第105話 王都仕様
「出来たぞ」
朝。
銀灯亭へ入ってきたガンドが、
そう言った瞬間。
全員立ち上がった。
「おぉ!!」
バルトが一番早かった。
ガンドの後ろには、
大きな布に包まれた武器と装備が並んでいる。
ベルナが呆れたように笑った。
「昨日から寝てないんじゃないかい?」
「寝る暇あるか」
ガンドはニヤリと笑う。
「面白ぇ素材だったからな」
その顔は、
本当に楽しそうだった。
まず最初。
ガンドが巨大な盾を取り出す。
ドンッ。
床が少し鳴った。
「うぉ……」
バルトが目を見開く。
黒鉄色の大盾。
中心部分には、
アースドラゴンの骨が組み込まれていた。
「ドラゴンボーンシールドだ」
「名前かっけぇ!!」
バルトのテンションが上がる。
ガンドは笑った。
「重さ増やした」
「代わりに衝撃吸収も入れてる」
「ドラゴン突進でも簡単には割れねぇ」
バルトが盾を持つ。
一瞬、重そうに見えた。
だが。
「……あれ?」
自然に構えている。
「持てる」
「お前の今の筋力ならな」
ガンドが満足そうに頷いた。
「前より止められるぞ」
バルトの顔が嬉しそうになる。
「最高だこれ……!」
次はリリス。
赤黒い杖。
先端には、
アースドラゴンの魔石が埋め込まれていた。
「魔力出力安定型だ」
「暴発しにくくした」
「暴発してたの!?」
リナがまた笑う。
リリスはショックを受けていた。
「試してみろ」
ガンドに言われ、
リリスは小さく杖を構える。
「ファイアー」
ボゥッ。
炎が生まれる。
その瞬間。
「えっ」
リリスが止まる。
「なにこれ……」
今までより、
魔力が流しやすい。
無駄が少ない。
安定している。
「すご……」
かなり感動していた。
次はレナ。
ガンドは細身の新しい弓を渡す。
「魔力通り強化してる」
「あと軽くした」
レナが弓を引く。
その瞬間。
少しだけ驚いた顔をした。
「軽い……」
「でも強度は上だ」
ガンドが笑う。
「お前、狙撃型だからな」
「狙った場所、
ちゃんと抜けるようにした」
レナは少し嬉しそうに弓を見つめた。
次はリナ。
「お前は軽さ特化だ」
渡されたのは、
風属性魔石が埋め込まれた短剣。
「軽っ!!」
リナが目を輝かせる。
軽い。
かなり。
風と合わせて動く前提。
「走り回れ」
「うん!!」
最後。
ガンドはセイルを見る。
「お前のが一番悩んだ」
そう言って渡したのは、
細身の片手剣だった。
一見普通。
だが。
刃だけが異様だった。
薄い。
なのに重厚感がある。
「ドラゴン爪混ぜてる」
「硬さだけ取った」
セイルが剣を軽く振る。
空気が鋭く裂けた。
「軽い」
「お前は止まるな」
ガンドが言う。
「動け」
「索敵して、避けて、刺せ」
「そういう剣だ」
セイルは静かに頷いた。
その時だった。
ガンドがニヤリと笑う。
「で?」
「試し切り行くだろ?」
全員止まる。
数秒後。
バルトが笑った。
「……アースドラゴン行くか」
リナがニヤッと笑う。
「新装備お披露目だね!」
リリスも杖を握り直す。
レナは静かに弓を背負った。
そして。
セイルは新しい剣を見る。
軽い。
馴染む。
かなり使いやすい。
「……いい」
珍しく、
素直な感想だった。
ガンドは満足そうに笑う。
「次は壊してこい」
王都仕様。
フォーチュンスターは、
さらに一段先へ進もうとしていた。




