第51話 隠し部屋
吹雪が静かに消えていく。
凍った坑道。
倒れたロックファング。
そして——
黒い岩壁。
その一部だけ、
崩れていた。
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「……ほんとに空いてる」
リナが目を丸くする。
崩れた岩の奥。
細い隙間。
人一人、
ぎりぎり通れる程度。
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レナが警戒する。
「罠とかない?」
セイルが目を閉じる。
「サーチ改」
広がる感覚。
空洞。
奥行き。
そして——
生物反応なし。
「魔物はいない」
「ほんと便利ねそれ」
レナが少し呆れる。
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セイルが岩を押す。
ゴゴッ……
崩れた石が落ちる。
隙間が広がった。
冷たい空気が流れてくる。
長い間、
誰も入っていなかった空気。
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「行く?」
リナが少し緊張した顔で聞く。
セイルは頷く。
「せっかくだし」
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三人は、
慎重に中へ入る。
狭い通路。
古い石壁。
途中には、
朽ちた木材も残っていた。
「採掘場っぽいね」
リナがランタンを向ける。
レール跡。
壊れたツルハシ。
本当に昔、
坑道だったらしい。
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その時。
セイルのサーチ改が、
強く反応する。
奥。
右壁。
魔力反応。
かなり濃い。
「……こっち」
三人が進む。
そして。
小部屋へ出た。
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「……え?」
リナが声を失う。
壁。
そこに、
黒銀色の鉱石が埋まっていた。
普通の岩じゃない。
微かに光っている。
しかも——
魔力を感じる。
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レナが目を細める。
「これ……」
セイルも近づく。
触れる。
冷たい。
でも内部に、
魔力が流れている感覚。
その瞬間。
頭の中へ文字。
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『魔鋼を確認しました』
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セイルが目を見開く。
「魔鋼……?」
リナが振り向く。
「知ってるの!?」
「いや……」
知識じゃない。
レシピと同じ。
触れた瞬間、
理解が流れ込んできた。
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レナが周囲を見る。
「これって……」
壁一面。
全部。
魔鋼鉱脈だった。
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静寂。
そして。
リナが小さく言う。
「……やばくない?」
かなりやばかった。
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セイルのサーチ改が、
さらに奥を捉える。
まだ続いている。
鉱脈。
かなり深い。
つまり——
未採掘。
誰にも見つかっていない。
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レナが真顔になる。
「これ、
勝手に掘っていいの?」
現実的だった。
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セイルも考える。
確かに。
ダンジョン。
ギルド管理。
勝手に持ち出していいのか分からない。
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その時。
リナが壁を見る。
「……でもちょっとだけなら」
三人の視線が合う。
少しだけ。
本当に少しだけ。
試しに。
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セイルが剣の柄で、
軽く叩く。
カンッ——
普通の岩と違う音。
小さな欠片が落ちる。
黒銀色。
魔力を帯びた鉱石。
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その瞬間。
全員が理解した。
これ、
絶対高い。




