物欲センサー。
今回は商売できたわけじゃ、ないんだけどな……。
また、個室か。
受付のおっさんが席に着くと、椅子に座るように指示してきた。
俺は、指示通りに席についた。
「儂は、このギルド長のレクターだ。
以後宜しくな、にーちゃん」
「貴方は、ギルド長だったんですね。
私は、商人のニカイドウ ハジメと言います」
「そうか、にーちゃんが件の商人か。
セカンタの町に、奇妙なギフト持ちの商人が出てきたと報告が来てたからな。
こっちにも顔を出すだろうと連絡が来てたぞ」
「そうなんですか? 」
「ギルドは横のつながりを大事にするからな。
ファービレジの村からも、変わった商人が出て来たという報告が上がってるさ」
「……ということは?
私がお店を出して、飲食店やってる事もご存知ですか?」
「もちろんじゃ。セカンタの町から連絡があってな。
マルコさんと、一度そちらの店で食事した事もあるぞ」
「あぁ、それなら私が何を売ってるのか、ギルド長はご存知なのですね」
「そうじゃな、セカンタのギルド長が行こう行こうと急かして来てな。
あの、コーラとかいう飲み物はなかなか不思議な飲み物だったな」
商売に来たわけではないので、ここで商品の売り込みする必要もないけど、相手はギルド長だし。
顔を覚えてもらうには良い機会か……。
「[コーラ]は、マジックバッグに入ってるんで飲みます?」
「にーちゃんの、マジックバッグは少し異常じゃの?
あれだけのビッグフロッグを、詰めれること自体がマジックバッグの域を超えてると思うのだが?」
「あー、運良く手に入ったんですけど。
コレが特別製なんですよ……多分」
「そうか、ギフト持ちのマジックバッグだしな。
無理もないかもしれないな」と、ギルド長は勝手に納得したようだった。
「せっかくだし頂きたいな。
この前、セカンタの町に行ったとき以来だし楽しみじゃ」
「それなら、用意しますね」
コーラ自体は、冷えた状態で取り出せるので、そのままジョッキに注いで良いだろう。
ペッドボトルは、こちらで処分しないとな。ついでに、ハンバーガーも付けておくか。
「どうぞ、ハンバーガーとコーラです」
「あの時は、ポテトも付いておったな確か」
「今は、油ないんで無理ですよ」
「それもそうか……」と、ギルド長は少し残念そうにしていたが、サクッと完食していた。
「うむ、美味かった。
この街にも出店するつもりはないのか?」
「まだ、セカンタの町の店舗で出店したばかりですし。
お店が落ち着いたら考えたいと思います。サドタの街は魅力的な街ですし」
「出店の際は、一度ギルドに連絡してくれないか?
協力できるかもしれないので」
「そうですか、その時はお願いしますね」と、いつものように社交辞令を言っておいた。
「おっと、本来話すハズの内容が脱線してしまったわい」
「そうじゃ、にーちゃん。
あれだけ見事な狩りができるんだし、狩場を変えたらどうなんじゃ?」
「あー、仕事明けに狩してるんで、近場になっちゃうんですよねえ」
「そうか、こっちに住んでるわけじゃないのか」
「ん?なぁ、にーちゃん。
どうやって、この街に来とるんじゃ?」
「ステータスやスキルに関して、ギルドに対しての報告は強制でしょうか?」
「いや、そういうわけではない」
「なら、企業秘密でと言いたい所ですけど、ギルドと敵対する気は微塵もないので教えますが、私は[転送魔法]が使えます。
今日は、雨でお店を臨時休業にしたので、サドタの街に来ました」
「マジックバッグと[転送魔法]で、ビッグフロッグを、長距離輸送したというわけか」
「まぁ、そういうことです。
これでよろしいですか?」
「ああ、問題ない」
さっき言われた、ギルドは横のつながりが強いという言葉を聞いて、下手にここで不評を買うと、セカンタの町でも悪影響が、出かねないと考えたのだ。
もしかすると、輸送関連で仕事をもらえるかもしれないし。
しかし、自分が出せる情報はここまでだ。
「なるほど、これがセカンタの町の勇者候補……か」
ギルド長は小さく呟いたが。俺には聞こえなかった。
「それなら、この近辺でも狩り自体はできるんじゃな?
オークも、普通に倒してたみたいだしな」
あっ、オークを250匹倒してたし、そう見られるよな……と考えてたら、ギルド長が話を続けた。
「知ってるとは思うがこの街は、三つの特殊地形に囲まれとる。
北の氷、西の森林、東の砂漠じゃ知ってるかの?」
「あー、聞いたことがありますね」
「どうせなら、そっちで狩りをした方が良いんじゃないか?」と、ギルド長が提案してきた。
「私は商人なんで、あんまり危険は犯したくないんですよね。
今回みたいな、雨が降って何もできないのも嫌ですけど」
「それなら、オススメの狩場があるぞ。
雨が降らない東の砂漠じゃ」
「いや、流石に暑過ぎるのはノーセンキューなんですけど?」
「どうせ、にーちゃんは仕事明けの夜に狩りに行くんじゃろ?
夜中の砂漠は適温で狩りの人気スポットじゃ」
「砂漠って、日中は灼熱、夜間は極寒って事はないんですか?」
「ん? どこの話じゃそれは?」
自分の知ってる、某砂漠みたいなことはないようだ。
「いえ、なんでもないです」
へぇ、夜中に適温なら砂漠も選択肢に入れて良いかもな。
「どんな、モンスターが出るんですか?」
「デザートブルという、牛のモンスターじゃ。
ハンバーガーの肉は、あれの肉なんじゃろ?」
「えっ?違いますけど」
「そうなのか?
儂の舌だと似てると思ったんじゃがな」
デザートブルの肉か、期待できそうだな。
その他のモンスターは、いないのですか?
「サンドワームという大型のミミズのモンスターも、いるがこれは比較的倒しやすい」
ここからが厄介でな。
「ヨロイ蠍という大型の蠍のモンスター。
それと、キングコブラという大型の蛇のモンスターがおる。
この2匹が猛毒持ちでの、こいつの毒は毒消しじゃ消えなくて厄介なんじゃ」
「解毒方法は?」
「猛毒に対する、解毒薬あるからそれを使うことじゃ」
「それとな、危険なモンスターはいるが砂漠が人気スポットの理由の一つが、ラッキーインセクトがいるからじゃ」
「どんな、モンスターなんです?」
「この砂漠にいるのは、赤い芋虫みたいなモンスターなんじゃが、ものすごい速さで冒険者達から逃げるんじゃ、ただ倒せた時の、経験値を凄まじい位に持っている。
これを倒して、レベルアップを狙う冒険者も多いんじゃ!!」
凄まじい経験値!?
これを聞いたら、やるしか、なくないか?
「レクターさん、夜になったら行ってみます」
「なんじゃ目の色を変えて、ラッキーインセクトが気になったのか?」
「そうですね。商人ですけど、レベルがあるに越した事はないですから」
「そうか砂漠に挑戦するなら、これを持って行きな」とギルド長から、猛毒用の解毒薬を渡された。
「あ、ありがとうございます。それじゃ行ってきます」と言って、ギルドを後にした。
ギルドから、城門まで歩くのも面倒だったので、[転送魔法]で街の外に出た。
今から東に向かえば、ちょうど良いぐらいに砂漠につくだろう。
砂漠についた頃には丁度、陽が沈んでいた。
確かに、東の砂漠は人気の狩りスポットらしい。冒険者が至る所で狩りをしていた。
まぁ、人と一緒になって固まって狩りをしても意味がないので、[スピードアップ]を使って移動して、ガンガン戦っていこう。
全ての敵が初見なので警戒はしておこう。
移動していたら牛のモンスターがいた。コレがデザートブルか。
俺は、ミスリルの剣を構えて戦闘態勢を取る。
デザートブルが、こちらに気づき突進してきた!!
先手は、こちらからいこうか![ファイアランス]の魔法をモンスターに向けて放った。
[ファイアランス]がデザートブルに当たったが、魔法は効果がなかった。
「げぇ!!属性被りの火属性!!」……っと、一人で狩りしているのに声が出てしまった。
仕方ないので構えていたミスリルの剣で、突進を受け流すつもりで剣を振った。
バタッと、デザートブルが地面に倒れた。
この時、ミスリルの剣は強い武器なんだなとこの時実感できた。
これなら、デザートブルには魔法はいらなさそうだな。群れ現れた時だけ考えよう……。
何度かデザートブルに遭遇して、魔法を試したが[アイスランス]が一番効果的だった。
他のモンスターは[ファイアランス]で、普通に倒せたので苦労する事はなかった。
しかし、ラッキーインセクトは見つけることもできなかった。
まぁ、メタル(な)スライムみたいなモンスターなんだろう。
ラッキーインセクトに出くわしたとしても、どうせ逃げられるさ……。
しばらく、狩りを続けているとデザートブルの群れを見つけた。
ラッキー!![アイスストーム]で、纏めて倒しちゃおう。
デザートブルの群れに[アイスストーム]を放った。デザートブルが、魔法により次々と倒されて行く。
ん?
赤い芋虫みたいなモンスターが、全速力で[アイスストーム]に突っ込んできた。
カチコチに、ラッキーインセクトが固まってしまった。
うっそだろ、おい。
これって、運の良さ関係あるのかな?
凍結が溶ける前に、トドメを刺そうと近づいて剣を振り下ろした……。
ラッキーインセクトは真っ二つになり、ラッキーインセクトを倒した。
俺のレベルが盛大に上がった。
全てのモンスターを回収した時に、パーティの人がこちらに全力で走ってきた。
「おい、そこの君ここらで、ラッキーインセクト見なかったかい?
さっき見かけて、追いかけてきたんだが逃げられてね」
あぁ、この人が追い込んできてくれたから。
魔法使ってたところに、モンスターが突っ込んできたのか。
「いえ、知りませんね。私は姿も見つけれなかったので……。
それに、都市伝説の類だろうと思ってましたから、見かけたあなたが羨ましい」
「そうか、すまなかった」と言って、ラッキーインセクトの追っかけパーティは、この場を去っていった。
かなり苦労してレベル上げてたんだけど、アレを倒しただけでレベル23から、レベル28まで上がってしまった……。
あるぇ? ラッキーインセクト倒し続ければ、レベル40も簡単かもとしれないと、砂漠に半年通い詰めるが、それから1匹も倒せなかったのは、また別の話である。
物欲センサーって怖いですよね。
課金ガチャで、URゲットしようとして、10万円程を吹っ飛ばしてようやく素に戻りました。




