表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『王妃に華が必要』と婚約破棄されたので、辺境都市を立て直したら王都より栄えてしまいました  作者: はねださら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
66/76

第14話 憧れの在り処

 ニコは、セレナ様が、好きだった。


 華やかで、優しくて。困った人を、笑顔で、助ける。街のみんなが、あの人を、見上げている。自分も、いつか、あんなふうに、なりたい。


 人の、真ん中に、立つ人に。


 だから、掲示板の言葉を、そらんじるのが、好きだった。《この街は、私たちが、支える》。かっこいい、言葉だと、思っていた。


 その日、ニコは、詰所の、外にいた。


 荷馬車が、二台、詰まっていた。商人たちが、揉めていた。セレナ様は、いなかった。


 どうするんだろう、と、思って、見ていた。


 そのとき、ガロが、言った。


「俺が、決めた。文句は、俺が、聞く」


 ニコは、はっと、した。


 ガロは、華やかでは、ない。無愛想で、口も、悪い。憧れる相手では、なかった。


 なのに、その、ぶっきらぼうな、一言が。


 妙に、かっこよかった。


 荷馬車が、流れていく。詰まりが、ほどける。誰も、セレナ様を、呼ばなかった。それでも、街は、動いた。


 ニコは、その光景を、忘れられなかった。


 その夜、彼は、母に、聞いた。


「ねえ。ガロさんって、偉い人?」


「守備隊の、まとめ役だよ。偉い、っていうか……まあ、現場の、人だね」


「セレナ様より、偉い?」


 母は、笑った。


「まさか。セレナ様は、街の、いちばん上の人だよ」


「ふうん」


 ニコは、少し、考えた。


 いちばん上の人が、いなくても。今日、街は、動いた。ガロさんが、決めたから。


 じゃあ。


 いちばん、街を、動かしたのは。


 誰、だろう。


 その問いに、答えは、出なかった。


 ただ、一つだけ、変わったことが、あった。


 次の日から、ニコは、掲示板の言葉を、そらんじるのを、やめた。


 代わりに、詰所を、覗きに行くように、なった。


 ガロが、どんなふうに、決めるのか。それを、見たくて。


 ――自分も、いつか。誰かに、聞かずに、決められる人に、なれるだろうか。


 その憧れは、もう、華やかな、笑顔には、向いていなかった。


憧れの矛先が、「華のある誰か」から、「自分で決める人」へ。

そして、いつか「自分」へ。


前作でミーナが辿った道を、今度は、エリアナの手を借りずに、この街の子が、歩き始めます。


ブックマーク・評価、いただけると励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ