第117話 レイド開始
翌朝。
王都ギルド前。
大量の冒険者が集まっていた。
B級。
C級。
重装前衛。
魔法使い。
神官。
全員が、
これから始まる異常事態を理解している。
アーミーアント。
群れ系魔物。
放置すれば、
数で街を飲み込む災害。
「静かにしろ!!」
ギルド長の声が響く。
一瞬で空気が締まる。
「これより第二層アーミーアント掃討レイドを開始する!」
周囲の冒険者達が武器を握り直す。
「目的は侵攻阻止!」
「クイーン位置特定!」
「無理な深追いは禁止!」
そして。
三つの穴が記された地図が掲げられる。
「穴①」
ギルド長の指が止まる。
「蒼銀の翼」
周囲が頷く。
王都B級上位。
実力は誰もが知っている。
「そして——」
一瞬間。
「フォーチュンスター」
まだ少しざわつく。
だが前回より、
否定的な空気は少ない。
アースドラゴン。
ギルド長。
緊急報告。
実績が、
少しずつ認められ始めていた。
「探索はセイル中心」
「異変感知を優先しろ」
「はい」
セイルは短く返す。
その腰には、
剣と短剣。
二本。
リナが小さく笑う。
「ほんとにやるんだ」
「練習」
即答だった。
バルトは呆れている。
「レイド中に覚える気かよ……」
「効率いい」
「効率で命かけんな」
その時。
ヴァルクが横へ来る。
「まぁ間違ってはねぇ」
「数相手なら実戦が一番早い」
そう言って、
セイルの短剣を見る。
「ただ最初は欲張るな」
「右主体」
「左は補助」
「……分かった」
素直だった。
そして。
ギルド長が最後に言う。
「行くぞ」
王都冒険者達が動き出す。
重い足音。
緊張。
空気。
今までとは違う。
これは討伐じゃない。
戦争だった。
そして。
第二層入口。
三つの穴。
その一つへ、
蒼銀の翼とフォーチュンスターが向かう。
暗い。
狭い。
湿っている。
そして。
奥から聞こえる。
カサカサカサカサ……
無数の足音。
ヴァルクが剣を抜く。
「来るぞ」
その瞬間。
暗闇の奥。
赤い目が、
一斉に開いた。




