第92話 中央ダンジョン
翌朝。
王都グラン。
⸻
「ついにダンジョンかー!」
リナは朝から元気だった。
⸻
「王都のダンジョン……」
リリスも少し緊張している。
⸻
その横で。
バルトは昨夜購入したスキルブックを見ていた。
⸻
【挑発】
⸻
「まだ覚えられねぇ……」
少し悔しそうだった。
⸻
「スキルブックって、
すぐ使えるわけじゃないのね」
リリスが言う。
⸻
レナが頷いた。
⸻
「適性と魔力循環が噛み合わないと、
定着しないらしいわ」
⸻
「だから練習必要」
セイルも短く言う。
⸻
「高ぇのに難しいな……」
バルトが本気で落ち込んでいた。
⸻
その時。
リナが笑う。
⸻
「まぁバルトならすぐ覚えるでしょ!」
⸻
「だといいけどな」
⸻
そして。
フォーチュンスターは王都中央区を抜ける。
⸻
中央ダンジョン。
⸻
巨大石造建築。
地下へ続く巨大入口。
周囲には大量の冒険者。
⸻
「うわ……」
リリスが止まる。
⸻
人数が多い。
しかも。
強そうな者ばかりだった。
⸻
重装前衛。
魔導士。
大盾。
双剣。
見たことない装備も多い。
⸻
「地方とは違うわね」
レナが小さく呟く。
⸻
その時。
横を通った冒険者パーティ。
⸻
「ライト」
ポゥ……
白い光球が浮かぶ。
⸻
「おぉ……!」
リリスが目を丸くする。
⸻
松明ではない。
両手も塞がらない。
⸻
セイルの視線も止まった。
⸻
その瞬間。
視界に表示。
⸻
【ライトのレシピを取得しました】
⸻
(便利そう)
やっぱりそこだった。
⸻
「また変な顔してる」
リナが言う。
⸻
「レシピ入った」
⸻
「早っ!?」
リリスが驚く。
⸻
「まだ覚えてない」
セイルは冷静だった。
⸻
その時。
別の冒険者が、
ちらりとこちらを見る。
⸻
「新人か?」
⸻
「Cランクだろ」
⸻
「浅層ならまぁ」
⸻
軽い空気。
悪意ではない。
だが。
王都らしい距離感だった。
⸻
バルトが少し笑う。
⸻
「舐められてんな」
⸻
「まぁ、
実際まだ浅層だし」
レナは冷静だった。
⸻
セイルは巨大入口を見る。
⸻
暗闇。
地下。
未知。
⸻
王都中央ダンジョン。
⸻
フォーチュンスターは、
新たな舞台へ足を踏み入れた。




