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第37話 評価

ラグナス冒険者ギルド。


夕方。


「……戻った」


セイルが小さく息を吐く。


オークソルジャー討伐後。


休む間もなく、

三人はギルドへ戻っていた。


周囲の冒険者達が視線を向ける。


「おい……」


「帰ってきたぞ」


「マジで倒したのか?」


ざわつきが広がる。



受付カウンター。


シエラが顔を上げた。


そして——


三人の姿を見て、

少しだけ目を細める。


「……生還確認」


静かな声だった。


だが。


どこか少し、

安心したようにも見えた。



セイルが袋を置く。


ドサッ。


重い音。


オークソルジャーの右耳。


空気が止まる。


「……確認します」


シエラが慎重に耳を持ち上げる。


通常オークより、

一回り大きい。


傷跡。


血。


討伐証明としては十分だった。



周囲がざわつく。


「マジかよ……」


「本当にEランクか?」


「いやもうDだろあれ……」


そんな声が聞こえる。


リナが少し照れていた。


「なんかすごい見られてる……」


レナは静かだった。


だが、

ほんの少しだけ口元が緩んでいた。



シエラが書類へ記入していく。


静か。


だがその手は速い。


そして。


「オークソルジャー討伐依頼」


「達成確認しました」


その瞬間。


ギルド内が少しざわついた。


「おぉ……!」


「やったな!」


拍手まで起きる。


リナがびっくりしていた。


「えっ!?」


セイルも少し困った顔をする。


「いやそんな大した……」


「あります」


シエラが即答した。


セイルが止まる。


シエラは真っ直ぐ三人を見る。


「Eランクでの討伐は、

十分異例です」


「誇ってください」


静かな声。


でも、

そこにはちゃんと敬意があった。



その時だった。


奥の扉が開く。


ギィ……


空気が変わる。


大柄な男。


灰色混じりの短髪。


右頬に古い傷。


重い視線。


「……お前らか」


低い声。


ギルド内が静かになる。


リナが小声になる。


「だ、誰?」


レナも少し緊張していた。


シエラが静かに言う。


「ギルド長です」


空気がさらに重くなる。



男——ローガンは、

三人を見る。


値踏みするように。


だが。


敵意ではない。


「オークソルジャー、

倒したんだってな」


セイルが頷く。


「はい」


ローガンは少しだけ笑った。


「大したもんだ」


短い。


でも、

重い言葉だった。



ローガンの視線が、

レナの弓へ向く。


「転職したてか」


「……はい」


「判断は悪くねぇ」


次にリナ。


「風魔法か」


「はい!」


最後にセイル。


ローガンが少し目を細める。


「お前」


「覚えるの早ぇな」


セイルが一瞬止まる。


だが。


ローガンはそれ以上聞かなかった。


代わりに。


「無茶だけはするな」


それだけ言って、

背を向ける。


そして去り際。


「Dランク審査、

通しておく」


リナが目を見開く。


「えっ!?」


ローガンは振り返らない。


「明日には更新されてる」


それだけ言って、

奥へ消えていった。



静かになる。


そして次の瞬間。


ギルド内が一気にざわついた。


「ギルド長直々!?」


「期待されてんなぁ!」


「フォーチュンスターやべぇ……」


リナが顔真っ赤だった。


「なんかすごい事になってるー!?」


セイルは苦笑する。


レナは小さく息を吐いた。


だが。


少しだけ嬉しかった。



その後。


ボルトン商会。


「おぉぉぉぉぉ!!」


ボルトンの叫び声が響く。


「オークソルジャーですぞぉ!!」


「素晴らしい!!」


大興奮だった。


「牙良し!」


「魔石良し!」


「肉も良し!!」


目がキラキラしている。


だが——


次の瞬間。


ピタッと止まった。


「……あっ」


セイル達が固まる。


ボルトンが震える手で、

オークソルジャーの皮を持ち上げた。


前面。


真っ黒。


焦げていた。


静寂。


そして——


「皮ぁぁぁぁぁ!!」


絶叫だった。


リナがビクッとする。


「えぇっ!?」


ボルトンが膝をつく。


「高級素材がぁぁぁ!!」


「価値がぁぁぁ!!」


完全に商人だった。



レナが呆れながら言う。


「爆発したんだから仕方ないでしょ」


「仕方なくありませんぞぉ!!」


即答。


セイルが苦笑する。


「……次は調整する」


ボルトンが顔を上げる。


「本当ですかな!?」


「努力します」


「期待してますぞ!!」


復活が早い。



そんなやり取りを見ながら、

リナが吹き出した。


「なんかいつも通りだね」


確かにそうだった。


Dランク目前。


オークソルジャー討伐。


強敵。


新技。


色んな事があった。


それでも——


フォーチュンスターの日常は、

少しずつ前へ進み続けていた。

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