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第四十六話 医の聖人

偉人の登場です。

紙漉きと干し柿などを教えた後、暫くゆっくりしていたのだが、そう言えば、神殿にいるのに治療院は見聞していないことに気が付いた。


根田 「そう言えば、神殿に住んでいるのに治療院は見聞してませんでしたね。」


光華 「そう言えば、そうですね。」


黒乃 「酷い状態の患者もいるけど、太郎様そう言うの大丈夫?」


玉樹 「我々精霊は、生き物の生死は、自然の理で見慣れてますけど太郎様は、日本でそういう仕事してませんよね?大丈夫ですか?」


竜は静かだけど、今は寝ている。

精霊に近い種族で、それほど寝る必要はないが、肉体を持っているので、休息は必要だ。

ベッドにドラゴンモードで丸くなってる。

毛布とか出そうかと言ったら、必要ないそうだ。

鱗自体が体を快適な状態に保つそう。

便利な体だな。

まあ、自分の体も似たようなものだけど。休む必要も無いから、竜より便利なのか?

深く考えないようにしよう。

それよりも治療院の話だ。


根田 「地上を旅するうえで、大神官の身分を持ってますから、そういうのにも慣れないといけません。神として地上を見守れば、どうしても見ることになるでしょう?必要なことです。」


光華 「太郎様、流石です!気分が悪くなったら、すぐ言ってくださいね。」


黒乃 「太郎様真面目!だから大好き!気分悪くなったら介抱するから、安心して!」


玉樹 「太郎様が気分が悪くなって、地上の者に変に思われないよう、認識調整はしますから、安心してください!」


精霊達のフォローもあるので、聖女さん達に後で頼んでみよう。

患者の治療もしてみよう。

回復魔法の練習になるだろうからね。

練習とか言って、患者に悪いけど、ちゃんと治すから見逃してよ!

竜が起きてから説明して、治療院へ行こう。

竜は留守番だ。

聖獣なのは知られてるから、奇跡に頼るような患者がいると問題だから。

竜のこと聞かれたら、巣に帰ってるって言えばいいしね。

治療院へ行く前に準備しておこう。

医療と言ったら、あのお二方を紹介せずには、いられないだろうからな。

黒板などを創生しておいた。


…そうだ!回復魔法のレベル設定をしておこう。

神族はイメージで魔法が発動して、怪我や病気の大きさ無視して治しちゃうからな。

自分の種族が仙人なのは知られてるから、呼び方どうするかな。

上中下や大中小だと普通に思われる可能性あるよな。

うーん、そうだ!十干(じっかん)でいこう!

最近は使う機会が少ないから、一応説明する。

十干(じっかん)と言うのは、古代中国で考案された、十二支と合わせて干支(かんし、えと)といって、暦の表示などに用いられるものだ。

(こう)(おつ)(へい)(てい)()()(こう)(しん)(じん)()の10の要素からなる。

現代日本だとカレンダーとか一部の資格なんかで使われてると思う。

あまり細かくても仕方がないから、甲乙丙丁でいいや。


奇跡  …… 死者蘇生を含むので、使用不可。できるけど使うのは不味い。

甲回復 …… 四肢欠損や重篤な状態も治す。死んでなければ治して回復する。

乙回復 …… 手術が必要な大怪我・病気全般を治す。

丙回復 …… 縫合が必要なレベルの怪我や骨折を治す。

丁回復 …… 打ち身や切り傷レベルを治す。


実際に治療するのは、神殿の者に料金や回復レベルを確認してからだな。

夜が明けたので、拝殿に行って祈りを受け取り、聖女さんに確認した。

治療院の治療は、交代制で神官や巫女さんもやるそうだ。

入院と言うのは無いそう。

お布施と言う治療代が結構な金額なので、貴族や小金持ちの商人・余裕のある冒険者が対象の為、重い病気などは訪問治療なのだそう。

訪問治療だと移動なんかの経費も掛かるので、一般の者は、金が払えない。

治療院だと丙回復レベルまでだそう。

その程度なら大丈夫だな。

時空間収納の機能で解体とかできるけど、一応、練習で普通に魔物の解体してるから骨とか内臓は見ても大丈夫なんだ。

神様になったせいか人族なんかを見ても生き物って言う感覚なんだよね。

この辺は仕方が無いのかもね。

話がそれたけど、治療院のお布施は、一律で大銀貨12枚(金貨1枚と大銀貨2枚)だそう。

薬が必要な場合は、それプラス薬代だって。

これは、聖都の場合で、他の街だと一律金貨1枚で薬代だってさ。

後、聖都では行ってないけど他の街だと貧民向けに、月に一度無料の回復魔法での治療があるそう。

薬代は別だけど。そりゃそうか。

これは、下級神官の練習の意味もあるそう。

だったら、神様の自分が練習しても良いよね?駄目?大目に見てよ。


根田 「自分も大神官であるのは知られてますから、旅の途中で治療することもあると思います。無暗に奇跡のような治療するわけにいきませんから、普通の治療をやっておきたいのです。練習のようなことになるので申し訳ないのですが、きちんと治しますので。」


ベラ 「確かにそうですね。根田様が治療したら普通に奇跡になります。今日は、私の担当ではありませんが、担当する巫女に言っておきます。神官や巫女の見習いもいますので、根田様の治療を見学してもよろしいですか?」


根田 「それは構いませんが、参考になりますかね?話し方などは参考になるかもしれませんが。」


ベラ 「回復魔法については師匠となる者がいますから、大丈夫です。根田様の人を安心させる話術が学べればと。」


根田 「そう言うことなら、参考にしてください。では、朝食後に治療院へ行きますね。」


ベラ 「よろしくお願いします。」


官舎に戻って、朝食をとり、竜に留守番を頼んで治療院へ行こう。

自分と精霊は食事不要だが、こういうのは習慣にしておかないと、旅してるときに不審に思われるからな。

竜に食事させる必要もあるしね。

今日は、留守番だから、おやつも置いてきた。

饅頭と大福と羊羹だ。

お茶も薬缶に入れてきたから大丈夫だろう。

竜も時間停止のアイテムボックス持ちだから冷めないしね。

竜用の湯飲みも創って渡してあるし。

精霊達は不可視モードだ。

大人数だと邪魔だしね。



◇◆◇◆◇◆



治療院に着いた。

まあ、神殿の敷地内なんだけど、光の大神殿は広いから。

結構患者さんがいるね。

農奴の人もいる。

奴隷は財産だから、治療するわな。回復魔法使える神殿の財産だし。

自分も治療しよう。

自分の治療を見学する見習いは5人だ。巫女見習いが3人に神官見習いが2人。


根田 「皆さん、お早うございます。自分の治療が参考になるかわかりませんが、今日は、よろしくお願いします。」


見習い 「根田様、お早うございます!よろしくお願いします!」


皆、元気だね。良いことだ。

さて、治療開始だ。

黒板を出さないと。

この世界にもチョークはある。石の加工時に印をつけるのに使ったりする。

黒板は無いけどペンキみたいなのはある。

魔物の墨だそうだが、結構いろんな色がある。

イカとタコの魔物か聞いたら、それもあるけど魚や蟲の魔物も吐く奴がいるそう。

それほど強くなくて4,5級の魔物らしい。

結構獲れるそうで、それほど高くない。

だから、黒板も塗装した板と思ってくれるので問題ない。

さあ、診察だ。

患者さんは女性か。

外傷は無いけど鑑定してみるか。


根田 「お早うございます。今日はどうしました?」


女性 「お早うございます。あれ?神官様、収穫祭で舞を舞われた国賓の方では?」


根田 「おや?御覧になられたのですか?舞姫と違って、私の舞は男舞ですので、華やかでは無かったでしょう?」


女性 「いえ、そんなことはありません。とても神秘的で優美な舞でした。神官様のような身分の高い方が治療を?」


根田 「ははっ。治療などが神官の本来の仕事ですよ。話していてわかりましたが、気血の巡りが悪いようですね。疲れやすく、生理不順、情緒不安定ですか?」


女性 「えっ?見ただけでわかるのですか?」


鑑定する前に魔力の状態を見たら巡りが悪い。

この世界の診療は、自己申告が基本だが、手に魔力を発生させて確認する方法もある。

これは、魔素が物質の構成要素だからだ。

東洋医学で顔色を見て診察する技術があるが、あれの応用でやってみたら出来た。

この世界の者は、血以外に魔力が体を循環している。

魔力循環が悪くなると病気になる。

丁度、東洋で言う”氣”が体内を巡っているというのと同じ感じだ。

準備しておいて良かったぜ。

黒板を利用して解説だ。

ケーシー高峰師匠のモノマネ炸裂だ。

黒板でエロ解説だな。


根田 「やっぱりね。私の一族の守る聖地では、女性は命を繋ぐ存在で大切にされますからね。奥さん、気血を巡らすには、適度な運動です。おっと、気血と言ってもわかりませんね。体には、血などの体液以外に魔力が循環しているのです。こんな感じでね。(黒板に絵を描いて解説した。)適度な運動と言えば、やはり夫婦生活ですよ!夫婦円満は健康の秘訣ですからね!特殊治療術をお教えしましょう。これは、医の聖人トクジロー・ナミコシ先生が創られた回復術です。その名も”シアーツ”。肉体を活性化する”ツボ”という場所を刺激するものです。皆さんも自然に使ってますよ!まずね、”チクービ”のツボ。これ刺激すると女性は気持ちいい!おっぱいの真ん中にある。それとね、”ウフーン”のツボ。これは、男女とも刺激すると気持ちいい!これは、股間にある。これで、夫婦円満で子宝に恵まれる!生理不順も治るから。」


女性 「やだぁ。神官様のスケベ!」


そう言いつつ、女性は嬉しそう。

見習いは赤くなってる。

生理不順に効くツボも教えないとね。


根田 「まあ、”チクービ”と”ウフーン”のツボは、冗談だけど、”シアーツ”は体の状態を調えるものだから、生理不順は、ここ!三陰交(さんいんこう)。内くるぶしの頂点から指4本分上の所、太い骨のすぐ横。これは、ホルモン、血と同じで体を流れるもので大事なものだけど、これのバランスを整えるので、ご婦人のいろんな症状に効果があるから!特に腰痛や冷えに効くから。それに、血海(けっかい)。これは、膝のお皿の上、内側のひざを伸ばしたときにへこむ所から、上へ指3本分の所にある。これは、血行を良くしてくれるツボだから、血行不良や生理不順、生理痛とかご婦人の症状の改善に効果がある!後は、陽陸泉(ようりょうせん)、これは、足を伸ばして座ったとき、膝の外側、下の方の出っ張った骨があるけど、その出っ張りのすぐ下のくぼみのちょっと前側のとこにある。生理前のむくみ、イライラ、全身の筋肉疲労などに効果がある!それとね、腎兪(じんゆ)、これは、背中、ウエストのくびれたとこ、背骨から外側のそれぞれ指2本の所ね。ここは、血行を改善するから、生理不順への効果がある。後は、そうだな、関元(かんげん)、これはお腹、おへそから指4本下にある。これは、身体のバランスを整えるツボね。不妊に悩まされている人にも効果があるから。」


説明しながら、指先に魔力を発生させて指圧する。

血行がだいぶ良くなった。


女性 「神官様、体がポカポカして気持ちいいです。」


根田 「そうでしょう?”シアーツ”は効果あるでしょう。これで回復魔法を少し使えば、効きが良くなるから。紙に書いてあげるから、ご主人に押してもらって!ついでに、”チクービ”と”ウフーン”のツボもね。”ウフーン”は、奥さんもご主人にしてあげるんだよ?それで宝物ができるから!子宝っていう大事な宝がね。わかった?」


女性 「もう!神官様、皆の前でやだぁ。」


嫌がりつつも、ニヤニヤして嬉しそうだ。

元気になったな。

丁回復を掛けておいた。

わら半紙にツボを図解して渡した。

今夜からご主人に押して貰うってさ。

押すときは力任せじゃなく、気持ちいいって感じる強さで押すことを教えて治療終了だ。

指先に魔力を発生させて押すと効果的だとも教えた。

これは何かの本で読んだが、鍼灸師が治療の時、指先に氣を発生させて治療すると効果が高くなると書いてあったので、応用したら上手く行った。

こちらの世界では、魔力が体を巡ってるから、効果があるのだろう。

あ、わら半紙は日本品質だ。

最近は使われてないけど。

後、書くのに墨と筆で描いた。

墨を硯ですってたら、不思議そうに見られたよ。

文宝四宝は、この世界に無いのは知ってたけど、狸の魔物の処理に困ってさ、狸の毛で筆作ったんだよ。

だって、狸の魔物臭いから浄化魔法かけたんだけど、毛皮として使えなくはないけど、何故か毛が抜けるんだ。

それで、筆作ったんだよ。

渋柿採りに行った時、竹もあったから、少し採ってきてたし。

そのことは置いといて、女性のほかは、けが人だった。

骨折とかが多いね。

サクッと魔法で治したよ。

軽快にエロトークしながらだけど。

見習いが普通に症状を聞いて治すのでは駄目なのか聞いてきたから、それでも良いけど、患者さんは、病気や怪我が治るか不安だから、気持ちを和らげるためにしてるんだって説明した。

納得してたよ。

エロトークは、恥ずかしいとは言ってたけど。

別にエロトークじゃなくて良いんだけどって、説明したけどね。

あ、OPが3万増えたよ。未だに基準が良く分からないけど、合計5万ポイントある。

昼食後、治療院へ戻ったら、見習い達の師匠の神官がいたよ。

あれ?非番で休みって聞いたけど、エロトークしたから怒られるかな?

まあ、怒られても仕方が無いか。


根田 「どうしました?非番って聞きましたけど。あ、私の治療、お弟子さんに悪影響でしたか?すみません。」


神官 「いえ、そのようなことはありません。根田様の治療を受けた者が、皆、笑顔で帰るので、私も見学したいと思いまして。」


根田 「そうでしたか。参考になるかわかりませんが、どうぞ見学してください。下品な話をしますが、怒らないでくださいね。」


神官 「それは弟子から聞いています。患者の不安を和らげるためだと。」


見習いが呼んできたのかもね。

まあ、いいや。

精霊達は、エロトークの時は、ニヤニヤして嬉しそうだし、不可視モードでよかったよ。


根田 「じゃあ、午後の診察始めますか。」


何故か、午後は、ご婦人ばっかりだった。

しかも揃って、生理不順とかの婦人病の人達。

午前中に診察したご婦人から聞いたそうだ。

勿論、”シアーツ”とケーシー高峰師匠のモノマネで治療して、皆、元気に笑顔で帰ったぞ。

見習いの師匠の神官が”シアーツ”に興味を持ったので、指圧の本を創生してあげた。

勿論、解りやすい図表入りだ。

図柄は、十四経発揮(じゅうしけいはっき)的な絵だ。

現代日本の鍼灸養成施設で使われている経絡や経穴の教科書は、十四経発揮を参考に作られているそうだから。

それと半紙を創生して、浪越 徳治郎(なみこし とくじろう)先生の肖像画を水墨画で描いて渡した。

偉大な指圧療法創始者だからな。

医の聖人”トクジロー・ナミコシ”先生の肖像だからって説明して。

ケーシー高峰師匠の肖像も渡した。

医の話術の達人だって説明して。



◇◆◇◆◇◆



根田が”シアーツ”と言って授けた指圧療法は、後年、神官の治療術として必須のものになった。

光の大神殿には、根田の授けた指圧の本と黒板、医の聖人”トクジロー・ナミコシ”先生の肖像と医の話術の達人”ケーシー高峰”師匠の肖像が残されている。

治療院には、偉大な二人の肖像が飾られ、根田の神像が祀られている。

授けた指圧の本は、神殿の宝として大事にされている。

治療院では、黒板を使って患者に説明をする。

勿論、エロトークで患者の不安を和らげて。

根田が診察したご婦人方は、夫婦円満になり、聖都の人口が少し増えた。

後年、根田が万年青に戻り、神殿が神であったことを発表後、子宝を望む夫婦が根田に祈りを捧げるようになる。

そんな時、根田は、『子宝は、エレー様担当ですから!エレー様に祈って!エレー様に。』と神託するのだが、創造神エレーも『別にいいじゃないですか。根田さんは私より神格高いのですから。』と神託に割り込んでくる。

この世界の最高神の声を聞けて、子宝を望む夫婦に子ができるのだから、根田は縁起神として信仰を集めてしまう。

子宝を授かった夫婦は、とても嬉しそうな笑顔だ。

この笑顔には、根田もエレーも嬉しそうだ。

尚、”チクービ”と”ウフーン”のツボのネタは、夫婦円満のネタとして広く知られている。

子供が真似するので、そのことについては、根田は反省している。

光華たち大精霊が結婚と”チクービ”と”ウフーン”のツボを刺激するのを根田に要求してるのは、お約束だ。

根田はとぼけているが。

今日も根田は地上を見守っている。

笑顔を作る神として。

参照参考文献

浪越 徳治郎先生

ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/浪越徳治郎

ケーシー高峰師匠

ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/ケーシー高峰

十四経発揮

ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/十四経発揮

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