表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
33/42

第33話 転職神殿

翌朝。


「さぁ!」


ボルトンが胸を張る。


「転職神殿へ向かいますぞ!」


朝から元気だった。


リナが苦笑する。


「ボルトンさん、

なんか楽しそう」


「若者の成長を見るのは良いものですぞ!」


本音半分。


商売半分。


そんな顔だった。



ラグナス中央区。


街の奥へ進むほど、

建物が大きくなっていく。


そして——


「……すご」


セイルが思わず呟いた。


巨大な白い建物。


高い塔。


色鮮やかなステンドグラス。


まるで教会だった。


「ここが転職神殿……」


レナが静かに見上げる。


周囲には、

冒険者の姿も多い。


剣士。


魔法使い。


重装備の戦士。


皆、

どこか緊張していた。



神殿へ入る。


空気が変わる。


静かだった。


外の喧騒が嘘みたいに。


床には大きな魔法陣。


淡く光っている。


リナが小声になる。


「なんか神聖……」


「ここで人生変わるからね」


レナも少し真面目な顔だった。



その時。


「おや」


神官服の男性が近づいてくる。


すると——


「これはボルトン様」


深く頭を下げた。


リナが固まる。


「えっ」


セイルも少し驚いている。


ボルトンは得意げだった。


「ふっふっふ!」


「寄付は大事ですぞ!」


レナが小声で呟く。


「やっぱりすごい人だったのね……」



神官が視線を向ける。


「本日は転職ですか?」


「ええ!」


ボルトンがレナを見る。


「この子をアーチャーへ!」


神官はレナを見る。


そして静かに頷いた。


「適性確認を行います」


「こちらへ」



案内された部屋。


中央には、

大きな魔法陣。


白く淡く光っている。


レナがその前へ立った。


少しだけ緊張している。


セイルが声をかける。


「大丈夫?」


レナは小さく笑った。


「今さら怖くなったりしない」


でも。


その手は少しだけ、

強く握られていた。



神官が静かに言う。


「転職は、

現在の生き方を変える儀式です」


「ですが、

積み重ねたスキルは失われません」


「今までの力に、

新たな適性を重ねるもの」


レナが静かに頷く。


「……お願いします」


神官が杖を掲げる。


魔法陣が光る。


淡い光。


風。


そして——


静かな魔力が、

レナを包み込んだ。


リナが目を輝かせる。


「綺麗……」


セイルも、

静かに見つめていた。



光が少しずつ収まっていく。


やがて。


神官が微笑んだ。


「適性確認完了」


「アーチャー適性あり」


「転職可能です」


レナが小さく息を吐く。


そして。


少しだけ笑った。


「……やる」


迷いは、

もう無かった。



その瞬間。


魔法陣が強く輝く。


光がレナを包む。


風が揺れる。


静かだった神殿が、

一瞬だけ神秘的な空気に満たされた。


そして——


光が消える。


レナがゆっくり目を開いた。


『アーチャーへ転職しました』


その文字が、

レナの視界へ浮かんでいた。



「おぉぉ……!」


リナが感動している。


「なんか変わった!?」


「……少しだけね」


レナが苦笑する。


だが。


本人には分かっていた。


視界。


感覚。


距離感。


今までより、

遠くが自然に見える。


「これが……アーチャー」


小さく呟く。


その横で。


セイルが笑った。


「おめでとう」


レナは少しだけ驚いて、

そして小さく笑い返した。


「……ありがと」



その時。


神官がふと、

セイルを見る。


「……?」


ほんの一瞬だけ。


違和感を見るような目だった。


だがすぐに、

静かな笑顔へ戻る。


「良い仲間をお持ちですね」


セイルは少しだけ不思議そうにしながら、

小さく頷いた。


ラグナス。


転職神殿。


その場所で——


三人はまた、

新しい一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ