第四十七話 模擬戦
模擬戦します。
治療院で”シアーツ”を授けてから、何度か治療しているけど患者できた冒険者から情報を教えてもらった。
今回は、その時のことを話そう。
珍しい1級冒険者で古傷で腕が動きにくいって話だったので、診察したんだけど骨折した骨が変な形で付いてるのと長年、重い武器を振り回したせいで、ヘルニアになってたよ。
筋肉量が多いのと高位の冒険者で、魔物の肉を結構食べているので、肉体強化されてるから普通に動き回れる。
体の状態を黒板で図解して説明したけど、高位の冒険者で魔物の解体とかも出来るから、理解したよ。
後遺症を含めて治すとなると乙回復より、甲回復を使う方が良いだろう。
金額は、治療院で行っている治療が、丙回復までのレベルで、一律金貨1枚と大銀貨2枚なので、乙回復で金貨5枚、甲回復で大金貨1枚にしたんだ。
症状によっては、もっと高くするけど。
技術を安売りするのは、してはいけないことだ。
技術を開発した人や習得した人の努力を無視する行為だからだ。
技術者に無償で技術を提供させる人は、習得するのに掛かったコストを無視している。
そう言う人は、タダ働きさせるのに文句言うしね。
俺の嫌いなタイプだ。
人からの頼み事は聞かないくせにさ。
話がずれたな。
料金を説明したけど、その金額で治るなら安いもんだと言うことで、きっちり治してあげたよ。
その日の最後の患者だから、神殿の広場で動きを見てあげたんだ。
あ、診察は午後三時ぐらいで終わりだ。
この世界の人は、朝早いから、基本的に寝るのも早いんだ。
神官とか騎士の交代制勤務は特殊だからね。
冒険者は依頼の仕事してるとき以外は、時間は自由だけどね。
治療した冒険者の動きは特に問題ない。
一応確認しよう。
根田 「体に違和感はありませんか?」
冒険者 「怪我する前より、動きが良くなった気がしますよ。ネタさん、ありがとう!」
俺も特級冒険者だからね。様付けしなくていいって言ったんだ。
根田 「それは良かったです。武器を使ってみますか?私でよければ相手をしますが?種族特性で不死身ですので、手加減せずに振るっても大丈夫です。あ、私は不死族では無いですよ。仙人ですから。精霊に近い種族です。」
模擬戦相手を申し出たら、是非と言うことだったので、神官たちに断って、模擬戦だ。
神官や騎士も集まってきた。
参考になるかなぁ?
人族相手だから、こちらは無手だけどね。
高天原の八百万の神々から授かったものに武器もあるけど、流石に使えないぞ、アレは。
金工鍛冶の神である天目一箇神様が創ったものなんかがあるんだけど、軽く振っただけで星がサクッと真っ二つに切れるような太刀とか勘弁してください!
高天原に文句言ったら、鍛冶屋神担当の神々が、『あれ?神界で訓練する用じゃないの?』とかとぼけるしさ。
怒ったら、『地上の鍛冶屋で捨てるようなの貰って、使うぐらいで神には丁度いいんだよ。』なんて言うし。
いいよ、武器は使わない!
使ったら危ない!地上が。
そんなことを思ってたら、冒険者さんの準備ができたようだ。
神官や騎士も興味津々だな。
根田 「何時でもいいですよ。不死身なので遠慮いりません。」
お約束のセリフみたいだな。
手招きして挑発とかしないけど。
冒険者 「では、遠慮なく。ふん!」
冒険者さんが使ってるのは、大剣って言うやつだな。
重量のある背に担ぐ奴だ。
冒険者さんは2mぐらいの偉丈夫だから、威圧感があるね。
振り下ろしてきたから、横に躱して、間合いを詰める。
人間だった時なら真っ二つだな。こりゃ。
今は、スローモーションというか止まってるのと変わらないけど。
動きに合わせて、ゆっくりやるのも気を使うね。
冒険者 「はっ!」
振り下ろしから、横に振ってきた。
即座に対応できるのは、流石だね。
しゃがんで足払いだ。
重い剣を使って踏ん張ってるからね。
力を加減して、よろけるようにした。
考え無しにやると足がもげるだろうからな。
気を使うよ。
よろけたところで、腰に手をまわし担ぎ上げる。
うーん、筋肉の塊だから、ごつごつするな。
それに男を担いでも嬉しくない。
なんか、周りが笑ってる。
顔に出たかな?
神官 「根田様、勝負中にそんな顔~。」
騎士 「男に密着するの嫌って、顔に出てますよ~。根田様~。」
光華 「太郎様、おっさんの密着は美しくな~い。」
黒乃 「太郎様の勝ち~。早く、おっさん下ろす~。」
玉樹 「太郎様~。担ぐなら、私を担いで下さ~い。出来ればお姫様抱っこで~。」
みんな笑ってるな。
あ、精霊達は治療院から出た後、通常モードになってる。
竜は留守番だからいないけど。
でも失礼だぞ!冒険者さんに悪いだろ。
冒険者さんを下ろしてっと。
根田 「どうですか?体の動きに違和感とかは?私の弟子たちが、失礼なこと言ってすみません。」
頭を下げた。
冒険者 「謝る必要ないですよ。体は全然問題ないです!怪我する前より動きが良いぐらいですぜ。流石、特級冒険者だな。ネタさん、怪我させないよう気を使ってるのわかりましたよ。こっちは、結構本気でいったのに。」
流石にわかるか。
ベテランで、達人って言われるレベルあるもんな。
根田 「気を悪くしないでください。せっかく治したのに、怪我させるわけにいきませんから。」
申し訳ない顔したら、笑われたよ。
冒険者 「ネタさん、気にしなくて良いですよ!特級冒険者で全属性大神官様という凄い方と手合わせできたんですぜ!まあ、子供扱いでしたけど。冒険者仲間に自慢できますよ!」
そう言って、冒険者さんは帰って行った。
冒険者さんが帰った後、神官や騎士たちが、『根田様、流石ですねぇ。特に最後の顔が良いですよ~。』なんて言って笑うし。
ここの神殿の神官や騎士は、レベルも高くて強いから、気を使って、ゆっくり動いた自分の動きが、すごい技術が必要なことは分るみたい。
『高レベルの者相手に、あれだけ気を使うのは、普通出来ないよねぇ。根田様凄いわ。』とか皆に言われるし。
笑ってごまかしたけど。
そんなことがあった後、冒険者ギルドからバッタ肉があるなら売って欲しいって、連絡が来たんだ。
人気があるってことで、300個ほど売ったんだ。
「大丈夫かな?」と思ったけど、すぐ売れたそう。
ある時に食わないと食えないからって事みたい。
ごめん。神殿の者たちは、良く食ってるよ。
それでもまだ、2万個以上あるんだよ。
魔石とか魔蟲鋼は、売れたみたいだけど押し付けるのも悪いからね。
海のある国へ行った時、売ってもいいしさ。
需要地で売った方が、買う方も良いだろう。
運搬中に襲われたりしたら気の毒だし。
そんなことを考えながら、冒険者ギルドの食堂で休んでいたら、治療した冒険者さんとあってさ。
冒険者 「あれ?ネタさん。治療院の仕事は、いいんですか?」
根田 「あ、こんにちわ。今日は、バッタの肉を売りに来たんですよ。」
冒険者 「ああっ!それで。さっき食いましたよ。あれ美味いですよね。ネタさんが食えるの教えたとか。」
根田 「ええ、まあ。食べる習慣が無かったものみたいで、気にはしているんですけど。」
冒険者 「何言ってるんですか!美味い物の情報は有難いですよ!天ぷらとかジャガイモ揚げたのもネタさんでしょ?あの調理法だって、ひと財産稼げるぐらいですからね。」
根田 「そう言っていただけると嬉しいですけど。そう言えば、冒険者さんは聖都の周辺の魔物に詳しいですか?」
冒険者 「この辺の魔物ですか?獣系が多いですよ。人型もたまに出ますけど、人型は、街と街の間の村とかの周りの方が多いですね。北側の河には、人型じゃないですけど大型の魔物も出ますね。橋とか船着き場なんかは、水魔法の障壁の使い手がいるのと魔道具が設置されてるから、安全ですけど。」
根田 「北側の河の魔物って、水棲の奴ですか?」
冒険者 「水棲のもいますけど蛇とか亀、蟹なんかの魔物は、河原とか周辺の草地でも出ますよ。」
根田 「そうなんですね。鳥なんかはどうですか?」
冒険者 「北側には、あまりいないですね。西か東ですよ。南は、獣系ですぜ。」
根田 「なるほど。北側には、行ってないんですよ。今度、船着き場とか見聞しようかと思ってるんです。」
冒険者 「見聞?神殿の仕事良いんですか?」
根田 「私は神託で、聖地から人族の活動域を見聞するために来たんですよ。光の大神殿の仕事を手伝ったのは、見聞の一環です。まあ、お世話になってるというのもあるのですが。」
冒険者 「そうだったんですね。それじゃあ、船着き場とか見るの良いと思いますぜ。活気ありますから。」
根田 「ええ、今度見てきますよ。情報ありがとうございます。」
冒険者 「でも俺は、ラッキーだったんですね。ネタさんが治療やってるときに治してもらえたから。」
根田 「ははっ。それも運かもしれませんね。冒険者さんはレベルも高いから、運のステータス高いでしょ?」
冒険者 「まあ、それなりには。何か聞きたいことがあれば、声かけてください。俺もいろんな所へ行ってるので、参考になる情報あると思いますぜ。それじゃ!」
そう言って、冒険者さんは、食堂から出て行った。
根田 「いい情報を貰いました。今度、北側の河へ行ってみましょう。船着き場なんかも見たいですし。」
光華 「太郎様が、見たいものありますかねぇ?」
黒乃 「交易で荷下ろしやってるから、いろんな種族は見れると思う。」
玉樹 「河原の植物で珍しいのあったかな?川海苔なんかは、サンサーイ公国とか世界樹の森にあるけど、聖都の周りには無かったはずですけど。」
竜 「魚釣りですか?私、川魚って、食べたことないです。美味しいんですか?」
竜よ、魔物の情報聞いたからって、食材集めばかりするわけでは無いぞ!
エビフライは、海行った時、作ってやるから!
根田 「船とか見れるじゃないですか。見る所はありますよ。私は、お上りさんみたいなものですから。」
そう言って苦笑した。
光華 「太郎様にとっては、珍しいものですもんね。」
黒乃 「そう言えばそう。」
玉樹 「太郎様は、日本から来たんですもんね。一緒にいるから忘れてました。」
竜 「船は食べれないですよ?つまらないです!」
竜よ、勘弁してくれよ。
自分達に近い種族で、食事がそれほど必要ないんだからさ。
根田 「竜さ、人の活動を見るのも俺にとっては、大切なことなんだよ。河に行くの嫌なら、留守番する?巣に戻っても良いけど。」
竜 「嫌じゃないです!私も行きます!太郎様たちだけで、美味しいモノ食べたら泣きますよ!」
はあ、結局食い気か。
まあ、北側の河に行くことにはなったから、難しく考えるのよそう。
どんな感じなんだろう。
竜は食いしん坊です。
今回、ネタが少なかったです。
すみません。




