二六
夢の中、金山正夫は海の中にいた。
そしてその中で、彼の前に四角形の集まりのようなものが出来つつあった。
透明な四角形のカタマリがたくさんあった。
大きなもの、小さなもの。
そしてその無数の四角形が、彼の目の前でかたまり始めた。
そしてそれはやがて人の形のような姿になった。
「ああ、気持ちいい……」
そのかたまりに、彼は陰茎をこすり付けていた。
そのかたまりのちょうど股のあたりに、中が温かくて柔らかい、心地よい穴が開いているようだった。
そこに陰茎をずぶりと突き刺して、腰を振った。
人の形の四角のカタマリも、それに応じるかのように小刻みに動いていた。
「かはあ……」
彼は大きな吐息を漏らした。
海の中。
彼の目の前を、白い粘液が大量に通り過ぎた。
すごい量だった。
そして彼は真っ暗闇の中、目を覚ました。
「さては……」
案の定、彼は夢精していた。
夢精は始めてではない。しかし、今回ほどの量は初めてだった。
パンツは大量の精液で濡れていた。
彼はしばし余韻に浸った。
(俺は童貞だけど、こんなリアルな夢精だから、もう経験したと同じことではないだろうか……女とのセックスもきっとこんな感じだろう。こんな風に、女のアソコの中に思う存分、射精するんだろう。それはきっとものすごく気持ちいいものなんだろうなあ。たまらん……でも本当に、そんな事が本当に現実の話として実現するとは到底思えない……しかし本当に、女のアソコの中に、こんなにも思う存分、射精してのけることって、その解放感というか……信じられない……世界に思える……考えられないことだ……そんなことが許されていいんだろうか……)
愚にもつかない空想は長い間やむことは無かった。
やがて彼は寝床から起き出して、パンツを洗面所で洗った。そして暗闇の中、水シャワーを浴びた。
(本当に考えられないことだ。本当に! 女とセックスすること。そんなことを他のみんなは実現できているのだろうか? 信じられない! そんな快楽が、天国が、人間の人生には存在しているのだろうか? 本当に? ……信じられない……)
シャワーから上がった彼は新しいパンツをはいて、ジャージの下をはいて、白いシャツを着た。そしてまた布団に横になって、じっと物思いに耽った。
(何はともあれ働かなければいけない。話はすべてそれからだ……)
彼はジリジリしながら朝の訪れを待った。
朝になったら、外出しよう。
そう思っていた。




