第76話 フォーチュンスター
「見た目だけじゃねぇよ」
バルトが笑う。
その瞬間。
試験官が後ろへ跳んだ。
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「……面白ぇ」
今度は本気だった。
斧を構える。
空気が変わる。
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「行くぞ!!」
踏み込み。
速い。
重戦士とは思えない。
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ドゴォォォッ!!
斧が盾へ激突する。
衝撃。
土煙。
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だが。
止まる。
やはりバルトは動かない。
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「硬っ!?」
試験官が顔を歪める。
周囲がざわついた。
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「魔鋼装備か?」
「いや、
それでも硬すぎるだろ」
完全に予想外らしかった。
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バルトが前へ出る。
重装なのに速い。
盾で押し込む。
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「うおっ!?」
試験官の体勢が崩れる。
そこへ。
片手斧。
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ガギィィィィン!!
試験官がギリギリ受け止める。
だが。
押されていた。
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「ははっ!」
試験官が笑う。
「いいな、
その戦い方!」
完全に楽しみ始めていた。
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その時。
観客側。
リナが小声で言う。
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「バルト、
嬉しそう」
レナが頷く。
「分かりやすいわね」
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リリスも少し笑う。
「前のパーティじゃ、
あんな顔してなかった」
その言葉に、
少しだけ空気が止まる。
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セイルは静かに試験を見ていた。
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その時。
試験官が距離を取る。
息を吐く。
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「……十分だ」
斧を下ろした。
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「合格」
観客がざわつく。
早い。
だが。
誰も文句は言わなかった。
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むしろ納得だった。
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「次」
試験官の視線が動く。
セイル達を見る。
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「連携試験やる」
ローガンが前へ出る。
「模擬魔物相手だ」
訓練用ゴーレム。
三体。
しかも。
かなり大きい。
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「連携、
役割、
対応力を見る」
完全パーティ試験だった。
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リナが杖を握る。
「なんかこっちの方が緊張する……」
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レナが矢を番える。
「いつも通りやればいい」
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リリスが深呼吸する。
バルトは盾を構える。
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そして。
セイルが前を見る。
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「始め!」
ゴーレムが動く。
重い足音。
三方向。
同時。
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その瞬間。
フォーチュンスターも動いた。
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「バルト前!」
「おう!!」
ドゴォォォッ!!
大盾。
真正面から受け止める。
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「うわっ、
ほんと止めた!?」
観客がざわつく。
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「リナ、
右!」
「任せて!」
ハイウィンド。
風圧。
右側ゴーレムの体勢が崩れる。
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そこへ。
レナの矢。
関節へ直撃。
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「セイル!」
「分かってる!」
セイルが踏み込む。
アイスランス。
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ガギィィィィン!!
ゴーレムの足が凍る。
動きが止まる。
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その瞬間。
後方。
リリスが杖を掲げた。
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「ファイアー!!」
爆炎。
凍結部分へ直撃。
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バキィィィィン!!
急激な温度差。
ゴーレム脚部が砕けた。
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「うおぉ!?」
観客席がどよめく。
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「なんだ今の連携!?」
「早すぎるだろ!」
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だが。
フォーチュンスターは止まらない。
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五人全員。
誰も迷っていなかった。
もう——
ちゃんと、
同じパーティだった。




