第64話 再会
翌日。
ラグナス冒険者ギルド。
いつもより、
明らかに人が多かった。
武装した冒険者達。
重い空気。
そして中央掲示板には——
【緊急レイド依頼】
オークキング討伐。
大きく貼り出されていた。
リナが小声になる。
「ほんとにレイドだ……」
レナも周囲を見る。
「しかも人数多いわね」
ざっと見ただけでも、
数十人。
Cランク。
Bランク。
かなり本格的だった。
二階会議室。
参加パーティが集められていた。
前にはローガン。
ギルド長として立っている。
空気が締まった。
「今回の相手はオークキング」
「確認済みの群れ規模は百超え」
部屋がざわつく。
かなり大規模だった。
ローガンは続ける。
「オークソルジャー多数」
「上位種確認あり」
「さらにシャーマン個体もいる可能性が高い」
厄介だった。
地図が広げられる。
森。
崖。
そしてオーク村。
簡易砦化されていた。
「正面突破はしねぇ」
ローガンが地図を指す。
「各パーティで役割分担する」
完全に軍だった。
フォーチュンスターは、
遊撃兼索敵。
セイルのサーチ改込み。
かなり重要配置だった。
説明は続く。
注意事項。
撤退基準。
信号弾。
補給地点。
かなり本格的。
そして最後。
ローガンが全員を見回した。
「死ぬな」
短い。
だが、
それが一番重かった。
会議終了。
冒険者達が動き出す。
ざわめき。
緊張。
武器音。
レイド前独特の空気だった。
その中で。
ローガンがセイル達を呼び止める。
「お前ら、
少し残れ」
フォーチュンスターが止まる。
ローガンは腕を組む。
「今回のレイドが終わったら」
「Cランク試験受けろ」
リナが固まる。
「……え?」
レナも少し驚く。
「早くない?」
ローガンが鼻を鳴らす。
「二階で主級相手にして、
魔鋼鉱脈見つけて、
試験採掘護衛成功」
「今更Dランクの方がおかしい」
正論だった。
「本来なら推薦だけでもいい」
「だが規則は規則だ」
「形式だけ通せ」
完全に実力は認められていた。
セイルが少し頭を下げる。
「……ありがとうございます」
ローガンは短く頷く。
その時だった。
会議室の扉が開く。
「ローガンさん、
レイド登録終わりました」
聞こえた声。
女。
少し明るい声色。
セイルが振り向く。
止まる。
向こうも止まった。
赤髪。
長杖。
見慣れた顔。
「……セイル?」
驚いた声。
でも次の瞬間。
ぱっと表情が明るくなる。
「セイルだ!!」
リリスだった。
そのまま駆け寄ってくる。
昔と変わらない。
「うわ、
ほんとにセイル!」
「久しぶり!!」
勢いのまま、
セイルの腕を掴む。
距離が近い。
リナの眉がぴくっと動いた。
レナは横目で見て、
ちょっとだけ笑いを堪えている。
セイルも少し笑う。
「久しぶり」
その後ろ。
片手斧と盾を背負った青年も、
目を丸くしていた。
「お前、
なんでここにいるんだよ……」
バルトだった。
でもその顔は、
見下しじゃない。
純粋な驚き。
ローガンが少し笑う。
「知り合いか?」
リリスが勢いよく頷く。
「幼なじみです!」
「小さい頃、
ずっと一緒で——」
途中で止まる。
今更気づいたらしい。
「え?」
リリスが周囲を見る。
ローガン。
フォーチュンスター。
レイド会議室。
そして。
セイル達の装備。
「……なんで?」
今度は本気で驚いていた。
その時。
リリスの視線が、
リナへ向く。
そしてセイルを見る。
交互に見る。
「あれ?」
少し首を傾げる。
「もしかして二人、
付き合ってるの?」
リナが固まった。
セイルは普通に答える。
「違うけど」
その瞬間。
リリスの顔がぱっと明るくなる。
「あーよかったー!」
空気が止まった。
「…………は?」
リナがじわっと笑う。
笑顔。
なのに怖い。
レナが横を向く。
肩が震えている。
完全に笑っていた。
バルトが頭を抱える。
「おいリリス……」
だがリリス本人は、
全く悪気がない。
「だってセイル、
昔から結構モテたし!」
「気になってたんだよねー!」
リナの頬が、
ぴくっと引きつる。
セイルだけが、
状況を理解していなかった。




