第80話 街道戦
「右三!」
セイルの声が飛ぶ。
次の瞬間。
茂みからオークが飛び出した。
⸻
「グォォォッ!!」
街道襲撃。
荷馬車狙い。
完全に待ち伏せだった。
⸻
だが。
フォーチュンスターは、
誰一人慌てていない。
⸻
「前止める!!」
バルトが踏み込む。
重装。
大盾。
魔鋼鎧。
⸻
ドゴォォォッ!!
突進してきたオークを、
真正面から受け止めた。
⸻
「グォッ!?」
止まる。
完全に。
⸻
「おらぁっ!!」
片手斧。
横薙ぎ。
オークが吹き飛ぶ。
⸻
「左空いてる!」
リナが杖を向ける。
⸻
「ハイウィンド!!」
ドゴォォォッ!!
風圧。
オーク二体が街道脇へ吹き飛んだ。
⸻
そこへ。
レナの矢。
⸻
ヒュンッ!!
ヒュンッ!!
二連射。
喉。
目。
正確すぎる。
⸻
「グギャッ!?」
オークが倒れる。
⸻
その後方。
リリスが笑う。
⸻
「じゃ、
次いくね!」
杖を掲げる。
炎魔力集中。
⸻
「ファイアー!!」
ドゴォォォォッ!!
爆炎。
オーク群中央で炸裂。
⸻
さらに。
炎が地面へ走る。
⸻
ゴォォォォッ!!
炎壁。
街道を横断するように広がった。
⸻
「グォォッ!?」
オーク達が止まる。
進めない。
⸻
荷馬車内。
ボルトンが叫ぶ。
⸻
「素晴らしいです!!」
「皆さん最高です!!」
うるさい。
⸻
「静かにして!!」
リナが即ツッコむ。
⸻
その間に。
セイルが前へ出る。
魔鋼剣。
抜刀。
⸻
「強撃改」
加速。
一閃。
⸻
ザンッ!!
オークソルジャーが崩れ落ちる。
速い。
以前より明らかに。
⸻
その瞬間。
後方。
小型オークが荷馬車へ回り込む。
⸻
だが。
セイルは振り返らない。
⸻
「バルト」
「任せろ!!」
大盾投擲。
⸻
ドガァァァン!!
小型オークがまとめて吹き飛ぶ。
⸻
護衛隊の商人達が固まっていた。
⸻
「……え?」
「強くないか?」
「これ本当にCランクか?」
完全に引いていた。
⸻
数分後。
最後のオークが倒れる。
静寂。
⸻
フォーチュンスター。
誰も息を乱していない。
⸻
リリスが杖を肩へ乗せる。
「なんか最近、
オークくらいだと楽になってきたね」
⸻
レナが矢を回収しながら頷く。
「レイド経験するとね」
⸻
バルトが盾を背負い直す。
「まぁ、
オークキングいたしな」
基準がおかしくなっていた。
⸻
その横で。
セイルが小さく周囲を見る。
街道。
森。
遠くに見える次の街。
⸻
王都への旅は、
まだ始まったばかりだった。




