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第88話 エルム出発

「本当に帰るの?」


リナが言った。



朝。


エルム港。


潮風。


青空。


最高の天気だった。



「帰るじゃなくて進むのよ」


レナが訂正する。



「でも海楽しかったー」


リナはまだ名残惜しそうだった。



リリスも少し頷く。


「ご飯美味しかったし……」


完全に満喫していた。



その横で。


ボルトンだけ異常に元気だった。



「積み込み完了です!!」


「海産物大量確保です!!」


「利益期待値最高です!!」


絶好調だった。



荷馬車。


魚箱。


干物。


貝。


大量。



「……魚臭い」


セイルが小さく呟く。



「焼けばいい匂いだよ!」


リナが意味不明なことを言った。



「理論が雑」


レナが即ツッコむ。



その時。


漁師達が集まってきた。



「また来いよー!」


「今度は普通に遊び来い!」


「兄ちゃん井戸ありがとな!!」



セイルが止まる。



「井戸言うな」


真顔だった。



リナが笑い崩れる。


「もう定着してる!」



ボルトンは真剣だった。



「移動式給水設備は貴重です!!」



「お前が広めたんだろ」


バルトが呆れる。



その後。


フォーチュンスターは馬車へ乗り込む。



ガタガタと、

ゆっくり街を出る。



港。


市場。


海。


少しずつ遠ざかっていく。



リリスが小さく手を振る。


「また来たいな……」



「今度は泳ぎちゃんと勝負ね!」


リナが言う。



「だからなんで勝負になるのよ」


レナが呆れていた。



その時。


ボルトンが地図を広げる。



「ここから数日で——」


「ついに王都グランです!!」


空気が少し変わる。



王都。


この国最大の街。



Cランク冒険者。


大商会。


上級ダンジョン。


強者。


新技術。


新魔法。



全部、

そこへ集まる。



バルトが少し笑う。


「やっとか」



リリスも少し緊張していた。


「王都かぁ……」



レナは静かに周囲を見る。


「人も増えるでしょうね」



そして。


セイルは前を見る。



王都グラン。


まだ見えない。


だが。


確実に近づいていた。



フォーチュンスターの旅は、

次の舞台へ進もうとしていた。

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