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第52話 発見者特権

「魔鋼ぉぉぉぉっ!?」


ボルトンの絶叫が、

商会に響いた。



「声大きい」


レナが即ツッコむ。


だが。


ボルトンは完全に固まっていた。


テーブルの上。


小さな黒銀色の鉱石。


微かに魔力を帯びている。


ガンドも無言だった。


珍しく、

本当に黙っている。



ベルナが鉱石を持つ。


重さ。


硬さ。


光沢。


静かに息を吐いた。


「……本物だね」


その一言で、

空気が変わる。



「二階層で見つけました」


セイルが説明する。


「隠し部屋みたいな場所で」


ボルトンが頭を抱えた。


「ラグナス復活ですぞ……」


「まだ決まってない」


ベルナが冷静に返す。


「勝手に掘れば問題になる」


レナも頷いた。


「やっぱりそうよね」



ガンドが腕を組む。


「ダンジョン内資源はギルド管理だ」


「特に鉱脈はな」


完全に真面目な顔だった。



リナが少し不安そうになる。


「怒られる……?」


「いや」


ベルナが首を振る。


「ちゃんと報告したなら逆」


「発見者扱いになる」



セイルが聞く。


「発見者?」


ガンドが頷く。


「未発見資源の報告者だ」


「普通なら報奨金」


「優先採掘権」


「ギルド評価加点」


「色々付く」


かなり大きかった。



ボルトンが勢いよく立ち上がる。


「行きますぞ!!」


「ギルドですぞ!!」


完全に自分事だった。



そして——


ラグナス冒険者ギルド。



受付嬢シエラが、

最初は普通に対応していた。


「はい、

本日のご用件は——」


ボルトンが鉱石を出す。


空気が止まった。



「……え?」


シエラが固まる。


次の瞬間。


「ギ、ギルド長呼びます!!」


奥へ走っていった。



リナが小声になる。


「なんか大事になってない?」


「なってる」


レナが即答した。



しばらくして。


奥から男が現れる。


大柄。


短髪。


傷跡。


重い空気。


かなり強い。


セイルが直感した。



「ギルド長のローガンだ」


低い声。


視線が鋭い。


まず鉱石を見る。


次に、

セイル達を見る。


そして一言。


「……どこで見つけた」



数分後。


個室。


セイル達は、

二階層の隠し部屋について説明していた。


サーチ改。


崩れた壁。


未採掘空間。


全部。



ローガンは静かに聞いていた。


途中で一度も遮らない。


そして説明が終わる。


沈黙。



「結論から言う」


ローガンが口を開く。


「お前達は問題ない」


リナがほっと息を吐く。



「未発見鉱脈の発見者として登録する」


「鉱脈はギルド管理になるが、

発見者特権が発生する」


レナが真面目な顔になる。


「具体的には?」



ローガンが指を折る。


「報奨金」


「一定期間の優先採掘権」


「発見者利益配分」


「ギルド貢献評価」


ボルトンが横で震えていた。


嬉しそうに。



「ただし」


空気が少し変わる。


「情報漏洩は禁止だ」


「確認調査後、

正式封鎖になる可能性もある」


かなり重要案件らしい。



セイルが頷く。


「分かりました」


ローガンは少しだけ目を細めた。


「Dランクで二階層」


「しかも隠し部屋発見か」


「面白い連中だな」


少しだけ笑った。



その時。


ボルトンが小さく呟く。


「ラグナスの時代ですぞ……」


ベルナに頭を叩かれた。


「まだ早い」


ボルトンが黙る。



だが。


全員分かっていた。


この発見は——


ラグナスを変えるかもしれない。

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