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第39話 ダンジョン準備

ラグナス中央通り。


「人多いねー!」


リナがきょろきょろしている。


Dランク昇格後。


今日は、

ダンジョン探索用の買い出しだった。



「ダンジョンは森と違いますぞ!」


ボルトンが胸を張る。


なぜいるのか。


もう誰も聞かなかった。


「閉鎖空間!」


「音が響く!」


「逃げにくい!」


「準備不足は死に直結ですぞ!」


珍しく真面目だった。



最初に訪れたのは、

道具屋。


店内には、

冒険用道具が並んでいた。


ランタン。


ロープ。


水袋。


保存食。


薬品。


まさに冒険者用。


リナが目を輝かせる。


「わぁ〜!」


「なんか冒険者っぽい!」


「冒険者なんだけどね」


レナがツッコむ。



「まずランタンですな」


ボルトンが手に取る。


「ダンジョン内は暗い場所も多い!」


「ですが!」


「火は最小限!」


セイルが頷く。


「魔物寄ってくるんだよね」


「その通りですぞ!」


ボルトンが嬉しそうだった。


「匂い!」


「音!」


「熱!」


「全部危険!」



レナが棚を見る。


「保存食多めにいるわね」


「ダンジョン内で料理は?」


リナが聞く。


レナが即答した。


「おすすめしない」


「匂いで寄る」


リナが少し青ざめる。


「こわ……」



「干し肉!」


「硬パン!」


「保存水!」


ボルトンがどんどん籠へ入れていく。


完全に慣れていた。



次は薬品棚。


そこには、

色とりどりの小瓶が並んでいた。


「毒消しは必須ですぞ」


ボルトンが真面目な顔で言う。


「シルクスパイダー系は、

毒や麻痺持ちもおります」


リナが小さく震える。


「麻痺やだなぁ……」


「前衛が麻痺すると危険です」


レナも頷く。


「セイル動けなくなったら終わる」


セイルが苦笑した。


「気をつけるよ」



ボルトンがさらに瓶を持ち上げる。


「麻痺治療薬!」


「少し高いですが、

命より安い!」


急に良い事を言う。


リナが瓶を覗く。


「これ飲むの?」


「苦いですぞ」


「うぇぇ……」


顔が嫌そうだった。


レナが呆れる。


「死ぬよりマシ」


「正論やめてぇ……」



その時。


薬師の店員が話しかけてきた。


「ちなみに」


「シルクスパイダーの麻痺毒は、

加工で矢にも使えますよ」


レナが反応する。


「矢?」


「麻痺矢です」


「上手く扱えば、

大型魔物も止められます」


レナの視線が、

少し真剣になる。


ボルトンがニヤッと笑った。


「ほっほっほ!」


「レナさん、

またお金が飛びますな!」


「うるさい」


でも。


少しだけ興味はあった。



セイルは荷物を見て、

小さく息を吐く。


「ダンジョンって、

思ったより準備いるんだね」


「当然ですぞ!」


ボルトンが胸を張る。


「準備は命!」


「帰還して初めて利益になります!」


商人なのに、

たまに本当に良い事を言う。



買い物を終え、

外へ出る。


夕方のラグナス。


人通りも多い。


リナが伸びをした。


「なんかほんとに冒険って感じしてきた!」


レナも新しい矢筒へ触れる。


ダンジョン。


未知の場所。


危険。


そして——


新しい素材。


ボルトンがキラキラした目で言った。


「糸ですなぁ……」


「まだ言ってる」


レナが呆れた。


セイルは苦笑する。


フォーチュンスター。


次の冒険は、

地下へ続いていた。

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