第120話 後衛潰し
ドシュッ!!
紫の酸弾が飛ぶ。
「ウインド!!」
リナの風が軌道を逸らす。
酸液が壁へ直撃。
ジュゥゥゥ……
石が溶けた。
「ほんと嫌な相手!!」
リナが叫ぶ。
その間にも、
アーミーメイジは後方から魔法を撃ち続ける。
しかも。
前には大量のアーミーアント。
「チッ……!」
ヴァルクが舌打ちする。
「前衛維持!!」
「メイジは俺とセイルで潰す!!」
「おう!!」
バルトとゴルドが同時に盾を叩く。
前線固定。
完全に役割分担だった。
ヴァルクが剣を構える。
「置いてかれるなよ」
セイルを見る。
「多分無理」
「正直でいい」
次の瞬間。
二人が同時に消えた。
「速っ!?」
リリスが目を見開く。
ヴァルクは一直線。
無駄がない。
最短距離。
対してセイルは違う。
右。
左。
アーミーアントの隙間を滑る。
二刀流。
止まらない。
「ギシャァ!!」
一体飛び込む。
セイルの右剣が弾く。
そのまま左。
短剣。
首元へ突き刺さる。
さらに。
右。
左。
連続。
だが。
「……まだ遅い」
セイル自身は分かっていた。
ヴァルクの連撃には届かない。
その瞬間。
ヴァルクがソルジャー級へ踏み込む。
「強撃烈」
ドゴォォォォン!!
一撃。
ソルジャー級ごと、
後ろのアーミーアントまで吹き飛ぶ。
「うわ……」
リナが引いた。
重い。
威力が違う。
「これがB級……」
レナが小さく呟く。
だが。
セイルも止まらない。
「強撃改」
右。
さらに。
「強撃改」
左。
二連撃。
ザザッ!!
アーミーアント二体を切り裂く。
だが。
やはり違う。
ヴァルクほどの重さがない。
「まだ荒いな!」
ヴァルクが叫ぶ。
「止めるな!」
「繋げろ!!」
その言葉。
セイルの目が変わる。
右。
左。
右。
左。
止めない。
その時だった。
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■ 二段切り
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「増えた」
「またなんか言ってる!」
後ろでリナが叫ぶ。
だが今はそれどころじゃない。
アーミーメイジ。
残り二体。
「セイル右!!」
ヴァルクが叫ぶ。
瞬間。
紫弾。
飛来。
だが。
「ウインド!!」
リナの風が逸らす。
その隙に。
セイルが踏み込んだ。
右。
左。
ザザッ!!
一体撃破。
「よし!」
だが。
最後の一体が、
後ろへ下がりながら魔力を溜める。
紫じゃない。
黒。
「……まずい」
フィリアの顔が変わった。
次の瞬間。
坑道全体へ、
黒い霧が広がり始めた。




