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第115話 レイド編成

 王都ギルド。


 空気は完全に変わっていた。


 さっきまでの雑談は消え、

 冒険者達が真剣な顔で集まり始める。


 武器の確認。


 防具。


 回復薬。


 緊急招集。


 レイド特有の空気だった。


 ギルド長は中央へ立つ。


「静かにしろ」


 一言で、

 ギルド全体が静まった。


「第二層にアーミーアント群発生」


「未確認穴三箇所」


「クイーン級存在の可能性あり」


 ざわっ……


 空気が重くなる。


 アーミークイーン。


 その単語だけで、

 危険度が分かる冒険者は多かった。


「本来ならA級案件だ」


 ギルド長が続ける。


「だが」


 少し間を置く。


「現在、

 王都所属A級は全員遠征中」


 ギルド内がざわつく。


「マジかよ……」


「最悪のタイミングだな」


 だがギルド長は冷静だった。


「だから今回、

 集められるB級を中心に編成する」


 壁へ簡易マップが貼られる。


 三つの穴。


 三方向。


「同時進行で潰す」


 ギルド長の指が、

 三つの穴を順番に指す。


「穴①」


「蒼銀の翼」


 ギルド内が少しざわつく。


 やはり王都でも有名らしい。


 そして。


 ギルド長が続ける。


「……フォーチュンスター」


 一瞬。


 空気が止まる。


「C級!?」


「マジか!?」


 周囲がざわつく。


 だがギルド長は構わず続けた。


「探索能力が必要だ」


「こいつらは既に現場確認済み」


「エリアサーチ持ちもいる」


 その瞬間。


 さらにざわつく。


「エリアサーチ!?」


「C級で!?」


 セイルは普通に立っていた。


 特に気にしていない。


「穴②、③はB級三組ずつ」


「補助としてC級を同行させる」


 つまり。


 蒼銀の翼+フォーチュンスターだけ、

 特殊編成だった。


 その意味は大きい。


 周囲の冒険者達も、

 少し見る目が変わる。


 ギルド長は続ける。


「今回の目的は殲滅じゃない」


「侵攻阻止と、

 クイーン位置特定だ」


 空気が締まる。


「最悪なのは、

 地上進出」


「王都近辺へ出られたら被害が出る」


 誰も笑わない。


 アーミーアントは、

 群れそのものが災害だった。


「無理はするな」


「数がおかしいと思ったら即撤退」


「情報優先だ」


 そこで。


 ギルド長の視線が、

 フォーチュンスターへ向く。


「お前らは特にな」


 セイル達は静かに頷いた。


「あと」


 ギルド長が少しだけ苦笑する。


「今回はちゃんと報告しろ」


「「「はい……」」」


 また全員同時だった。


 ギルド内に、

 少しだけ笑いが戻る。


 だが。


 次の戦いは、

 今までとは違う。


 王都レイド。


 フォーチュンスターは、

 初めて“街を守る戦い”へ足を踏み入れようとしていた。

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