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第61話 結晶の中

ドクン。


巨大結晶が脈打つ。


まるで——


生きているみたいに。



「……今動いたよね」


リナの声が震える。


誰も否定しなかった。



ローガンが静かに前へ出る。


「全員、

下がれるよう構えろ」


空気が張り詰める。



セイルのサーチ改。


反応。


結晶内部。


巨大。


しかも——


魔力密度が異常だった。



(なんだこれ……)


普通の魔物じゃない。


そんな直感が走る。



ベルナが白骨を見る。


しゃがむ。


「逃げようとしてる」


全員の視線が集まる。



確かに。


白骨の向き。


全部、

出口方向だった。



ガンドが低く呟く。


「……採掘中に何か出たか」


最悪の想像だった。



その瞬間。


ドクン。


また脈打つ。


今度は強い。



ビキッ——


巨大結晶へ、

亀裂が走った。


「っ!?」


リナが息を呑む。



「後退!」


ローガンの声。


全員が動く。


だが。


遅かった。



バキィィィィン!!


巨大結晶が砕け散る。


爆風。


魔力。


氷みたいな黒銀結晶片が飛び散る。



そして。


“それ”が現れた。



黒銀色の外殻。


巨大。


四足。


だが狼じゃない。


もっと硬い。


もっと重い。


全身が、

魔鋼そのものみたいだった。



「……嘘でしょ」


レナが呟く。


頭部。


異様に長い角。


赤黒い目。


そして背中には——


結晶。


大量の魔鋼結晶が生えていた。



「グォォォォォ……」


低い咆哮。


空気が震える。


採掘場全体が揺れた。



セイルのサーチ改が、

警告みたいに暴れる。


危険。


危険。


危険。



『高濃度魔力反応を確認』



(こんなの初めてだ……!)


セイルの額に汗が浮かぶ。



ローガンの顔から、

笑みが消えていた。


完全に本気の顔。


「……全員、

逃げる準備しろ」


初めてだった。


ギルド長が、

“撤退”を口にした。



だが。


ボルトンが震えながら言う。


「に、逃げるって……」


「採掘隊が……」


その瞬間。


魔物が動いた。



ドゴォォォォッ!!


地面が爆ぜる。


速い。


巨体なのに、

異常な速度。



「来るぞ!!」


ローガンが大剣を構える。


セイル達も反射的に武器を握る。



次の瞬間。


魔鋼の怪物が、

咆哮と共に突っ込んできた。

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