少ない為、俺も聖都でキノコを売っているのは、見ていない。簡単に入手できれば出汁になるんだけどね。

野良ターキーとコカトリスの串焼きも美味かったよ。丸焼きは豪勢だけどオーブン用意するの面倒だからね。

ダンジョン踏破祝いで、考えていたカステラを創生して皆に振舞った。

甘味が少ない世界だから、喜んでいたよ。

食事も済んで、ダンジョンの下層階のことを相談しないとね。

上級神官に声を掛けて、打ち合わせすることにした。

まだ、駐在所の騎士たちに教えない方が良いだろう。食事で出した食材は、ダンジョン産と教えていない。

先に神殿の方針を決めないとね。ここは、神殿の直轄地だから。


根田 「ダンジョンのことを相談をしたいのですが、どうしましょう?」


ソコトラ 「根田様、一時的に21階層以降へ立ち入れない様にできますでしょうか?」


根田 「それは可能ですが、幻覚ナイフが出ていないので、我々以外は、現状入れません。」


ダンジョンの情報をリアルタイムで受け取るように設定したから、分かる。外からダンジョンの設定変更もできる様にしたし。


義足だった神官 「光の大神殿へ一度戻り、聖女様や大神官様と調整するのが良いと思います。冒険者ギルドへの情報開示の範囲なども決めてから、21階層以降へ立入れるようにするのが良いでしょう。根田様、お手数をおかけしますが、設定をお願いします。」


まあ、その方が良いだろう。冒険者で毒床対応できる装備をしている者は、そうはいないだろうから、あそこで毒に侵されて死ぬだろうし。

俺たちは、装備で無傷だったけど、あそこの毒床って結構猛毒なんだよ。毒床の部分は毒ガスもあるし。でも毒床から外れると毒ガスの影響ないのは、流石ファンタジー世界だ。ゲームみたいだよね。

俺も発生させた魔素の分を間引くまでは、神殿の者以外に立入って欲しくない。


根田 「わかりました。設定変更します。幻影の壁部分を普通の壁に変更しましたので、私が開けなければ立ち入ることは出来ません。」


神族とか精霊は、出入り自由だけどね。


ソコトラ 「根田様、有難うございます。」


義足だった神官 「根田様、有難うございます。ダンジョンの詳細をお聞きしてよろしいですか?」


根田 「ダンジョンから地上へ戻ったばかりですし、今日は休息することにして、明日、聖都に転移で戻りましょう。見習い達の帰りの訓練ができなくて申し訳ないですが、神殿で方針を決める方が良いでしょう。それに21階層以降のドロップ品は、食材や種ですからね。まあ、とっくり草はありますけど。」


義足だった神官 「食材や種は、農業国である聖光国にとって貴重な財産ですよ。冒険者にとっては、あまり価値は無いかもしれませんが。根田様、とっくり草とは、どのような植物ですか?」


根田 「ダンジョンボスがいる部屋に生えているのですが、これです。これを煎じた物は、状態異常を治す薬になります。まあ、毒や麻痺、錯乱、混乱を治すもので、視力低下や肉体欠損は、治りませんけど。あれは、怪我とか病気、肉体の老化とかですから。あ、魔法攻撃の状態異常も治せますよ。他には、泥酔状態も回復できます。酔っぱらうのは、状態異常の一種ですから。それに寄生生物の駆除も出来ます。キノコの魔物に寄生されても、すぐに煎じた物を飲めば駆除できるので、助かります。」


そう言って、とっくり草を見せる。


義足だった神官 「すごい薬草ですね。普通は、症状に対応したポーションか回復魔法を使用するのですが。これも根田様の生み出した植物ですか?」


根田 「そうです。ただ、この植物は、魔物が食べると興奮状態になるのですよ。師匠さんは、ダンジョンボスが食べた後、どうなったか見てますから、色々問題あるのは、分かると思います。」


ソコトラ 「根田様、見習いの訓練は、気にしなくても大丈夫です。予定よりずっと早いので、余裕がありますから。とっくり草は、確かに魔物が食べると問題ですね。ダンジョンボスすごかったですから。」


師匠さんが、渋い顔している。

まあ、あれはね。他の魔物がどんな反応になるかは、確認する必要あるけど興奮するのは確実だから。そう言う性質を神である俺が与えてるからね。

事故だから不本意だけどさ。事故が無かったように処理もできるけど、それやると地上に影響が大きすぎるから。


根田 「一応、発生した新種の魔物の一覧です。攻撃パターンや弱点もまとめてあります。何度か潜らないと変化があるかもしれませんから、この資料は、今回潜った情報ではありますけど。」


そう言って、今回遭遇した魔物の資料を渡した。


義足だった神官 「かなり強力な魔物ですね。特にキノコは厄介です。冒険者では、対応出来ないでしょう。まず、対処できる装備を持っていません。冒険者では、ダンジョンの餌になるだけですね。高位の冒険者でもドロップ品が、これだと入らないでしょう。領地を持っている者なら、ドロップ品の価値は理解するでしょうが。」


まあね。冒険者には、価値無いだろう。宝箱から武器とかアイテム出たけど、俺が一緒だったから出た物だし、普通は出ないレアアイテムだからな。


根田 「今回出たアイテムなども含めて、一度神殿に戻ってから、調整しましょう。それまでは秘密厳守で。」


そう言うと上級神官の二人が頷く。

あ、昼飯で食べたキノコと野菜は、ドロップ品であるのは、見習いとかにも口止めしている。情報の開示範囲を決めてからでないと不味いからね。

今回同行した見習いは、貴族の子供だ。家督を継がない三男とかだけどね。魔法の適性があるので、神殿で修業している。そういう子供たちなので、政治的なことも理解しているから、情報をペラペラ喋ったりはしない。まあ、行動制限掛けてるから、心配しなくても大丈夫だけどね。

珍しい食材を出しても俺が出す分には、聖地の物って思われるから問題無いしね。

話がそれたな。


根田 「では明日は、朝食後に転移で戻りましょう。戻るのは、見習いとお二方と我々と言うことでよろしいですか?」


義足だった神官 「それで大丈夫です。騎士団の者は、交代したばかりですので。」


ソコトラ 「根田様、明日は、よろしくお願いします。」


任せてよ。予定も決まったので、見習い達への説明は師匠さんに任せて、俺は夕食で試食する泥酔牛の味見をしよう。

俺が妄想した性質の肉だと子供に食わせるのは、問題あるんだよね。

見習い達みたいにレベルがある程度高い者は、子供でも大丈夫だけどさ。いろんな耐性が高くなってるからね。

まあ、味見してから考えよう。



◆◇◆◇◆◇



泥酔牛の肉を確認していたら、師匠さんと見習いが見学したいと言ったので、説明することにした。

ドロップしたのは、枝肉なので、頭とか尻尾は無いけどね。

肉屋にあるような牛の部位の図を創生して、見せながら説明する。


根田 「皆さんは、獣や魔物の解体をしたことはありますか?このドロップ品は、すでに枝肉になっているので、血抜き後に内臓を取り出した後の状態です。血抜きも完璧にされてますね。下手な人がやると血生臭くなるんですよ。」


見習い達に聞くと解体は、見たこともしたことも無いそうだ。


根田 「なるほど。解体の経験はした方が良いかもしれません。筋肉や筋が骨にどのように付いているとかを理解すれば、獣や魔物、人などもそれほど変わらないので、治療を行う時にイメージしやすくなりますから、回復魔法の効果を高めることもできると思います。まあ、牛に関しては、内臓の作りが人と違いますけどね。」


聖都に戻ったら、カラーウサギで練習してみるそうだ。魔弓使うのに弓の練習必要だから、普通の弓で狩ってみるってさ。弓が上手くないと魔弓使わせて貰えないだろうからって。それに解体できるようになれば、民の為にもなるだろうからってさ。皆立派だな。

でも魔弓は神殿で取り扱いは決めることになるよ。かなり強力な武器だから。結界を張る盾も同じだ。

これらは、強力なマジックアイテムなので冒険者ギルドに売却するのは、不味いからね。傭兵や聖光国の敵対勢力に渡ると自分の首を絞めることになるし。

ドロップ品については、上層階で出た魔石以外に関しては、機密扱いだ。その辺は、見習いも分かってるから心配ないけど。


根田 「じゃあ、順番に肉を部位で分けて、説明するね。」


そう言って、部位ごとに切り分けて説明する。

骨に関しては割って、中の骨髄を見せて、血を造る部分だと説明する。これは知られていない知識だが、知識を授けるのは、今回迷惑をかけたお詫びだ。

俺は神だけど、人とか神関係無しで、迷惑かけたら詫びるのは当然だと思うから。

骨髄が食用可能なことも教える。

骨髄料理は、その内作ってみよう。ウサギガラスープやブイヨンを作ったので、骨が食材なのは、見習いも知っている。

話がそれたな。


根田 「頭の方から説明するね。ここの部分がネック。首の肉だ。脂肪分が少なくて硬めだけど、肉の味は濃厚で美味いし、エキス分も豊富だよ。ひき肉や煮込み料理に向いているね。シチューとかスープが良いと思う。次は肩。この部分ね。肩ロースって部分がここだけど、肩ロース覆うようにある。ここも脂肪分が少なく硬めだけど、肉の味は濃厚でエキス分や肌に良い成分とかうまみ成分が豊富に含まれる。ここも煮込み料理が向いているかな。次は希少部位だけど、泥酔牛はデカいから、ダンジョンに潜った我々の分ぐらいはありそうだね。希少部位は、倒した特権で我々で食べましょう!倒したのは私なので、文句は言わせませんから!ここが、トンビ。普通の牛だと一頭から2kgしか取れない希少部位。肩の一部で、肉質はももと同じ。味はさっぱりしていて甘く上品な味わいだよ。説明していて、よだれが出そう。たたきとかローストビーフ、ビフカツって料理が向いてるね。次も希少部位だね。ミスジ。これも普通の牛だと1頭から2kgしかとれない。木の葉のような形と綺麗な霜降りで口の中でトロける。すきやきとかしゃぶしゃぶって料理に向いてる。次は大きい部位。肩ロース。脂肪が程良く霜降りで、牛肉らしい厚みのあるうまさだね。薄切りにして使うと旨味が引き出せるよ。すきやきとか炒め物、焼き肉が良いね。次は、リブロース。ロースの真ん中の最も厚い部分で、脂肪が多く霜降りになりやすい部分だね。肉質はきめ細かくて柔らかく、風味もある美味しい部位だよ。ステーキ、ローストビーフとかに向いてるかな。次は、サーロイン。腰の上部の柔らかい肉だよ。ヒレについで柔らかく、きめが細かく脂の上質な旨みがある牛の最高部位のひとつだね。ステーキで食べたいね。次は、ヒレ。サーロインの内側にある細長い部分だよ。最も柔らかい肉質できめが細かく脂肪・筋がほとんどない。これも少ししか取れない貴重な肉だね。次は、バラ。繊維質や筋膜が多いね。肉質はきめが粗く硬めで赤身と脂肪が層になってて、濃厚な風味が味わえる。幅広い料理で使えるよ。次は、うちもも。内また部分だ。脂肪が少ない赤身。きめはやや粗いが柔らかく、肉質が均一のかたまりが取れるので、ローストビーフとかに向いているね。次は、しんたま。牛のももだよ。きめが細かく柔らかで脂肪が少ない部位。ローストビーフが良いかな。次は、そともも。ももの外側部分だ。きめが粗く堅い肉質だね。煮込む料理に向いている。ここが、ランプ。サーロインに繋がる部位だよ。もも肉の特に柔らかい部分だ。とても柔らかく旨みがあって、ステーキの他、ほとんどの肉料理に使えるね。次は、イチボ。牛のお尻の先だよ。ここも希少部位だね。弾力のある赤身部位で先の柔らかい部分はステーキとかに向いている。それ以外の硬い部分は煮込み料理に向いている。最後は、すね。硬い部位だ。脂肪がほとんどなく筋が多い。肉の味が濃厚なので出汁をとるのに最適だね。じっくり煮込むと柔らかくなる。煮込み料理が向いているね。」


泥酔牛は、地球のマッチョな牛”ベルギアン・ブルー(Belgian Blue)”の肉みたいに、脂肪が少なくて、柔らかい肉だ。肉量も無茶苦茶多い。問題は、俺が妄想した性質だ。

鑑定したら、妄想した通りだ。味は超一流だよ。保証しよう。問題と言うのは、この肉は、酒に漬け込んだ風味があるということだ。普通に焼いただけで、ブランデーを使ったフランベした状態になる。アルコール分があるわけでは無いのだが、煮込んだ時などは、ワインを使って煮込んだ様にもなる。和食などでは、みりん風味などにも変化する。しかも食べると肉体が活性化する。場合によってはレベルアップする特殊な食材だ。レベルアップしなくてもステータスは結構上昇する。この特性のせいで、レベルが低い者(100未満)や子供など各種耐性が低い者は、食べると泥酔状態になる。まあ、初回食べるときにレベルアップやステータスが急上昇するだけで、二回目以降は、それほど上がらないけど各種耐性が高くなる。普通の1級の魔物の肉より肉体強化の効果もある。俺は、簡単に倒したけど地上の者が倒すには、強力な魔物だからね。特殊効果がある食材をドロップする妄想をしたんだよ。

味見で希少部位をステーキにしてみよう。今回はイチボを焼いてみる。お尻の先と言う表現は、分かりにくかったかもしれない。牛の臀骨がH型なのでH-boneエイチボーンと呼び、そこから訛ってイチボと呼ばれるようになった部分だ。

泥酔牛は、デカいから希少部位でもかなりの量取れそうだ。皆に特殊性は説明した。


根田 「少し味見してみましょう。イチボを焼いてみますね。」


今いるのは、ダンジョンに潜った10人だから、1kg焼いてみよう。この肉は良い肉だから、余計なことしないで塩胡椒で焼いてみる。

焼いていると何とも言えない美味そうな匂いだ。

焼けたので、皆で試食する。


根田 「美味い!ブランデーを使ってないのに、X.O.(Extra Old)でフランベしたみたいに良い香りです。」


光華 「とても美味しいです。」


黒乃 「美味しい。それに良い香り。」


玉樹 「柔らかくて美味しいです。」


竜 「とっても美味しいです!食べたら力が湧いてきました。」


ソコトラ 「とても美味しいです。本当にステータスがアップしました。お酒を飲んだわけでは無いのに、体がポカポカします。」


見習い達 「とっても美味しいです!この肉の香りは、いい香りです。本当にレベルアップしました!体が熱いぐらいです!」


食べてみて実感したのだろう。孤児院の子供に食べさせ無い方が良いって、皆が言う。


ソコトラ 「根田様の言うように、この肉は特殊なので、子供に食べさせるのは、不味いですね。」


見習い達 「自分達もそう思います。修業している自分達でも体への影響が結構あるので、子供達が食べたら泥酔状態になるというのは、実感しました。」


試食も済んで、夕食は肩ロースで、すき焼きにした。シイタケとか白菜あるから。豆腐、しらたき、春菊、卵と葱は、創生した。

皆美味しいってさ。上級神官以外に肉の特殊性は教えていないから、能力がアップしたのは気付いていない。

神殿に戻ったら、子供たちに泥酔牛の肉がバレない様にしないとね。

機密事項が増えちゃったな。

子供が食べたら、とっくり草を試させてもらうか。泥酔状態の回復なら、一滴与えれば治るはずだからね。

気を付けないといけないな。

そんなことを考えつつ、夜は更けていった。

泥酔牛は、特殊食材です。

戦う場合は、ゲテモノですが、食べる場合は高級食材です。

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