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第116話 二刀流

 レイド前日。


 王都ギルド訓練場。


 フォーチュンスターと蒼銀の翼は、

 簡単な連携確認を行っていた。


 特に今回重要なのは、

 坑道戦。


 狭い。


 数が多い。


 乱戦になる。


「前衛は無理に突っ込むな」


 蒼銀の翼のヴァルクが言う。


「囲まれたら終わる」


 実際、

 昨日のアーミーアントは異常だった。


 数が違う。


「セイル」


 ヴァルクが視線を向ける。


「お前、

 速度型だろ」


 ガンドと同じことを言う。


 セイルは頷いた。


「なら手数増やせ」


 そう言って。


 ヴァルクは腰の短剣を一本抜く。


「二刀流だ」


 軽く構える。


「今のレイド、

 一撃より処理速度いる」


 そのまま。


 ヴァルクが軽く動いた。


 ザッ。


 右。


 左。


 二連撃。


 流れるような動き。


 無駄がない。


「……連続」


 セイルの目が止まる。


「二段切り」


 ヴァルクが言う。


「速度型の基本だ」


「止まらず繋げる」


 その言葉は、

 セイルへかなり刺さった。


 止まらない。


 ガンドにも言われた。


 ヴァルクは短剣をセイルへ投げる。


「やってみろ」


 セイルが受け取る。


 右手に剣。


 左手に短剣。


 ゆっくり構える。


 そして動く。


 右。


 左。


 振る。


 だが。


「……ズレる」


 左が遅い。


 無理に合わせると、

 逆に動きが止まる。


「だから練習するんだよ」


 ヴァルクが笑う。


「速度型は慣れたら強い」


 セイルは小さく目を閉じた。


「ステータスオープン」


 頭の中へ表示される。



■ 二刀流


剣+短剣の同時運用スキル。


条件


・AGI30以上

・DEX30以上

・剣と短剣を同時使用100回


現在


0 / 100



「……なるほど」


「ん?」


 ヴァルクが首を傾げる。


 セイルは普通に構え直した。


 そして再び振る。


 右。


 左。


 少しだけ滑らかになる。


「お?」


 ヴァルクが少し驚く。


 セイルは真面目だった。


「効率いい動き探してる」


「変な覚え方する奴だな……」


 ヴァルクが苦笑する。


 リナは横で笑っていた。


「またセイルの変な特訓始まった」


 バルトも呆れている。


「戦いながら覚える気か?」


「その方が早そう」


 即答だった。


 リリスが苦笑する。


「まぁセイルだし……」


 だが。


 その目だけは真剣だった。


 二刀流。


 速度。


 連撃。


 止まらない戦い方。


 レイド開始前。


 セイルは、

 さらに一段先へ進もうとしていた。

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