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第119話 アーミーメイジ

 巨大な赤い目。


 その奥。


 黒い影がゆっくり姿を現す。


「……でかっ」


 リナが思わず声を漏らす。


 普通のアーミーアントより、

 一回り大きい。


 だが問題はそこじゃなかった。


 背中。


 そこに、

 青黒い魔石のようなものが埋まっている。


「アーミーメイジ!」


 フィリアが叫ぶ。


 その瞬間。


 アーミーメイジの口元へ、

 紫色の光が集まる。


「来るぞ!!」


 ヴァルクが叫ぶ。


 直後。


 ドシュッ!!


 紫の液体弾が飛ぶ。


 速い。


 バルトが即座に盾を構える。


「任せろ!!」


 ガギィィィン!!


 直撃。


 だが。


 ジュゥゥゥ……


「っ!?」


 バルトの顔が歪む。


 盾から煙が上がっていた。


「熱っ!?」


 さらに。


 鎧の隙間へ、

 紫の液体が少し飛び散る。


「ぐっ……!」


 バルトが膝をつく。


「バルト!?」


 リリスが叫ぶ。


 その瞬間。


 リナが前へ出た。


「ウインド!!」


 風。


 次に飛んできた紫弾の軌道を、

 強引に逸らす。


 ドゴッ!!


 壁へ直撃。


 石が溶けた。


「うわっ……」


 リナの顔が引きつる。


「酸!?」


「魔法混じりだ!」


 ヴァルクが即座に判断する。


「物理防御だけじゃ防げねぇ!」


 バルトが苦しそうに息を吐く。


「なんだこれ……」


 腕。


 少し紫色に変色していた。


「毒まである!?」


 レナが顔を変える。


 その瞬間。


「キュア!」


 フィリアの杖が光る。


 淡い光が、

 バルトを包み込んだ。


 紫色が少しずつ消えていく。


「おぉ……」


 バルトが息を吐く。


「楽になった……」


 セイルの目が止まる。


 回復。


 状態異常解除。


 今までのヒールとは違う。


【キュアのレシピを取得できます】


【取得しますか?】


「YES」


 瞬間。


 頭の中へ感覚が流れ込む。


 毒。


 麻痺。


 異常解除。


 治癒の流れ。


 今までとは違う、

 細かい魔力操作。


「……なるほど」


「今なに覚えた?」


 リナが即ツッコむ。


「キュア」


「戦闘中に覚えるな!!」


 だが。


 その時だった。


 アーミーメイジが、

 さらに魔力を溜め始める。


 しかも。


 一体じゃない。


 奥。


 さらに二体。


「増えたぞ!?」


 ゴルドが叫ぶ。


 ヴァルクが舌打ちする。


「面倒な相手だな……!」


 物理型前衛への毒。


 酸。


 後方魔法。


 明らかに厄介だった。


 そして。


 セイルはバルトを見た。


 重装。


 強い。


 だが。


「……魔法弱い」


「知ってるわ!!」


 バルトが即叫ぶ。


 その後ろで、

 リナが再び風を放つ。


 紫弾の軌道が逸れる。


 フィリアがキュアを構える。


 前衛。


 支援。


 回復。


 即席だった。


 だが。


 少しずつ、

 パーティが対応し始めていた。

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