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第六十七話 男祭り

移動回です。

今日は、ダンジョンへの出発日だ。

見習いと師匠が装備を試してみて、肌着や靴下が汗をよく吸って着心地が良いということで、トチバさんに綿を取り寄せるように頼んだそう。

栽培はしていないけど、聖光国の南部にも自生しているそうだ。

この世界には、化学繊維は無いけど魔物の素材や魔法もあるから、機能性衣料は地球より優れた物ができると思う。

そんなことよりも出発前に、この状況は何だろう?


根田 「光華さん達は、どうしてもその姿で行くのですか?」


光華 「勿論です!」


黒乃 「この姿のが安全!」


玉樹 「この姿なら、太郎様と一緒で問題無いですから!」


竜 「太郎様も納得していたじゃないですか。」


納得はしたよ。

理由も分かるからさ。でもねぇ、気分の問題というか。


ソコトラ 「根田様、お早うございます。従者様は同行しないのですか?それに、その方々は?」


見習い達 「根田様、お早うございます!」


見習いと師匠さんがやってきた。


根田 「お早うございます。従者も一緒ですよ。彼らがそうです。」


そう言って、精霊達を指さす。


ソコトラ 「えっ?従者様は、女性では?そこの方々は、従者様に似ていますが男性ですよね?」


精霊達は、宿屋や野営テントで男女わかれると、俺がいかがわしい場所へ一人でコッソリ行くのではないかと考え、男になってるのだ!

精霊達は、爽やかなイケメンになってるが、俺は嬉しくない。

暑苦しいおっさんと同行は御免だが、イケメンも嫌だよ。

一緒にいるのは、性欲が無くても美女がいいよ!

精霊達は、俺の行動を読んでやがるし。くそう、何故分かったんだ!

ダンジョンがある場所は、宿場町みたいになってるというから、怪しい雰囲気を感じるチャンスだと思ったのに!

いなくてもばれないように、身代わりゴーレムを用意するとか考えていたのに。何と言うことだ!

まあ、仕方がない。この作品は、ギャグであって、ハーレムものでは無いからな。


しかし、男祭りかよ。

あ、男祭りと言っても某ゲームの奴では無いぞ!男ばっかりって意味だ。

愚痴よりも説明しないとね。


根田 「ええ、男性です。私の弟子は、性別を変更することができるのです。”性転換”というスキルです。私もこのスキルは持っていません。少女の姿しか見ていませんから、驚いたでしょう?」


見習いと師匠さんが驚いている。

そりゃそうだよな。地上の者は、精霊が男になれるの知らないから。

精霊達も言い訳を考える、俺の都合も考えて欲しい。


ソコトラ 「そうなのですか?しかし、何故男性に?」


根田 「女性ばかりの集団で移動していると、余計な厄介ごとに巻き込まれる可能性があるので、男性になっています。」


説明すると見習い達も納得した。

聖都の周辺は、治安が良いと言っても問題が無いわけじゃないから。獣や魔物もいるけど、野盗も出ないわけじゃない。

自分達だけなら、どうにでもできるけど、今回は見習いが一緒だからね。

危険は無いが、厄介ごとは避ける方が良いから。

不本意ながら男に囲まれてダンジョンへ出発だ。

あ、見習いは、巫女見習いが二人と神官見習いが二人だ。神官見習いは二人とも男の子。

ん?女性が四人で男性が六人なら、バランス的にはおかしく無いか。

でもイケメン、美女神官、巨乳美女、子供とおっさんの一団って変だよな?

気にしても仕方が無いので、出発した。



◇◆◇◆◇◆



街道に沿って移動しているが、特に変わったことは無い。

林や森が点在していて、他は草地になってる。街道沿いは、草原というほど広い感じではない。

馬車や旅人、冒険者などが行き交っているが、今の所、魔物は出てこない。

まあ、四六時中出てくるのでは、人族はすでに滅んでいるだろうからな。魔物もいるけど、共存できる環境ではあるということだな。

移動しながら聞いたのだが、今回は訓練なので村とかは、補給で寄っても宿に泊まるとかはしないそうだ。

ダンジョンがある宿場町に騎士団の駐在所があるので、ダンジョンへ入る前は、そこに泊まるそう。

魔物がいる場所へ行くのに、回復するのは当たり前だろう。

まあ、授けた装備に回復効果も付与してあるから、移動中に筋力とか体力は上がると思う。

レベルアップ以外にも体力や筋力、魔力は、使っていれば上がっていく。

レベルアップ時ほどの上昇では無いけど。使わなければ下がったりもする。これは地球と一緒。

運動しないと体力が低下するのと同じ。見習い達に回復魔法を使わせながら移動するほうが、本当は良いのだが、そう言った知識を与えすぎるのも問題なので介入しない。

順調に移動しているが、そろそろ飯時だな。丁度、野営場所がある。


根田 「皆さん、そろそろ昼食にしましょう。丁度、野営場所があります。」


そう言って、野営場所へ移動した。

野営場所には、自分達以外に馬車などがいるが、それほど混んではいない。

何でも昼抜きで移動する者も多いそうだ。野宿を避ける者は、そうするんだって。

急いで移動すれば、村の宿に泊まれるからってことらしい。

まあ、考え方だね。

俺は、”腹が減っては戦ができぬ”と考えるタイプだから、きっちり食べるよ!


根田 「備え付けのかまどは使用中ですから、焚火台を使用しましょう。薪を集めて貰えますか?」


そう言って焚火台を組み立て、土魔法で石のテーブルを作る。

見習い達が薪を集めてきた。


根田 「昼食は、米を炊いて食べましょう。この”飯盒”という鍋を使用します。」


飯盒の使い方を教えて、薪に点火だ。

点火は、見習いにやって貰った。この世界では、魔法の適性がある者は火魔法は必ず使える。

魔法を使うには、魔力循環を活発にする必要があるが、この世界の火属性は、火、加熱、燃焼、活性を司るためだ。

話がそれたな。


根田 「今回は、中蓋(掛子)を使って味噌汁を作ります。味噌玉を作ってきましたので、それを使います。具は包んでいる高菜の漬物と玉ねぎを入れましょうか。」


味噌玉は、包むラップ無いから、代わりに漬物が保存性が良いと思って、高菜の漬物で包んだ。

玉樹さんの話だと高菜はあるそうだが、ダークエルフが住んでいるあたりに自生しているだけで、魔族もエルフも栽培や利用はしていないそうだ。

まあ、俺が使う分には、聖地の植物で説明できるからね。

今回の味噌玉は、出汁入り味噌を丸めた物だ。魚粉や鰹節粉とかを普通の味噌に混ぜても作れるけど。鰹節とか加工法を教えていないからね。昆布もないし。

今回の味噌玉は、冬で乾燥してるから焼味噌にはしていない。俺が持ってるから時間停止だし。

とろろ昆布でもあれば、スープは簡単だけどね。

見習い達と一緒に米を研いで、準備完了だ。今回は、飯盒をひっくり返すのはしない。時間短縮の為、お湯で炊く。魔法でお湯出せるし。まあ、魔法で時短もするけど。


根田 「準備に本来は時間がかかるので、朝や晩に炊くようにして、昼は、パンなどの携帯食でもいいかもしれません。」


飯盒炊飯しながら、おかずは作り置きの唐揚げにした。ツチノコ減らしたいんだよ!

夕飯はバッタ使おう。

そのような根田の思惑もあったが、皆美味しいと食べている。

残ったご飯は、おにぎりにした。具は、梅干しだ。飯盒に入れて、俺が預かってる。その方が冷めないからね。

この世界には、梅干しがある。手に入る物を工夫した結果だろう。

中世ヨーロッパみたいな世界なのに、和風だ。

和風と言えば、荷物を減らすのに、戦国時代みたいに陣笠でもかぶってれば、鍋として使えるけど、この世界にはそんなの無い。

あ、戦国時代で思い出した。干飯でも作れば良かったか?携帯食だもんな。

まあ、神殿に戻ってから、教えるか。

後は、里芋があればなあ。茎を芋茎縄(いもがらなわ)にすれば、即席みそ汁の素なんだけど。

里芋は、世界樹の森じゃなくて魔族領の奥地に自生してるって、言ってたからな。人族も魔族と交流して、入手できるようになればいいけど。


芋茎縄(いもがらなわ)か。これのことは、置いておこう。問題児が出てきそうだしね。

だって、里芋の茎は、”ズイキ”だからさ!


ダンジョンまでは、男になった精霊達の監視の下、根田の”いかがわしい場所を見聞する”という欲望をかなえることなく、無事到着した。


根田 「何故だ!俺は、縁起神のはずなのに!イベントが起こらないのは、おかしい!」


そう言って、根田は自身を確認する。

…驚愕の事実が判明した。


根田 「勾玉付けっぱなしだった。」


勾玉のせいで、根田の力も制限されていたのだ。その事実に、膝から崩れ落ちる。

装備の力は制限されなかった。調子に乗った力を制限するものなので、普通の物には影響が無いのだ。

そのせいで根田は気付かなかった!根田の力は、ある意味調子に乗った力なので、制限されたのだ!

真面目に力を使う場合は、制限されないので、分からなかったのだ。

外套は、ふざけた機能とセットの力だったので、使えないのだ!


光華 「別にいいじゃないですか。魔物はダンジョンで見れますし。」


イケメンに言われると、美女と違って不愉快である。

途中の村で村娘が、ゴブリンやオークに襲われるテンプレも無いので、根田は機嫌が悪い。

村の様子も見たが、普通に家と畑、家畜がいる程度で、これぞファンタジー世界!というものは、無かったのも機嫌が悪い理由である。魔物も出なかったし。


黒乃 「仕方ない。ここは、私が一肌脱がないと!」


イケメンが服を脱いで近づいてくる。

根田は固まった。アレが固くなったのではない!恐怖で硬直したのだ。


玉樹 「黒乃!女性に戻らないと!太郎様が、恐怖でパニックになるから!」


イケメンがイケメンを止めている。

バラの花が背景に出そうな構図だ。根田は青い顔をしている。


竜 「太郎様、お腹すきました。夕飯まだですか?」


竜の言葉で救われた根田は、部屋から逃げるように食堂へ行ってしまった。

これには、精霊達も苦笑。


その夜、精霊達は女性に戻り根田の機嫌を取るのだが、恐怖体験のせいで、根田はダンジョンで食べる料理を作るため限定神域空間に朝まで籠もった。

いかがわしい場所を見聞するのに、ゴーレムまで創ろうとしていたのに、それを忘れるほど精霊達のイケメン攻撃は、根田にとってトラウマ事項なのだ!


根田 「ダンジョンで魔物に八つ当たりしてやる!」


地上の者に八つ当たりしないだけましだが、神様なのに、いい性格(・・・・)である。

根田さんはノーマルなので、神様だけどトラウマになります。

人の趣味には干渉しませんが、自身に影響がある場合は、固まります。

根田さんは、男色では無いのでイケメンや男が迫ると恐怖します。

展開どうしようかなぁ。

何とか考えます。

見捨てないでくれると嬉しいです!

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