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第82話 シャドウウルフ

夕方。


街道脇の森。


フォーチュンスターは、

野営準備をしていた。



ボルトン商会の護衛旅も、

かなり順調。


あと数日で、

中継都市へ到着予定だった。



「今日は静かだねー」


リナが焚き火前で伸びをする。



「その台詞、

大体フラグなのよ」


レナが即答した。



その時。


セイルの視線が止まる。



「……来る」


空気が変わった。



サーチ改。


反応。


速い。


しかも複数。



「右森!」


セイルが叫ぶ。



次の瞬間。


黒い影が飛び出した。



「ギャウッ!!」


狼。


だが普通じゃない。


黒い体毛。


赤い目。


異様に速い。



「シャドウウルフ!?」


護衛商人が青ざめる。



「速いわね……!」


レナが即座に矢を放つ。


だが。



ヒュンッ!!


避ける。


速すぎる。



「うわっ!?」


リナが慌てる。


その瞬間。


別方向。


二体目。



ガギィィッ!!


爪。


リナの肩を浅く裂く。



「っ……!」


血。



「リナ!」


セイルが即座に動く。



「ヒール!!」


光。


傷が塞がる。



だが。


シャドウウルフは止まらない。



「後ろ回る!」


バルトが叫ぶ。



高速連携。


囲む動き。


完全に慣れていた。



「チッ……!」


バルトが盾を構える。


だが。


速い。



「スマッシュ!!」


ドゴォォォッ!!


衝撃波。


前方のシャドウウルフが吹き飛ぶ。



「おぉ!?」


リナが驚く。



「使えんじゃねぇかこれ!」


バルト本人が一番驚いていた。



その瞬間。


左側。


三体目。



ガッ!!


今度はレナの足を裂く。



「っ……!」


体勢が崩れる。



「レナ!」


セイルがまた動く。



「ヒール!!」


二回目。


光。


傷が閉じる。



だが。


まだ終わらない。



「数多い!」


リリスが叫ぶ。


森奥。


まだ気配がある。



その時。


リリスの目が変わった。



「……だったら!」


杖を地面へ向ける。


火魔力集中。



「ファイアー!!」


ドゴォォォォッ!!


炎。


だが今回は違う。



炎が横へ広がる。


壁。


森入口を塞ぐように燃え上がった。



ゴォォォォォッ!!


シャドウウルフ達が止まる。



「通れない!?」


リナが目を丸くする。



リリス本人も驚いていた。


「で、できた……!」


完全な炎壁。


ファイアーウォール。



セイルは炎壁を見る。


試験の時より安定している。


幅も広い。


熱量制御も上手い。



「……完成してる」


小さく呟いた。



その瞬間。


荷馬車側から絶叫。



「待ってください!!」


ボルトンだった。



「果物がぁぁぁぁ!!」


全員止まる。



「そこ!?」


リナが即ツッコむ。



ボルトンは半泣きだった。


「熱で傷みます!!」


「王都価格なら高級品なんです!!」


かなり真剣だった。



リリスがショックを受ける。


「えっ……

私頑張ったのに……」



レナが冷静に炎壁を見る。


「でも確かに近いわね」


現実的だった。



セイルも少し頷く。


「次は荷車から離して使った方がいいかも」


護衛任務ならではの問題だった。



だが。


今度のフォーチュンスターは、

少し違った。



炎壁。


重装。


風圧。


回復。


連携。



ちゃんと、

パーティとして完成し始めていた。

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