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第45話 中古の相棒

「……買おう」


セイルがそう言うと、

リナが少し不安そうに袋を見る。


「ほんとに大丈夫かなぁ……」


「落ちなければ問題ありません!」


ボルトンが即答した。


「その言い方が不安なのよ」


レナが呆れる。



ボルトンが革袋をテーブルへ置く。


見た目は普通。


だが、

近くで見ると少し違った。


革の縫い目に、

薄く魔法陣が刻まれている。


「内部空間拡張型ですな」


ボルトンが説明する。


「容量はオーク一体分程度!」


「初心者冒険者には十分ですぞ!」



セイルが袋へ触れる。


少しだけ、

魔力反応を感じた。


「ほんとだ……」


「ただし」


ボルトンが真顔になる。


「詰め込みすぎると壊れます」


「壊れた場合、

修理に金貨一枚ほど」


リナが目を見開く。


「高っ!」


「ですが!」


ボルトンが指を立てる。


「ダンジョン素材を捨てる損失に比べれば、

安い!」


商人らしい理論だった。


でも、

かなり正しい。



レナが小さく息を吐く。


「……まあ必要ね」


「うむ」


セイルも頷いた。


ダンジョンでは、

素材が多すぎる。


持ち帰れなければ意味がない。



「毎度ありですぞ!」


ボルトンが満面の笑みで金貨を受け取る。


完全に上機嫌だった。



その後。


フォーチュンスターは、

再びラグナス地下坑道へ向かっていた。



入口前。


以前より、

少しだけ落ち着いている。


初回探索を終えた。


空気感も分かる。


危険さも知った。


だからこそ——


緊張の質が変わっていた。



「今度はもう少し奥まで行けるかな」


リナが新しいアイテムバッグを見る。


少し嬉しそうだった。


「壊さないでよ」


レナが即言う。


「えぇー!?」


「絶対詰め込むでしょあなた」


「うっ」


図星だった。



セイルが少し笑う。


「まあ、

無理しない範囲でね」


その時。


ボルトンが後ろから叫んだ。


「シルク糸期待してますぞーー!!」


全員振り向く。


まだいた。



レナが呆れる。


「帰ってなかったの……?」


「商人は見送りも仕事ですぞ!」


「商人は信用第一ですので!」


ボルトンは満面の笑みだった。



リナが吹き出す。


セイルも苦笑する。


そして。


三人は再び、

暗い坑道の中へ足を踏み入れた。


ランタンの光。


湿った空気。


静かな闇。


その奥には、

まだ見ぬ魔物と素材、

そして新しい冒険が待っていた。

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