Ⅰ 6-4
スタッフ全員が暗中模索でスタートしたT.M's.Revolution。CDを二、三枚出してみて売れなければ終わるものだと覚悟したいた貴教は、兎に角、「目の前のことを全力でやるしかない」と日々を過ごした。
一枚、二枚とCDをリリースするも、思うような結果が出ていた訳ではないけれど、少しずつだが全国ネットのテレビ番組に出演するチャンスを頂けるようになっていった。どんな番組でも、知って貰えるきっかけになればと喜びつつも、慣れていないテレビ出演に緊張(「P○P JAM」に初登場した時なんて本当にヒドいものだった)したり、生まれ育った○西とトウキョウのノリの違いに戸惑うことも度々だった。
抑々、世間的には「T.M's.Revolutionって何者?」、いやそれ以前。「T.M's.Revolutionって何?」という認知度である。変わった名前にしても、奇抜な衣装にしても、皆様方からの質問やツッコミは避けては通れない。「面白おかしく取り上げていただいてありがたい」という想いや、笑って貰ってナンボという心構えがある一方、これで本当に歌を聴いて貰えるのかと不安で、ちょっとツライなと感じる場面だって正直あった。
だが、恥ずかしがったり、シュンとしている場合など、無い。そんなものよりも「絶対、売れたんねん!」という上昇志向が遥かに上回った。ようやく出演出来た全国ネットの人気番組で、ギター漫談の堺す○む氏に似ているイジられたなら、「よし、次はその人のモノマネしながら登場しよう!」と練習に励むぐらいじゃなあないと駄目なのだ。
プライドも恥も無い――そんな気持ちの原動力になったのは、何といっても……、バンドで成功出来なかった挫折経験。何しろ、其れで鬱になり、引き籠り、自らの命を断つ寸前に迄逝ったのだから。
あれに比べたら何程のものか!
どれだけ自分がいいものを作って届けているつもりでも、其れが人の目に留まらなかったらゴミですらない、空気と同じである。誰も目に留めてくれないどころか、存在にすら気付いて貰えない――其の口惜しさや辛さに比べたら、テレビ番組でイジられるなんて、どうってこと無い。どういう場でもどんな人にでも必死に喰らいついていこうと心に決めていた。一ミリの揺らぎも無く。
「だって、人目に留まりたい、自分の存在に気付いて欲しい。それを求めてここまで来たんでしょ? だったらやるしかないじゃん!
鶴○浩二の声が、「空○バカ一代」が、今日も貴教の脳内をアドレナリンを湧き立たせ、ドバドバ状態にする。そして心は常に沸き立っていた。
常に「明日が無い」状態だった――




