表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『王妃に華が必要』と婚約破棄されたので、辺境都市を立て直したら王都より栄えてしまいました  作者: はねださら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
63/76

第11話 支えるということ

 セレナには、朝から夜まで、やることが、あった。


 商団の、優先順位を、確かめる。詰所の、報告に、目を通す。市場の、揉め事を、裁く。村からの、陳情を、聞く。


 どれも、最後は、彼女のところへ、来た。


 疲れは、あった。だが、それ以上に、満たされていた。


 人々が、自分を、頼る。困った顔で、やってきて、安堵の顔で、帰っていく。「セレナ様が、いてくださって、よかった」と。


 その言葉を、聞くたびに。


 セレナは、自分が、この街に、要る、と、感じられた。


 王都では、ついに、一度も、感じられなかったものだった。


 あそこで、彼女は、飾りだった。美しく、座っているだけの。誰も、彼女に、判断を、求めなかった。求められないことが、あれほど、こたえるとは、思わなかった。


 ここでは、違う。


 朝から夜まで、求められる。必要と、される。


 だから、手放せなかった。


 「最後の確認は、いらない」と、誰かに、言われたとして。


 もし、そうしたら。


 人々は、彼女のところへ、来なくなる。「セレナ様が、いてくださって、よかった」は、消える。


 ――また、飾りに、戻る。


 あの、王都の日々に。座っているだけの、あの、寒い部屋に。


 それが、こわかった。


 支えることを、やめられないのは、優しさ、だけでは、なかった。その根に、必要とされなくなることへの、深い、恐れが、あった。


 セレナ自身、そのことに、うすうす、気づいていた。


 気づいて、けれど、見ない、ふりをしていた。


 夜、記録棚の前で、彼女は、ふと、エリアナの言葉を、思い出した。


 ――最後には、自分を、外しました。


 なぜ、あの人は、そんなことが、できるのだろう。


 必要とされることを、自ら、手放して。さみしい、と言いながら、それでも、外れて。


 その強さが、セレナには、まぶしくて。


 そして、少しだけ、こわかった。


 あの人の、いる方が、正しいのだとしたら。


 自分が、この街で、いちばん、大切にしてきたものは。


 いったい、何だったのだろう。


 王妃には、なれなかった。


 だが今、私は――


 必要と、されなくなることが、こわい。


 その、こわさの、正体を。まだ、見ないように、している。


セレナの善意は、本物です。

ただ、その善意の根に、「必要とされなくなる恐れ」が、絡んでいました。


悪人は、出てきません。

出てくるのは、こわがっている、ふつうの人だけです。


ブックマーク・評価、いただけると励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ