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第129話 クイーンの間

 ギギギギギ……


 重い音。


 今までとは違う。


 地面そのものが震えていた。


 ギルド長が大剣を握り直す。


「行くぞ」


 全員の空気が変わる。


 もう、

 雑談はない。


 ここから先。


 本命だった。


 狭い坑道を進む。


 周囲には、

 焼け焦げたアーミーアント。


 崩れた壁。


 そして。


 奥へ進むほど、

 空気が重くなっていく。


「……気持ち悪い」


 リリスが小さく呟く。


 レナも眉をしかめた。


「魔力が濃いです」


 セイルは黙って前を見る。


 エリアサーチ。


 巨大反応。


 一つ。


 その周囲。


 ジェネラル級。


 さらに大量。


「止まってる」


「待ち構えてるな」


 ヴァルクが低く言う。


 そして。


 通路が開けた。


 全員が止まる。


「……なんだこれ」


 ゴルドの声が漏れる。


 広い。


 巨大空間。


 天井まで続く巣。


 壁一面。


 びっしり。


 白い卵。


 数百。


 いや。


 数千。


「うわ……」


 リナの顔が引きつる。


 その中心。


 巨大な影。


 女王。


 アーミークイーン。


 大きい。


 ジェネラル級とは比較にならない。


 膨れ上がった腹部。


 そこから、

 ゆっくり卵が産み落とされていた。


「……最悪だな」


 ヴァルクが息を吐く。


 さらに。


 周囲。


 ジェネラル級。


 一体。


 二体。


 三体。


 四体。


「おいおい……」


 ゴルドが笑うしかない顔になる。


「護衛多すぎだろ」


 その瞬間。


 クイーンの赤い目が、

 ゆっくりこちらを向いた。


 ゾワッ——


 空気が震える。


 次の瞬間。


 ギシャァァァァァァ!!!


 咆哮。


 同時に。


 ジェネラル級が一斉に動いた。


「散れ!!」


 ギルド長が叫ぶ。


 ドゴォォォォン!!


 ジェネラルの突撃。


 地面が砕ける。


 ヴァルクが正面を止める。


「強撃烈!!」


 激突。


 だが。


 もう一体。


 さらに横。


「多い!!」


 バルトが盾を構える。


 その瞬間。


 セイルの目が止まった。


 クイーン。


 腹部。


 そこだけ、

 異様に魔力が集中している。


「……卵管」


 ギルド長が叫ぶ。


「セイル!!」


「分かってる」


 目的は討伐じゃない。


 増殖阻止。


 卵を止める。


 その瞬間。


 ジェネラル級が、

 セイルへ割り込んだ。


 ギシャァァァ!!


「邪魔」


 二刀流。


 右。


 左。


 流れる。


 止まらない。


 そして。


「二段切り」


 ザザザザッ!!


 四連撃。


 ジェネラルの脚へ深く入る。


 だが。


 止まらない。


 さらに後ろ。


 もう一体。


「セイル!!」


 リナが叫ぶ。


 その瞬間。


 レナの麻痺矢が飛ぶ。


 ビクッ!!


 一瞬止まる。


「今です!!」


 ヴァルクが踏み込む。


「強撃烈!!」


 ドゴォォォォォン!!


 ジェネラルが吹き飛ぶ。


 だが。


 クイーンは止まらない。


 ゆっくり。


 ゆっくり。


 卵を産み続けていた。

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