第11話 次の依頼
ギルドの扉を押し開ける。
いつものざわめきが耳に入る。
セイルはそのままカウンターへ向かった。
「すみません、依頼を受けたいんですが」
受付の女性が顔を上げる。
「あ、おかえりなさい」
柔らかく微笑んだ。
「今日は別の依頼ですか?」
「はい」
セイルは頷く。
「もう少し、戦える依頼を探していて……」
受付は一瞬だけセイルを見つめる。
「……分かりました」
「私はユナです。改めて担当させていただきますね」
「セイルです。よろしくお願いします」
ユナは頷く。
「では、こちらになります」
差し出された依頼書を受け取り、目を通す。
「……ゴブリン討伐、これを」
ユナの表情が少しだけ引き締まる。
「Fランクでも受けられますが、少し危険です」
「はい、大丈夫です。無理はしないつもりなので」
ユナは小さく頷いた。
「単独での受注ですね?」
「はい」
「……分かりました」
印を押す。
「危険を感じたら、すぐに戻ってきてくださいね」
「ありがとうございます」
依頼書を受け取り、ギルドを出た。
⸻
森の奥へ進む。
空気が少し変わる。
「……いる」
そのときだった。
「っ……!」
遠くから声が聞こえた。
「……あっちだ」
セイルは走る。
木々を抜けた先。
そこには——
ゴブリンが三体。
そして二人の少女。
「っ……!」
一人は短剣で必死に捌いている。
もう一人は詠唱中。
「ま、まだ……っ!」
一体のゴブリンが距離を詰める。
(間に合う)
セイルは踏み込んだ。
「っ!」
横から斬り込む。
ゴブリンがよろける。
「強撃」
ドンッ。
一体が吹き飛ぶ。
「え……?」
少女が驚く。
「大丈夫?」
セイルが声をかける。
「う、うん!」
「助かった、ありがとう!」
「もう少しで詠唱できる!」
「お願い、少しだけ時間を!」
「うん、任せて」
セイルは前に出る。
ゴブリンが2体、同時に来る。
(落ち着いて)
一体目。
「強撃」
剣を振り抜く。
衝撃で体勢を崩させる。
すぐに間合いを取り直す。
二体目が飛び込む。
(速い……)
だが——
見える。
「強撃」
二発目。
弾き飛ばす。
その間に——
「ウィンド……!」
風が巻き起こる。
ゴブリンの動きが止まる。
(……風)
『スキル“ウィンド”を確認』
(来た……)
『レシピを取得しますか?』
(YES)
(……でも)
「今は使わない」
小さく息を吐く。
残った一体がよろめく。
セイルは踏み込む。
「強撃」
三発目。
ゴブリンが崩れた。
⸻
静寂。
⸻
「はぁ……」
リナが座り込む。
「た、助かった……」
レナも息を整える。
セイルは剣を下ろした。
「怪我はない?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
レナが優しく答える。
「本当に助かったよ」
リナも頷く。
「ありがとう……!」
セイルは少しだけ照れたように笑う。
「ううん、たまたまだよ」
そのとき。
『格上使用:3 / 10』
(……進んだ)
確かに、手応えがある。
一歩ずつ。
セイルは剣を収めた。
戦いは終わった。
だが——
ここからが、本当の始まりだった。




