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第24話 商隊護衛

翌朝。


ギルドの前には、一台の大きな馬車が停まっていた。


荷台には木箱が積まれている。


布で丁寧に覆われ、

しっかり縄で固定されていた。


「おおっ、来ましたな!」


丸い声が響く。


馬車の横から、

大柄な男がこちらへ歩いてきた。


少し太めの体型。


丸い眼鏡。


立派な口ひげ。


だが、その動きはどこか慌ただしい。


「フォーチュンスターの皆さんですな!?」


「はい」


セイルが頷く。


男は満面の笑みを浮かべた。


「いやぁ助かります!」


「私、ボルトンと申します!」


「今回の商隊代表ですぞ!」


そう言いながら、

勢いよく頭を下げ——


ゴンッ。


馬車へ頭をぶつけた。


「痛ぁっ!?」


「だ、大丈夫ですか!?」


リナが慌てる。


レナは少し吹き出していた。


「……大丈夫かしら、この人」


「だ、大丈夫ですぞ!」


ボルトンは額を押さえながら笑った。


「よくあることです!」


「いや、よくあっちゃダメですよね……」


セイルが苦笑する。



護衛依頼の内容は単純だった。


この街から、

ラグナスまでの護衛。


道中は三日。


森を抜け、

丘陵地帯を越える。


最近はオークの目撃情報もあり、

護衛依頼が増えているらしい。


「オーク素材は今高騰中でしてなぁ……」


ボルトンが小声で言う。


その瞬間。


目がキラッと光った。


「特に牙と魔石!」


「今なら通常の一・五倍ですぞ!」


「おおー!」


リナが感心する。


セイルとレナは、

なんとなく察していた。


この人。


かなり商人だ。



「では、出発しましょう!」


ボルトンが御者台へ乗り込む。


だが——


「おっと!?」


足を滑らせる。


「わっ!?」


リナが慌てて支えた。


「危なっ!」


「いやぁ〜助かりました!」


ボルトンは笑っている。


レナが小さく呟く。


「本当にこの人、大丈夫なの……?」


セイルは苦笑した。


「でも、悪い人じゃなさそう」


「それはそうね」



馬車が動き出す。


街の門を抜ける。


石畳が土道へ変わっていく。


セイルはその景色を見ながら、

小さく息を吐いた。


(次の街か……)


オーク。


Dランク。


レイド。


少し前まで、

想像もしなかった場所へ向かっている。


リナが荷台から顔を出した。


「セイルー!」


「ん?」


「これ見て!」


木箱の隙間。


そこには大量の果物が積まれていた。


リナがボルトンの真似をする。


「食べていいですかな?」


「ダメですぞぉ!?」


ボルトンが即座に反応した。


「商品ですからな!?」


「あははっ!」


リナが楽しそうに笑う。


「似てた!?」


レナが吹き出した。


「ちょっと似てたのが悔しいわね……」


セイルも思わず笑っていた。


緊張していたはずなのに。


不思議と、

空気は明るかった。



だが。


街道を半日ほど進んだ頃。


セイルの表情が変わる。


「……サーチ」


ぼんやりとした気配。


前方。


複数。


「止まってください」


セイルが低く言う。


ボルトンが慌てて手綱を引いた。


「ど、どうしました!?」


レナも気づく。


「……何かいる?」


セイルは静かに頷いた。


「前に四」


「こっちへ向かってきます」


空気が変わる。


リナが杖を握る。


レナが短剣を抜く。


そして——


茂みが揺れた。


現れたのは。


「……オーク」


ゴブリンより大きい。


筋肉質な身体。


鈍い目。


そして、巨大な棍棒。


セイルは剣を握り直す。


ついに——


次の敵が現れた。

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