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第118話 赤い目

 ギシャァァァ!!


 咆哮。


 次の瞬間。


 暗闇から、

 アーミーアントの群れが一斉に飛び出した。


「前出る!!」


 バルトとゴルド。


 二人の盾役が同時に前へ出る。


 ガギィィィン!!


 鋭い顎が盾へ食い込む。


 だが。


 止まった。


「硬ぇな!!」


 ゴルドが笑う。


 バルトも負けていない。


「押し返せる!!」


 以前より安定感が違う。


 アースドラゴン周回。


 その経験が、

 確実に前衛を強くしていた。


「後衛!」


 ヴァルクが叫ぶ。


 瞬間。


「ファイアー!!」


「アイスボール!!」


 リリスとフィリア。


 二人の魔法が同時に炸裂する。


 炎。


 氷。


 坑道を埋める。


 その隙間を、

 セイルが飛び出した。


 右手の剣。


 左手の短剣。


 まだぎこちない。


 だが。


「……速いな」


 ヴァルクが少し驚く。


 セイルは止まらない。


 右で弾く。


 左で刺す。


 まだ未完成。


 だが。


 以前より明らかに手数が増えていた。


 ギィン!!


 一体。


 さらに。


 ザッ!!


 二体目。


 その時だった。


 一体のアーミーアントが、

 横から飛び込んでくる。


 死角。


「セイル!!」


 リナが叫ぶ。


 瞬間。


【二刀流を習得しました】


 世界が変わった。


 左手。


 右手。


 重さ。


 間合い。


 全部が自然に繋がる。


 セイルの体が、

 滑るように動いた。


 ギィン!!


 短剣で攻撃を弾く。


 そのまま。


 右。


 左。


 流れる。


 止まらない。


 ザザッ!!


 一瞬で二体切断。


「……は?」


 ヴァルクが止まる。


 速い。


 違う。


 今までのぎこちなさが、

 一瞬で消えていた。


 セイル自身も分かる。


 左手が自然に動く。


 無駄がない。


 そのままさらに踏み込む。


 右。


 左。


 連続。


 止まらない。


 アーミーアントの群れを、

 滑るように切り抜けていく。


「おいおい……」


 ゴルドが少し笑う。


「レイド中に化けやがった」


 ヴァルクの目も変わっていた。


「……なるほど」


「速度型か」


 そして。


 ヴァルクがソルジャー級へ踏み込む。


 ザッ!!


 一撃。


 さらに。


 ザザッ!!


 二連撃。


 一切止まらず、

 次へ繋げる。


 セイルの目が止まる。


 踏み込み。


 繋ぎ。


 重心移動。


 全部。


【二段切りのレシピを取得できます】


【取得しますか?】


「YES」


 頭の中へ感覚が流れ込む。


 連撃。


 一撃目から二撃目へ繋ぐ技術。


 だが。


 その時だった。


 セイルの顔が変わる。


「……来る」


「なにが?」


「大きい」


 空気が止まる。


 次の瞬間。


 奥の暗闇。


 巨大な赤い目が、ゆっくり開いた。

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