第96話 挑発
「うぉぉぉぉぉ!!」
バルトが叫ぶ。
⸻
突進。
アースドラゴン。
真正面。
⸻
「スマッシュ!!」
⸻
ドゴォォォォッ!!
衝撃波。
⸻
だが。
止まらない。
⸻
「硬っ……!?」
⸻
次の瞬間。
激突。
⸻
ガァァァァァンッ!!
⸻
「ぐぁぁぁっ!!」
バルトの身体が吹き飛ぶ。
⸻
壁へ叩きつけられる。
⸻
「バルト!!」
リナが叫ぶ。
⸻
だが。
倒れない。
⸻
「まだだ……!!」
重装鎧。
魔鋼。
それでも限界近い。
⸻
アースドラゴンが、
再び前足を振り上げる。
⸻
「セイル!」
レナが叫ぶ。
⸻
分かってる。
⸻
セイルは走る。
⸻
「アイスランス!!」
⸻
ドシュゥゥゥッ!!
氷槍。
⸻
今度は口内狙い。
⸻
ガギィィィッ!!
⸻
「っ!?」
⸻
刺さった。
少し。
⸻
「通った!」
リリスが叫ぶ。
⸻
だが浅い。
⸻
アースドラゴンが暴れる。
⸻
その瞬間。
天井。
⸻
「落ちる!」
⸻
巨大岩塊。
崩落。
⸻
「リナ!」
セイルが叫ぶ。
⸻
「ウィンド!!」
⸻
ドゴォォッ!!
風圧。
岩軌道をズラす。
⸻
「助かった……!」
リリスが息を吐く。
⸻
だが。
状況は悪い。
⸻
アースドラゴン。
硬すぎる。
⸻
レナの矢も、
浅い。
⸻
リリスの火も、
表面しか焼けない。
⸻
「削り切れるかこれ……!?」
リナが焦る。
⸻
その時。
バルトが立ち上がった。
⸻
血。
傷。
鎧も凹んでいる。
⸻
だが。
笑っていた。
⸻
「……なるほどな」
⸻
「こういう感じか」
⸻
アースドラゴンが、
再びこちらを見る。
⸻
だが。
次の瞬間。
⸻
「挑発!!」
⸻
空気が揺れる。
⸻
今度は違った。
⸻
明確に。
強く。
⸻
アースドラゴンの殺気が、
バルトへ集中する。
⸻
「おぉ……!」
リリスが驚く。
⸻
「完全に向いた!」
レナも目を見開く。
⸻
バルト自身が理解する。
⸻
(掴んだ)
⸻
敵意。
視線。
殺気。
⸻
全部、
自分へ引っ張る感覚。
⸻
「セイル!!」
⸻
「今なら後ろ取れる!!」
⸻
セイルの目が変わる。
⸻
「行く」
⸻
リナ。
風加速。
⸻
「ウィンド!!」
⸻
ドゴォォッ!!
セイル加速。
⸻
アースドラゴン側面へ回り込む。
⸻
その瞬間。
視界。
⸻
鱗の隙間。
首元。
⸻
(そこか)
⸻
セイルが剣を構える。
⸻
「強撃改!!」
⸻
ドガァァァァンッ!!
⸻
今までで一番深く、
刃が突き刺さった。




