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第40話 ラグナス地下坑道

ラグナス郊外。


山肌に開いた巨大な入口。


そこが——


ラグナス地下坑道だった。


「……ほんとに地下なんだ」


リナが見上げる。


入口は薄暗く、

冷たい風が流れ出ている。


奥は見えない。


まるで、

巨大な口のようだった。



入口前には、

数組の冒険者達。


準備を確認している。


武器。


荷物。


ランタン。


森とは空気が違う。


「緊張する?」


セイルが聞く。


リナは少し笑った。


「ちょっとだけ」


でも。


その目はちゃんと前を見ていた。



「では!」


ボルトンが胸を張る。


「私はここまでですぞ!」


「入らないんだ」


セイルが少し安心した顔をする。


「当然です!」


「死んだら利益ゼロですからな!」


ブレなかった。



レナが呆れる。


「本音隠さないわよね」


「商人は信用第一ですので!」


満面の笑みだった。



入口で、

ギルド職員が確認を行う。


「Dランク確認」


「地下坑道探索許可確認」


「問題なし」


通行証に印が押される。


その瞬間。


少しだけ、

空気が変わった。


戻れない。


本当にダンジョンへ入る。



「行こう」


セイルが先頭へ出る。


ランタンへ火を灯す。


薄暗い坑道。


湿った空気。


水滴の音。


足音が妙に響く。


「なんか……怖いね」


リナが小声になる。


「静かに」


レナが周囲を見ていた。


弓を持つ手に、

自然と力が入る。



坑道を進む。


壁には古いツルハシ跡。


昔は本当に、

鉱山だったらしい。


「サーチ」


セイルが呟く。


反応。


前方。


小さい。


複数。


「……何かいる」


その瞬間。


キィィィ!!


高い鳴き声。


天井から黒い影が飛び出した。


「うわっ!?」


ダークバット。


群れ。


速い。


視界を埋める。



「リナ!」


「うん!」


「ウィンド!!」


風が走る。


だが——


ドゴォォッ!!


以前より、

明らかに威力が強かった。


バット達がまとめて吹き飛ぶ。


壁へ叩きつけられ、

数匹がそのまま落ちる。


静寂。


全員止まる。



「……え?」


リナが固まる。


「今の……」


セイルも驚いていた。


「強くなかった?」


レナが周囲を見る。


「範囲も広い」


リナが慌ててステータスを開く。


そして。


「えっ」


目を丸くした。



【リナ】


Lv:8


習得スキル:

・ウィンド

・ハイウィンド



「増えてるぅぅ!?」


リナが叫びそうになって、

慌てて口を押さえる。


レナが呆れた。


「静かに」


「ご、ごめん……!」


でも嬉しそうだった。



セイルが少し笑う。


「やっぱりリナの風、

すごいな」


リナが少し赤くなる。


「えへへ……」


照れていた。



その時。


レナの目が細くなる。


「……まだいる」


「え?」


「奥」


サーチ。


気配。


複数。


しかも今度は——


地面。


「下がって!」


レナが叫ぶ。


次の瞬間。


影が飛び出した。


巨大蜘蛛。


灰色の体。


赤い目。


「シルクスパイダー!」


糸が飛ぶ。


セイルが剣で切る。


ネバつく。


「うわっ……!」


「その糸、

絡まる!」


レナが矢を放つ。


ヒュンッ!!


蜘蛛の目へ命中。


「ギィィ!?」


怯む。


「セイル!」


「分かってる!」


踏み込む。


強撃改。


ドガァッ!!


蜘蛛が吹き飛ぶ。


だが——


後ろ。


さらに二体。


「増えた!?」


リナが焦る。


狭い坑道。


逃げ場が少ない。


ダンジョン。


森とは違う。


その危険さを、

フォーチュンスターは初めて実感していた。

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