第128話 穴③
ギギギギ……
重い足音。
暗闇の奥。
赤い目がまた増えていく。
「ほんとキリねぇなこのダンジョン」
ゴルドが顔をしかめる。
ヴァルクも剣を握り直した。
だが。
セイルは違った。
「……待って」
「今度はなんだ」
「反対側に」
全員が止まる。
セイルは目を閉じる。
エリアサーチ。
広範囲。
敵。
味方。
全部混ざる。
その中で。
別方向。
強い反応。
「人?」
レナが聞く。
「多分」
さらに。
「こっちに向かってる」
ヴァルクの目が少し変わる。
「穴③か」
その瞬間だった。
奥。
別通路側から轟音。
ドガァァァン!!
何かが吹き飛ぶ音。
さらに。
「道を開けろぉぉぉ!!」
怒号。
次の瞬間。
横穴から、
アーミーアント数体が吹き飛んできた。
「なっ!?」
ゴルドが驚く。
そして。
別通路側から、
重装の冒険者達が飛び込んできた。
先頭。
大剣。
巨大盾。
そして。
真ん中を歩く男。
「……ギルド長」
ヴァルクが少し笑う。
ギルド長は周囲を一瞬で見た。
崩れた通路。
死骸。
焼け跡。
蒸気。
ジェネラル。
そして。
フォーチュンスター。
「……お前ら何した?」
第一声がそれだった。
リナが少し目を逸らす。
「メルトストリーム?」
「名前付いてんのかよ!?」
ギルド長が即ツッコむ。
その後ろで、
穴③側の冒険者達が呆然としていた。
「なんだこの焼け跡……」
「ジェネラル倒れてるぞ……」
「本当にC級か?」
ヴァルクが苦笑する。
「俺も同じこと思ってる」
だが。
次の瞬間。
セイルが奥を見る。
「……まだ来るよ」
空気が変わる。
ギルド長もすぐ真顔になった。
「クイーン反応は」
「奥」
「動いてない」
「卵が大量にある」
ギルド長が息を吐く。
「やっぱりか」
そして。
全員を見る。
「ここから先は、
クイーンの間だ」
静寂。
ギルド長が続ける。
「正面討伐は考えるな」
「狙うのは産卵阻止」
「卵管を潰す」
ヴァルクが笑う。
「つまり嫌がらせだな」
「そうだ」
ギルド長も笑った。
「増やさせなきゃ勝ちだ」
その瞬間。
奥の暗闇。
ギギギギギ……
今までより、
さらに重い音が響いた。
そして。
巨大な赤い目が、
ゆっくり開いた。




