第85話 海戦
「ハイヒール……」
リナが呆然と呟く。
⸻
だが。
感動している暇はなかった。
⸻
バシャァァァッ!!
再び海面が弾ける。
アクアバイト。
まだ数が多い。
⸻
「来る!」
レナが叫ぶ。
⸻
次の瞬間。
水弾。
三方向。
⸻
ドゴォォォッ!!
船板が揺れる。
⸻
「うわっ!?」
リリスが体勢を崩す。
⸻
「火使えない……!」
悔しそうだった。
⸻
実際問題。
船上での火魔法は危険すぎる。
⸻
「船燃えたら終わる!」
漁師が半泣きで叫ぶ。
⸻
「ですよね!!」
リリスも分かっていた。
⸻
その瞬間。
横からアクアバイト。
高速接近。
⸻
「セイル!」
リナが風を放つ。
⸻
「ウィンド!!」
ドゴォォォッ!!
風圧。
水面が揺れる。
⸻
アクアバイトの軌道がズレた。
そこへ。
⸻
ヒュンッ!!
レナの矢。
⸻
目へ直撃。
⸻
「ギャァァッ!!」
海へ落ちる。
⸻
「揺れてるのによく当てるわね……」
リリスが引いていた。
⸻
「慣れよ」
レナは普通に答えた。
⸻
その時。
別方向。
二体同時。
⸻
「バルト!」
セイルが叫ぶ。
⸻
「おう!!」
バルトが片手斧を振り抜く。
⸻
「スマッシュ!!」
ドゴォォォォッ!!
衝撃波。
水面ごと吹き飛ばす。
⸻
アクアバイト二体がまとめて弾け飛んだ。
⸻
「強っ!?」
リナが驚く。
⸻
「海だとめっちゃ使いやすいなこれ!」
バルト本人が一番驚いていた。
⸻
その瞬間。
海面が盛り上がる。
⸻
「下!!」
セイルが叫ぶ。
⸻
次の瞬間。
巨大な影。
⸻
バシャァァァァッ!!
大型アクアバイト。
今までより明らかに大きい。
⸻
「主個体!?」
漁師が青ざめる。
⸻
口元へ大量の水が集まる。
⸻
「まずい!」
レナが叫ぶ。
⸻
放たれる。
巨大水弾。
⸻
その瞬間。
セイルが前へ出た。
⸻
「アイスランス!!」
氷槍。
高速射出。
⸻
ガギィィィィン!!
巨大水弾へ直撃。
⸻
一瞬。
水弾表面が凍り付く。
⸻
「今!」
リリスが反応した。
⸻
「ファイアー!!」
爆炎。
凍結水弾へ直撃。
⸻
次の瞬間。
⸻
ドゴォォォォォンッ!!
白い蒸気が爆発的に広がった。
⸻
「うわっ!?」
船全体が揺れる。
⸻
高熱。
蒸気。
衝撃。
⸻
大型アクアバイトが苦しそうに暴れた。
⸻
「ギャァァァッ!?」
視界を失う。
⸻
「なに今!?」
リナが叫ぶ。
⸻
レナが目を細める。
「……蒸気爆発?」
⸻
セイルも少し驚いていた。
偶然。
だが。
かなり威力が高い。
⸻
その瞬間。
レナが矢を構える。
⸻
「今なら狙える」
白蒸気の向こう。
主個体の影。
⸻
ヒュンッ!!
矢が飛ぶ。
⸻
ギャァァァァッ!!
目へ直撃。
⸻
さらに。
バルト。
⸻
「スマッシュ!!」
ドゴォォォォッ!!
衝撃波。
⸻
主個体が海面へ叩き落とされた。
⸻
静寂。
波音だけが残る。
⸻
そして。
漁師達が叫んだ。
⸻
「倒したぁぁぁ!!」
「船出せるぞ!!」
歓声が上がる。
⸻
その中で。
セイルは少しだけ考えていた。
⸻
(水魔法あれば、
もっとやれるかもな……)
⸻
視界の端。
未習得レシピ。
⸻
【ウォーター】
⸻
王都へ向かう旅は、
まだ続いていく。




