古き森の神像
「そういう事なら早速うちの皆を引き連れて明日森を探してみるわ」
「お願いします」
皆で揃って食事をし、就寝となる。その日は夢も見ずにあっという間に朝を迎えた。自然と目が覚め着替えて外に出る。アステスさんに挨拶してそのまま準備運動をして水をコップ一杯飲み干し、鍛練を始めた。
鍛練を終えると朝食を取り、皆持ち場に去っていく。屋敷の直ぐ側に小屋を建ててフェンとヴィトは住んでいる。僕に同行したり周辺を散策したりと思いのままに過ごしている。シルフもそんな感じでいる。
「あららどうしたんだ三人とも」
そのフェンとヴィト、シルフが屋敷を出た途端付いてきた。アステスさんが調べ物をするという事で今僕の傍に居ないのもあって来てくれたのだろうか。
「あまり一人でフラフラするもんじゃないわよ? 命を狙われる存在なんだからさ」
「そうか? ……いやそうだね。気をつけないといけない」
「今日は何をするの?」
「そうだな。見回りと明日に備えて対策を考えながら過ごそうかと思って」
「あまり遠出はしない方が良いと思うけど」
「そうだなぁ」
ボブゴブリンの野営地で皆の様子を見て回った後、西北方面に足を延ばしてみる。目印を付けながら散策をしているけど、それなりに道が切り開かれていた。未開の地ではあるものの、リザード族もいるし、侯爵の屋敷もあった。ダークエルフもいるし当然と言えば当然か。
フェンとヴィトも僕の傍に居つつ、時たま草むらに身を突っ込んだり先行してモグラを見つけて遊んだりしていた。警護としてそれらをしてくれていると思っている。ただ僕の方でも警戒を怠らないように気を引き締めながら進む。
地図を見ながら進んでいるけど、この辺りは未開の地の中でも更に開拓されていない場所のようだ。段々と道も荒れて行き、けもの道のようになってくる。
草をかき分け進んでいくと
「うわ何あれ……」
「人の顔をした銅像?」
森の中にツタと雑草に絡まれているスフィンクスの小型版のような銅像が、不思議な雰囲気を醸し出しながら存在していた。
「皆周りは大丈夫かな?」
三人に声をかけると、シルフは上空を、フェンとヴィトは左右から分かれて近付いていく。僕もゆっくりと剣の束に手を掛けながら進んでいく。
「ヴゥゥゥゥゥゥ」
唸り声の様な音が木霊する。それと同時にデムも背後から僕を守るように手で僕を包みながら現れる。シルフとフェンとヴィトも急いで戻ってきた。何が起こっている……? ってそりゃ前に居るのしかないよね。
「あれは動くみたいだね」
「そうね。でも私は見た事無いわよ?」
「シルフはこの辺り来た事あるの?」
「勿論。探索はしておけば恩を売れるでしょ?」
現実的な言葉に吹き出しそうになったけど、そこは堪えて周辺を警戒する。
「グア」
バガンという音が像から聞こえた。それと同時に口の部分が開きその周りのツタなどが吹き飛んだ。デムも警戒を怠らない。僕はデムの手の隙間から銅像を見続ける。
「ア、イ、ウ、ア」
暫くすると発声練習をするかのような言葉を発した。
「なんだろうね……」
「なんなのかしらね……」
また少し待っていると
「よく来た」
と意味のある言葉を発した。
「ど、どうも」
「よく来たな人間。その背中の者の導きだろう」
「え、デムが見えるんですか?」
「私にはもう時間が残されていない。私が守っていた者たちはこの土地を離れ無事過ごせているようで安心した」
「ここに人が居たんですか? 何故ここから人が離れて行ったんですか?」
「文明は人に富を持たせてもくれるが、行き過ぎた文明は諸刃の剣」
「今の文明より発達した文明を持っていた……?」
「世界の巡りの名残、蓄積。無かった事にはならない事も者もある」
「……世界の巡り? 蓄積?」
「答えが知りたくば進むが良い。エルフの書籍にも助けがあるかもしれない」




