蓄えの出会い
「康紀様、宜しいのですか?」
「勿論今だけだけどね。相手に負い目がある事を自覚しているから責めるより懐を広げてみたんだけどね。正直薬草についてまで頭が回らないから、専門の人間が欲しかったんだ。エルフは今の段階だと信用は出来ないから渡りに船といえば船」
「確かに。私たちの地域の薬草を調べさせて記録させ、その用法などを解明するのですね」
「そう。その知識が出来れば皆がキチンと使うことが出来て苦しむ事も減るし、何より助かる命が増える可能性がある。シェンリュさんにも頼んで調べさせてもらおうかなと」
「何れは経済圏に」
「個人的には量産がどれ位で出来るのかを調べないと経済にはのせられない。でも治療以外の例えば美容なんかのものは改良して瓶詰めにでもして出せば乱獲は無いと思うけど、警戒はしていく感じで。ダークエルフにもひょっとするとそこら辺の知識があるかもしれないから、知識と知識を照らし合わせて色々試行錯誤していければと思っています」
僕はふぅと息を一つ吐いた。何にしても人も手も足りない。ただ同盟の基礎をがっちりしておかないと禍根を残すどころか混乱の坩堝と化してしまう。なので今は焦らず足場を固めよう。
ヴェルさんがエルフの村から帰るまでの間に鍛練や食事をとりつつ、ボブゴブリンたちの鍛練やダークエルフの人の指導の元農耕をしているのを混ざったりして、現状を肌で感じてみた。
夜盗のような生活をしていた所為もあって纏まりはあっても覚束ない。機敏に切り替える事は今は難しい。ただジャンさんの指導の元改善し始めたところだし、何よりその体力の豊富さが凄くて正直げんなりしつつも笑顔で共に過ごしてみた。ボブゴブリン凄い。
「お疲れ様でした」
あまり長居すると彼らの生活を阻害しかねないので、夕方ダークエルフの人を送って屋敷に戻ってきた。そしてアステスさんと鍛練をこなした後お風呂に入って食堂に行く。
「御帰りなさい」
ヴェルさんが一人、三段積みの本をテーブルの上に幾つかおいて何かしていたようだった。
「ヴェルさんそれは」
「ああこれはダークエルフの農耕の記録と、侯爵の図書室にあった農耕関連の書籍」
「研究ですか?」
「そうよ。私たちは劣勢だから、篭城の可能性も考えて早く収穫出来てお腹が膨れる、ダーポテト以外の物がないか調べてたの。侯爵からも図書室の利用許可は貰ってるから。勿論持ち出したりはしてないわよ」
「そう思います」
アステスさんは当然だと言う感じで答える。図書室にもやっぱり仕掛けがあるんだろうなぁと思った。
「ありがとうございます。そう時間もないですけどじっくり探してみてください」
「いやそれがさあったのよ似たようなのが」
意外な返答に僕とアステスさんは顔を見合わせる。
「似たようなのとは?」
「前に康紀がホウレンソウって言葉を発した時に、私たちの知識からしてホウレンソウってそこらに生えてる雑草の一種だから、なんで栽培する必要があるのかなと思ってさ」
「あ、そういえばあの時すんなり受け入れてましたねホウレンソウって言葉」
「で、私はここらの雑草の中でも食用になって栽培も容易で強いものがあるんじゃないかって思ってさ」
僕はその言葉に唾を飲み込んだ。まさかサツマイモ……?
「なんかさ白い花の根っこが肥大してそれが焼いて食べてみたらおいしかったって記録があってさ」
「そ、それもし見つけられたら茎を切って地面に再度埋めてみてください……ひょっとしたら上手くいくかも」
「え、そうなの?」
「いや勘ですよ勘。やってみる価値はあると思うんですけどね……」
正直記憶があやふやで正しいか自信がないけど、じいちゃんが畑に植えていた気がする。んでそれを食べた覚えもあるけど、生憎ヒキニートなんで育てた事がない。やっときゃよかった。




