表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/27

第25話 初オーク

「……オーク」


セイルが低く呟く。


茂みから現れたのは二体。


大きい。


ゴブリンより頭一つ以上高い。


筋肉の盛り上がった腕。


鈍く光る牙。


そして、手に持った巨大な棍棒。


「うわ……」


リナの声が少し強張る。


レナも短剣を構え直した。


「ゴブリンとは別物ね……」


オークはこちらへ気づいていた。


低く唸る。


そして——


ドンッ!


地面を踏み鳴らしながら突っ込んできた。


「速っ!?」


セイルが目を見開く。


見た目より速い。


ゴブリンとは重さが違う。


「ボルトンさんは下がって!」


「ひぃっ!?」


ボルトンが慌てて馬車の後ろへ隠れる。


その間に——


レナが飛び出した。


「リナ!」


「うん!」


「ウィンド!」


風の刃。


オークの顔を狙う。


だが——


バシュッ。


浅い。


皮膚を少し切った程度だった。


「硬っ!?」


リナが驚く。


オークが棍棒を振り上げる。


「危ない!」


レナが叫ぶ。


ドゴォッ!!


地面が砕けた。


土が吹き飛ぶ。


リナが慌てて転がって避ける。


「ひゃあっ!?」


セイルが前へ出た。


「強撃改!」


ドンッ!!


剣がオークへ叩き込まれる。


重い。


ゴブリンとは違う。


だが——


「効いてる!」


オークがよろめく。


セイルは歯を食いしばった。


(硬い……!)


それでも。


倒せない相手ではない。


オークが怒ったように唸る。


もう一体も、

レナへ向かっていた。


「っ……!」


レナが短剣で流す。


だが重い。


腕が弾かれる。


「レナ!」


リナが杖を向ける。


「ウィンド!」


風の刃。


オークの動きが一瞬止まる。


その隙にレナが距離を取った。


「助かった!」


「セイル!」


リナが叫ぶ。


「合わせられる!?」


セイルは一瞬だけ目を見開く。


風。


同時。


前に少しだけ感じた。


あの時の——


「やってみよう!」


二人が同時に杖と手を向ける。


「ウィンド!」


「ウィンド!」


その瞬間。


二つの風がぶつかる。


いや——


混ざった。


ゴォォッ!!


巨大な風刃が生まれる。


「えっ!?」


リナが驚く。


風が一直線に走る。


オークの身体を深く切り裂いた。


ドガッ!!


大きな身体が吹き飛ぶ。


「うそ……」


レナが目を見開く。


今までのウィンドとは、

明らかに威力が違った。


オークが苦しそうに膝をつく。


その瞬間。


セイルが踏み込む。


「強撃改!」


ドンッ!!


剣が振り抜かれる。


オークが崩れ落ちた。


静寂。


残った一体が、

わずかに怯む。


「いける!」


リナが叫ぶ。


レナも駆ける。


「右!」


「うん!」


三人の動きが噛み合う。


レナが注意を引き。


リナが風で崩し。


セイルが叩く。


「強撃改!!」


ドォン!!


二体目のオークも、

大きな音を立てて倒れた。



静かになる。


「はぁっ……」


リナがその場へ座り込む。


「つ、強すぎない!?」


レナも息を吐いた。


「ゴブリンとは別格ね……」


セイルも剣を下ろす。


腕が少し痺れていた。


重い。


だが——


戦えた。


その時だった。


『中型モンスターへの強撃改使用を確認』


『現在達成:2 / 10』


さらに。


『連携魔法を確認』


『ハイウィンドのレシピを取得できます』


セイルの目がわずかに動く。


(ハイウィンド……)


新しい道。


また一つ、

先が見えた。


その横で。


リナがまだ興奮していた。


「今のすごかったよね!?」


「合体ウィンド!」


「名前つけようよ!」


「えっ」


セイルが嫌な予感をする。


「ラブリーウィンドとか!」


「やめて!?」


即座に否定する。


レナが吹き出した。


「戦闘技にその名前はどうなの……」


「じゃあ、ツインフラワー!」


「もっとダメだよ!」


「えー!?」


リナが不満そうに頬を膨らませる。


その時。


レナが少し考えるように言った。


「……双風刃とかでいいんじゃない?」


一瞬、静かになる。


「おおっ!」


リナの目が輝いた。


「かっこいい!」


セイルも小さく頷く。


「……それ、いいね」


レナは少し照れくさそうに視線を逸らした。


その後ろで——


ボルトンが震えていた。


「オ、オークを二体も倒すとは……」


そして。


目がキラッと光く。


「これは高く売れますぞぉ……!」


「そこなんだ」


セイルが苦笑した。


フォーチュンスター初のオーク戦。


それは——


確かな成長を感じる戦いだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ