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第65話 居場所

レイド前日。


ラグナス外周。


臨時野営地。


オークキング討伐のため、

各パーティが集結していた。


焚き火。


武器整備。


見張り。


空気は重い。


大型レイド特有の緊張感だった。



フォーチュンスターも、

割り当てられた場所で準備をしていた。


リナは新しい杖を嬉しそうに磨いている。


レナは矢の確認。


セイルは地図を見ながら、

索敵ルートを考えていた。



その少し離れた場所。


リリス達のパーティがいた。


人数は六人。


装備は良い。


全員Cランク以上。


かなり実力者寄り。


だが——


空気が微妙だった。



「おい、

火力職」


男の声。


リリスが振り向く。


茶髪の剣士。


少し苛立った顔。



「また詠唱遅れてたぞ」


「……ごめん」


リリスが小さく謝る。


「謝ればいいって問題じゃねぇんだよ」


かなり強い言い方だった。



少し離れた場所。


バルトも別の男に言われていた。


「突っ込みすぎなんだよ」


「盾役のくせに前出すぎ」


「合わせろって何回言わせんだ」


バルトが眉をひそめる。


「……分かってる」


でも納得してない顔だった。



セイルは、

少し離れた場所からそれを見ていた。


リナも気づく。


「……なんか空気悪いね」


レナが小さく息を吐く。


「ありがちなやつ」



その時。


リリスがこちらへ気づいた。


ぱっと表情が明るくなる。


「セイル!」


そのまま走ってくる。


やっぱり距離が近い。



「装備すごいね!」


「似合ってる!」


セイルが少し困った顔で笑う。


「ありがとう」


リナの口が少し尖る。


レナが横で面白そうに見ていた。



その後ろから、

リリスのパーティメンバーが来る。


空気が変わる。



「誰?」


短い声。


茶髪の剣士が、

セイル達を見る。


視線。


露骨だった。



「Dランク?」


笑った。


小さく。


でも聞こえるように。



「今回のレイド、

人手不足なんだな」


嫌味だった。



リリスがすぐ言い返す。


「違うよ!」


「セイル達、

すごく強くて——」


「リリス」


遮られる。


空気が冷えた。



「無駄話してる暇ある?」


リリスが少し黙る。


さっきまでの笑顔が、

少し消えた。



バルトが眉をひそめる。


「おい」


だが。


今度はバルト側の男が鼻を鳴らした。


「そっちもだ」


「盾役がフラフラすんな」


完全に空気が悪い。



リナが小さく呟く。


「感じ悪……」


レナも目を細める。


かなり不快そうだった。



その時。


茶髪の剣士が、

セイルを見る。


「悪いけどさ」


「遊びじゃないんだよ、

レイドって」


完全に見下していた。



空気が張る。


だが。


セイルは怒らなかった。


ただ静かに答える。


「分かってる」


短い。


でも。


変に言い返さない。



その返しに、

逆に相手が少し眉をひそめた。


挑発が刺さらなかった。



その横で。


ローガンが全部見ていた。


無言で。

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